世界中で多くの人から愛される名作ミュージカル『RENT』が2020年、新たに日本人キャストを迎えて上演されます。

本作に登場するキャラクターの中で話の核を担うマーク役・平間壮一さんとロジャー役・甲斐翔真さんに話を聴いてきました。
1989年12月24日からちょうど1年間のニューヨークのイーストヴィレッジを舞台にした本作は、元ロックミュージシャンのロジャーと、ルームメイトで自称映像作家のマークをはじめとする様々な境遇の人間が、貧しさや病魔などに立ち向かいながらも愛と生きることの喜びを見いだしていく物語です。
インタビュー前の撮影時には「レントヘッズ」(熱狂的な『RENT』のファン)でもあるカメラマンが『RENT』のサウンドトラックを流して二人をお出迎え。すると平間さんと甲斐さんも撮影をされながら楽曲を口ずさみ、まるで『RENT』を一足お先に観劇しているかのような雰囲気となりました。

 

―まずは、ご自身の役が決まった時の感想から聞かせてください。

平間さん:自分のタイミングと外から見たタイミングって違うんだなって思いましたね。この『RENT』についても、初めてオーディションを受けた時はマークがやりたいと思って受けたんですが、エンジェルという未知の領域を与えられて。自分の中には女の子という概念がなかったので、稽古に入る前はかなり役作りに悩んだんです。でもいざやってみたら全然知らなかった『RENT』の世界を体感することができてよかったです。で、「もう一度『RENT』をやりたいですか?」と話が来た時にぜひ!!と応えたら「今度はマーク役でオーディションを受けてみてもいいんじゃない?」と。ああ、「今」なんだなってその時実感しました。最初からマークをやっていたらきっと浅はかなマークになっていたかもしれない。

 

甲斐さん:なるほどね……。僕はオーディションでとにかく歌いました。一次審査の時は特に。そこから二次審査になったとき、演出のアンディが観てくれたんですが、その時は歌より気持ちの部分を見られていた気がします。同じ曲を2、3回歌ったり、相手を変えてまた歌ってみたりして「もっとこんな風に気持ちを出してみて」と言われたり。合格した時は本当に嬉しかったですね。

 

―『RENT』ではいろいろな愛の形を描いていますが、お二人自身、『RENT』のキャラクターで好きなタイプは誰ですか?

甲斐さん:急に来ましたね(笑)!!

平間さん:本当に。僕はモーリーンみたいな女性は好きです。強いし自由だし、「私、これがやりたい」って意志がある。「やりな!やりなさい!失敗したら帰ってくればいいよ」って送り出したいです。

甲斐さん:僕はミミのような情熱を持っている女性がいいですね。もしその人が立場的になかなか自分の気持ちに火を付けられなくても、心の中で火を燃やし続けている、諦めたように見えて諦めてない人がいいです。時に現代って、何事にも最初から諦めている人が多いと思うんです。SNSなどで調べて「ああ、私には出来ない、無理だ」って思ってしまう。「さとり世代」というんでしょうか。

平間さん:今の子ってそういう感じなんだ……。

甲斐さん:特に高校生くらいだとすぐ熱くなる人はダサイ、それより大人しく生きていたほうがいいって思う傾向が特にある気がします。でもそうではなくてちゃんと物事に熱を持って向き合っていきたいですね。

平間さん:俺とか俺より上の世代だと、カッコイイ人のパフォーマンスを盗みたくても盗むための動画とかどこにもなくて。唯一手に入れたマイケル・ジャクソンのPVをそれこそ擦り切れるまで見まくって踊りをめっちゃ練習していた世代なんです。新しい情報がどこにもなくてTV番組で少しでも出たらすぐ真似をして……今なんてちょっと調べたら世界中の超レベルの高い情報が溢れているでしょ?そんな贅沢な環境で「私には無理」って諦めるのって凄くもったいない気がする。

甲斐さん:僕も少し反省するところはあるんですが、選択肢が増えた分、熱が下がるんですよ。いつでも見れるし、いつでも手に入れることができる。皆それでうまくやっているからその路線から外れたくないというか。僕も少しその気持ちが分かるだけにそう思わないようやっているんです。

平間さん:なかなか難しい世の中になりましたねえ。

 

―お二人はハンサムライブなどでは共演していますが、一つの作品でがっつり共演するのは初めてですよね?お互いの印象はいかがですか?

