朗読劇の形をとりながら既存の小説を読むだけではなく、より広がりのある物語として脚色された朗読集『ヴィヨン』が10月28日から東京・シアター風姿花伝にて上演されます。本作はひとりの女をめぐる、小説家の3人の男たちを描いた新作書きおろし。
『ヴィヨンの妻』(作:太宰治)をベースに、家の外に出て、社会に触れ変容していく女と、彼女を取り巻く3人の男たちの姿を、太宰をはじめ芥川龍之介、谷崎潤一郎らが遺した言葉で構成。自立していく女の姿を、魅力的な日本語と、想像力を喚起するオリジナルの構成で展開されます。本作に出演するのは、霧矢大夢さん、須賀貴匡さん、池田努さん、そしてNorieMでもおなじみの三津谷亮さんの4人です。今回そのなかから、三津谷さんにお話を伺いました。

 

―まず、この作品のチラシのイラストですが、これ池田さんが描かれたんですね!!あまりにお上手なのでびっくりしました。

そうなんですよ!!池田さんのInstagramにはこの絵を描く過程も出ているんです。稽古中にこのチラシが届いたので皆で見たんですが、描いた池田さん本人が“凛とした大輪の薔薇が女性で、その脇にある小さい薔薇が男性たち。女と男ってこういう感じだよね”って話していたんです。本当に才能あふれる人なんだなあって感動しました。

 

―そんな才能あふれる方々が集まって作る『ヴィヨン』ですが、この作品に出演が決まった時のお気持ちから聞かせてください。

僕はこれまで2.5次元舞台の『文豪とアルケミスト』シリーズで文豪・萩原朔太郎役を演じていたので、“文豪に縁があるなあ”って思いました。また今回上演する劇場がシアター風姿花伝なのですが、そこは今年の1月に文豪・ドフトエフスキーの『悪霊』をやった場所。だから文豪ものをやる時はシアター風姿花伝なのかなって嬉しいご縁を感じました。きっとお客さんも親しみがある場所なんじゃないかな?

 

―今回演じる「文豪」が三津谷さんの地元・青森の超有名人、太宰治役ですよね!!

そうなんです。青森の県民性という点で太宰さんに共通性を感じています。青森の人って穏やかだとよく言われるんですが、田舎だからこそ小さなコミュニティで生活するところが多々あって、周りの視線を気にしたり、ひがみや妬みといった気持ちを強く感じるときもあります。太宰さんはそんな負の感情や本当に自分が言いたい事を作品の登場人物に言わせているなと思うのですが、僕も自分が感じるストレスや世の中に吐露していきたい事を役に重ねてしまう事があって。そういうところが太宰さんと似ているなと感じています。今回初めて太宰さんの作品を演じる事になりますが、お客さんの中には【太宰治】【文豪】【ヴィヨン】と並ぶとどこか難しさを感じるかもしれませんが、そういう先入観を一度忘れていただいた方が固定概念にとらわれず楽しめるんじゃないかなと思います。

 

―台本を拝見したんですが、三津谷さんの役は「男3(ダザイ・年増女3・作家3・客3・若いひと)」とあって、様々な人物を入れ代わり立ち代わり演じる事となります。台本を読んでいて混乱したりしませんか?

そうですね。通常の朗読劇ならやりこなす技もなくはないんですが、この作品は誰も踏み込んだことのない新しい世界を開拓しているような気がして難しいですね。演劇と朗読劇の間を追求しているんです。演者でありながら演者ではないスタンスで言わなければならない台詞もあり、さらにそれが成立する場所としない場所もあるので、演出家さんに相談したり、共演者同士でも“ここはどうしたらいい?”ここは書いている人の目線で言うべきか、妻の目線で言うべきか、はたまた俯瞰した状態でト書きのように言うべきか”と話し合って、”とりあえずト書きのように言ってみよう”と少しずつ解読しながら進めています。その作業が大変ですが、凄く楽しいですね。【遊び】のようで。とはいえまだ遊び方を掴めていない自分もいるので、自由に遊んでみて“それいいね”と言われる瞬間を増やしていきたいです。

