芥川賞作家・平野啓一郎さんの代表作『一月物語』が谷賢一さんの構成・演出、かみむら周平さんの音楽・演奏で聴覚、視覚に訴えかける新しい朗読劇として上演されます。語り部、そして高子を演じる水夏希さん、そして今回真拆をWキャストで演じる彩吹真央さん、久保田秀敏さんにお互いの印象と作品への思いを語ってもらいました。まだ見ぬ作品の世界観へ一足早く誘ってくれました。

 

-「一月物語」への出演が決まった時の気持ちを教えてください。
水夏希さん 初めて本を読んだ時に文字から受ける印象が強く、今回の朗読劇は、原作に書かれているとても難しい言葉を現代風に直していくのかなと思っていたのですが、そのままの文体でいきますので、お客さまにどこまで、どうやってお伝えしていこうかと思案中です。ありそうでなかなか無いファンタジーの世界観で、私自身好きな世界です。

彩吹真央さん ひとつひとつの表現がとても難しく感じますが、漢字ひとつでその世界観を表現できるという日本語はすごいなと改めて感じることができています。それを耳から入ってくる言葉で表現し、ダンサーの方のダンスで目から感じ取ってもらう、広い、深い世界です。この世界を演出家の谷賢一さんがどう表現していくのだろうと稽古で探りながら解明していきたいなと思っています。

久保田秀敏さん この難しい文体の本を読む機会が少ないので、最初に台本を読んだ時に、何をどう読んで繋げていったらいいんだろとわからない部分が多かったのですが、2回、3回と読み込んでいくうちにいろいろな人物からの視点でこの物語を見ることができ、いろいろな捉え方ができるなと思って来ました。これの物語を舞台化するだけでも大変なのに、しかも朗読でどう表現してくのかというところは、楽しみのひとつです。読むだけでなく、音とダンスがミックスされ、今までにない表現になります。その化学変化が楽しみです。

 

ー今回真拆を演じる彩吹真央さん、久保田秀敏さんのWキャストというのはとても興味深いなという印象を受けました。お互いの印象を教えてください。

久保田さん 今回で2回目の共演です。一昨年共演したのはコメディで今回の作品とは全くテイストが違う真逆な作品でした。今回は、時代背景は明治、難しい文体の作品で、ふたりとも性別も年齢も表現の仕方も違うので、お客さまにとってはふたつの見方ができるので、2倍楽しくご覧いただけると思っています。

 

彩吹さん 演じる真拆は、男性で、演じる私は女性というところが根本的に違うところです。私自身もチャレンジですし、キャスティングしてくださった方、そして演出の谷さんにとってもチャレンジだと思います。私がこの役をいただいた意図や意味をこれからのお稽古を通して発見していきたいと思っています。真拆をどう男らしくしようとかどう表現しようということに重きをおくのではなく、一役者として、自分らしく、そして私にこう演じて欲しいと期待してくださった谷さんに委ねていきたいなと思っています。Wキャストの秀くんは男性なので、稽古の中で男性が演じる真拆、私の中では見えない部分を見ながら刺激を受けたいなと思っています。

 

ー台本を拝見しましたが、文面から読み取って広がる世界観が溢れでてきそうな印象でした。その世界観の中で水さんはどう演じていきたいと考えていますか?
水さん 私が演じる高子は、後半までほとんど出てこないので出てきた時に違和感が無いようにしていきたいです。語りの部分は、最後に出てくる高子を繋ぐ世界を作っていけるように考えています。言葉が本当に難しいこの作品は、シェイクスピアととても似ているなと思います。表現が回りくどかったり、言い換えたりして、遠回りしているけれどその分本質がとても美しく伝わっていく、そしてお客さまに想像力を与えていきます。文字でとても美しく表現されている世界を朗読でいかにお客さまにお伝えできるかがポイントになってくると思っています。

ー姿は見えなくても存在感を出しつつ、その存在をお客さまに伝えていくという部分でチャレンジしてみたいことを教えてください。
水さん 語りとして最初からいて、最後に高子として出てきた時に“最初からそこにいたじゃん!!”ってなったらいいなと思っていたのですが、そうするとアンニュイな語りで眠気を誘ってしまいそうなので、演出の谷さんとも相談しながら、どのような展開で高子にたどり着くのかを考えていきたいですね。

 