 

―お客さまもきっと「これは朗読劇……なのか?」と思いながらご覧になりそうですね。

朗読劇というと、簡単にできるとか、覚える手間がないといった先入観を感じる事があって僕の中ではもやもやしてしまうんです。ただ朗読劇ならではの難しさももちろんあるし、逆に演じる側としては台本はむしろ見ないで自由にやるほうが羽ばたける部分もあると思うのですが、朗読劇はそうはいかない。僕、朗読劇に少し苦手意識があって、どういうボールを相手が投げてくるか、それが読めないので不安なんです。

 

―とはいえ、朗読劇ならではの魅力も感じているのでは?

先ほどいったお互いどんなボールを投げてくるか分からない所は魅力でもあると思います。演劇なら稽古を重ねる事で空気感も分かってきて、お客さまには見せないところで【段取り】もあるんです。でも朗読劇はとにかく新鮮なものが毎回ある。そこも魅力だと思います。演出家の稲葉さんはしっかり舵を切りながら演出をしてくださるので、僕にとって安心材料になっています。さらに周りには頼れる役者さんしかいないので、指示を受けつつ遊べるところは遊びを増やせる。本番に向けていいコンディションを作っていけると思います。

 

―今回そのキャッチボールをする頼もしい共演者についても聞かせてください。

まず、霧矢さん。これまでも宝塚歌劇団出身の俳優さんとお仕事した事はあるんですが、霧矢さんは稽古場を“皆、付いてこい!!”とひっぱる元トップスターっぽいところと和気あいあいで場をまとめるところの両方を持っている方だなって思います。男性的なところと女性的なところを。霧矢さん、須賀さん、池田さんはこの作品の前に「トコヨノモリ・リーディング『モリガタリ』」で共演しているので、すでに息ぴったりなんです。この中に入るのか、と少し身構えていたんですが、霧矢さんはそういう雰囲気を一切出さずにいてくださったので、最初の頃は霧矢さんを通して池田さんや須賀さんと話をしていました(笑)。

池田さんは、読み合わせが終わった後でいろいろ質問をしまくっていたので、“芝居のビジョンを持っている方なんだ”と思っていたんです。でも立ち稽古に入るとおちゃめなところが出てきて年上の役者さんに対して失礼なんですが、かわいい人だなと凄く安心しました。

須賀さん。心の分かる役者さんだなと個人的に思っています。そしてあまり多くは語らないんですが、短い言葉で何をいいたいかが凄く伝わり、相手と理解し合える方。僕が理想としていた役者像なんです。ああいう役者を目指していたんだな、でも無理だと痛感したのでその方向で行くのは辞めました。僕は分からないものは分からないと素直に言って皆さんのお力を貸してください、というタイプなんだなって。分からないと知恵熱出しちゃうのですが、『ヴィヨン』をやっていると普段35度くらいの体温が36度くらいまで上がってしまうんです。

皆さん声が良いので、オーディオで聴きたくなりますね。最初に男優陣の台詞を聞いた上で霧矢さんの台詞が入るともう、霧矢さんの声だけ追いかけたくなります。前半は短めの台詞が続くので僕としては“霧矢さん、もっと喋って!!”ってじらされる想いになりますね。

 

―さて。話は変わって三津谷さんのプライベートについて。ファッションのこだわりはありますか?

トレンドを着る事。流行のものを常に取り入れる事にこだわっています。流行のものを着ると“来年もこれ、着れるかな”って不安もありますが、その想いはどこか人生にも似ている気がするんです。“来年も生きているかな”って想いと一緒で。この仕事ってある意味、流行に乗っかっていかないといけない職業でもあると思うんです。古いものを新しく上書きする事が。80年代、90年代のちょっとダサいファッションも好きです。ジェンダーレスな服、レディースも着る事があります。実は、現場にそういう服を着ていって“その服良いね”と受け入れてくれる人なのかどうか、周りの人を試しているところもあるんです。。(笑)

 

―流行を取り入れる事と共に、三津谷さんならではのこだわりアイテムはありますか?

靴にはこだわっていますね!!自分の部屋にはシューズケースも含めて靴を飾っているんですが、朝起きたら靴が目に飛び込んでくるように飾っているんです。“靴は素敵な場所に連れていってくれる大事なアイテムだから、1日履き終わったら感謝する事、靴を磨く事、綺麗に並べる事が大事”って誰かが言っていたんですが、ああ素敵な言葉だなって。僕は仕事が立て込んできて部屋がぐちゃぐちゃになったとしても靴のエリアだけは綺麗にしています(笑)。

 

ー今年3月よりスタートしたNorieM snapshotの撮影がこのインタビューの後ありますが、今回で4回目の撮影を迎えます。ファッションシューティングはいかがですか?

昨年は連載で、そして今年はコロナ禍で仕事がないときにファンの方々と“会える”場所であり、ファンの方と繋いでくれる場所、それがNorieM snapshotだったように思います。この場所が毎週あるという事で僕自身だけでなくファンの方もすごく喜んでくれたんです。また、NorieMさんのページって無料で見る事ができるじゃないですか?こんな“無償の愛”ってすごいなと(笑)!!そして自分ひとりでは何もできないのでメイクさんや衣裳に毎回毎回助けられていますが、その度に“やっぱ、ひとりでは生きていけないんだなあ”と思うんです。もちろん、NorieMさんのファッションを身に着けながら、“これ、自分のファッションに取り入れよう”と発見する場所でもあるんですよ

 

―ありがとうございます。では最後に『ヴィヨン』では何を大切にしていきたいですか?

「役がありすぎてどれを大事にしたいかというと悩ましいので、役がどうのというより、水のようにどんな形にもなれる俯瞰の感覚を大事にしたいです。お客さんが混乱しないように、今どの役をやっているのか、アウトプットを明確にしていきたいです。今コロナ禍の中ですが、足を運びづらいと思いつつもそれでも劇場に来てくださるお客さんもいらっしゃいます。改めてお客さんの大事な【時間】をいただいて舞台をやっているんだな、と今まで以上にもっともっと作品に向き合わないと、と思っています」

 

【profile】
1988年2月11日生まれ。青森県出身。
2009年に俳優としてデビュー舞台を中心に活躍する傍ら近年はNHK大河ドラマ『真田丸』の豊臣秀保役で注目を集めるなど映画やテレビドラマにも多数出演。近年の主な作品は【テレビ】TBSドラマ『3人のパパ』【舞台】『マリーゴールド』、『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰、『パタリロ』、口字ック第12回本公演『滅びの国』、PARCO「奇子」など。
2021年4月には舞台『刀剣乱舞』大坂 夏の陣への出演が控えている。


【公演概要】
■タイトル
朗読集『ヴィヨン』
■日程・会場
202010月28日(水)~11月1日(日) シアター風姿花伝
※11月1日はライブ配信あり。
■原作 太宰治「ヴィヨンの妻」ほかより
■脚本 司田由幸
■演出 稲葉賀恵
■音楽 松田眞樹
■出演 霧矢大夢 須賀貴匡 三津谷亮 池田努
■公式ホームページ
http://ae-on.co.jp/unrato/


☆PRESENT☆

今回インタビューで登場いただいた三津谷亮さんサイン入り写真を1名さまにプレゼントいたします。

ご応募は下記をご確認ください。

1.NorieMのtwitterアカウント(@noriem_press)をフォロー。

2.プレゼント該当twitterをリツイート。

3.該当ツイートにコメントで応募完了です。

※締切は10/30(Fri) 23:59、当選の方へはtwitter DMでご連絡いたします。プレゼントツイートは10/27(Tue)配信致します。

プレゼントの発送は日本国内のみとなります。たくさんのご応募お待ちしております!!


(2020,10,26)

photo:Satoshi Yasuda/hair&make-up:Junko Kobayashi/interview&text:Saki Komura