ー水さんからWキャストの彩吹さん、久保田さんをご紹介してください。
水さん 今回ご一緒するのは初めてですが、インタビューの言葉のチョイスや、出演している作品のことなど話をしていて、“聡明な青年だなぁ”って思いました。真拆が持っている情熱をふたりとも秘めているなと感じています。クールなんだけどいろいろなことを考えて、感じながら生きているのを感じますね。彩吹さんとは何度も共演をしていますが、“真拆ぴったり”って思っています。真拆とふたりで読むところもあって、そこは女性と読むのと男性と読むのとでは回によって違ってくるなって思っています。

 

ー何度もご一緒している彩吹さんからみてこの作品の中で水さんの役所について教えてください。
彩吹さん 真拆目線でいうと追い求めてしまう、届きそうで届かない存在感、夢か現実かわからない世界観を持っているというところは、作品にぴったりだと思っています。ご一緒させていただいてる時間が長いからこそ自分が本を読みながらこう表現されるかなと勝手に想像してしまう部分もありますが、でもそこを覆す、そうではない表現に持っていかれるということは毎回あることですので、今回もとても楽しみです。演じていらっしゃる水さんは何度も拝見していますが、地の文をたくさん読まれる水さんというのは新鮮で、楽しみです。

 

ー最初に台本を読んで見えた世界観の景色を教えてください。

水さん 山の上のお寺から遠くに山々が見えるという景色が浮かんで来ましたね。

彩吹さん 実家が関西で奈良に近いので、土地の名前も知っていたり、実際に行ったこともあったので、読んでいて知っている地名が出てくるとこんな景色だったなと想像できましたね。それ以外でも山に登ったり、ひとりで出かけることが多いので、自分で見た山や川の風景と匂いをミックスしながら頭の中にあるイメージを活かせたらいいなって思います。奈良っていうのは、昔の歴史が土に宿っている感覚があるので、土の歴史の深いところが出せたらいいなって思っています。

久保田さん 僕は地元が福岡で、題材になっている景色はイメージできるのですが、全体的にダークトーンのモノクロのイメージがあって、その中で真拆が出会うものが色彩豊かで、それがモノクロの世界にパッと希望の光のように、道を照らしてくれて、それに誘われるように進んでいくという感じがしますね。運命の道筋を知らせてくれるものがたくさん出て来ているので、希望に溢れる作品ではと解釈しています。

 

ー今回誘う人、誘われる人というキーワードがありましたが、みなさんがつい誘われちゃうものを教えてください。
久保田さん たこ焼きですね(笑)。匂いと文字を見つけたら絶対買っちゃいますね!!親が仕事帰りにいつも買って来てくれて、それからすごく好きになりましたね。

水さん スイーツですね。デザートは食べずにはいられないですね。お腹いっぱいでも食べちゃう!!あとは、セールという赤文字ですね。このふたつは抑えられないですね。最近買った戦利品はいっぱいあります。コンサートとかで使えそうなキラキラ靴とか。キラキラは好きなんですよね。撮影やコンサートとかになるとつい光り物を欲しますね(笑)。

彩吹さん 猫です。道で見かけて、自分に時間があるとつい寄っていってしまって、友達になりたいと近づいちゃいますね。

 

ー最後に今回の作品の見どころをお願いします。
久保田さん Wキャストということが大きいと思います。全く違うアプローチで見せる真拆の対比をこの物語にどう影響を与えていくのか。高子を交えたときにどうお客さまに見えていくのか2倍楽しんでいただけたら、そして等身大の姿を表現できればと思っています。

水さん 語りの部分がすごく多いので、責任重大だなと思っています。その中で、この世界観をどれだけ体感していただけるか楽しみに観に来ていただきたいと思います。

彩吹さん 高子は最後にしか出てきませんが、その高子を求めていく真拆の役です。真拆がどう高子を求めていくかというところを語りでちゃんと表現できれば最後だけでなく、高子の人物像が主軸となって、物語の深みが増し、物語のゴール地点が表現できていくと思います。まだ見ぬ高子を真拆が話すことによって感じていただけたらと思います。

 

【公演概要】
◾タイトル 夢幻朗読劇『一月物語』
◾日程・会場 2018年3月7日(水)~3月12日(月) よみうり大手町ホール
◾出演 水夏希 横関雄一郎 榊原毅 彩吹真央(Wキャスト) 久保田秀敏(Wキャスト)
◾公式ホームページ
http://ichigetsu.com/

photo:Hirofumi Miyata

interview:AKiko Yamashita

(2018,03,06)

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