平間さん:翔真は後輩の中でも「推しの推し」です(笑)。しゃべりやすいし仕事に対しても真っ直ぐ向き合っているしね。

甲斐さん:今日、取材を受けているうちに壮一さんの事をまた新たに知る事ができたんです。この数時間でもそう思えるのにこのあと1ヶ月、2ヶ月と積み重なっていくと……楽しみですね。

平間さん:ねっ!!(ニッコリ)あ、翔真は台詞を完璧に覚えてくるタイプ?いやー完璧そうだなー(笑)

甲斐さん:え? 違うんですか(笑)? 一応暗記をしていきます。というのも最初の舞台が栗山民也さんの演出だったんですが、栗山さんの現場って台詞を覚えてないとできないんです。台本を置いてすぐ動く事が求められるので、「台詞を覚えていく」事が最低限のレベルだったんです。それが普通だと思っていたから……。

平間さん:へえー。元々僕も『RENT』をやる前は台詞をしっかり覚えて臨んでいたんだけど、そうするとガチガチに縛られて自由が利かなくなるタイプだった。もう何が来ても自分が用意した台詞で返すだけ……でもそれは良くないなと思ってからはいい意味で適当に覚えるようになったんだよ。

甲斐さん:それって稽古をやっていくうちに気持ちの流れと共に覚えていくって事ですか?

平間さん:そう!!最初は大体この人はこんな事をいいたいんだな、こうしたいんだなって気持ちの方を大事にしてあとはその気持ちに沿って喋ってみるんです。自分は台詞を100%覚えていくと動きが詰まってしまう事が分かったんです。それが『RENT』を通して変わった事です。

 

―プライベートの話も伺いたいです。まずは普段のファッションのこだわりから聴かせてください。

平間さん:とにかく楽なスタイル。キツイ服は着たくないです。1サイズ大きいくらいがいいしデザインも極力柄がない、柄ゼロでいいです(笑)。

甲斐さん:僕も少し似ているかも。黒が好きなんです。頭のてっぺんから足の先まで黒オンリー。時計から財布から携帯電話までなぜか黒。何で自分はこんな服装が好きなのか?と考えたら自分は背が高いから街中を歩いていても変に目立つんです。普段は目立ちたくないから暗闇に溶け込む黒が好きなんだと気が付きました(笑)。

平間さん:この前も(真っ黒いのが前から歩いてきたぞ……)って思って見てたよ(笑)。今度クローゼットの写真撮ってきて(笑)!!

甲斐さん:同じのがいっぱいあって、スティーブ・ジョブズみたいなんです(笑)。冬はもう少しバリエーションが出ますがそれでも黒ですね。涼しくなるとロング丈が増えてくるくらい。

平間さん:ハーフパンツとか履かなそうだよねえ。

甲斐さん:ハーパンは高校で卒業しました(笑)。

平間さん:僕は今だにハーパンは履きますね。海パン小僧みたいな格好が好きなんです(笑)。そのまま海に行ける感じ?で、あとは帽子ですね。帽子は髪留め代わりに被っているんです。髪の毛が真っ直ぐすぎて踊っていると汗がしたたって鞭みたいに顔に当たって痛いんです。それが嫌でちっちゃい頃から帽子を被って踊っていたんです。
あ、でも最近は練習着スタイルがかっこいいなーって思ってみたりしています。

甲斐さん:ストリートファッション的な?

平間さん:そのまま稽古にいってそのまま帰る的な。少しだけカワイイデザインを選んでみて調子に乗ってみたりする(笑)。

 

―この春夏のステイホーム期間に何かハマった事はありますか?

平間さん:恐竜を飼い始めちゃったんです(笑)。恐竜がうろちょろしている世界に人間がぽつんと落とされてね。斧で木を切ったりしてね。でも相手が恐竜だからワンパン(一発でやられる)なのよ!!プレイステーション4の『ARK: Survival Evolved』っていうゲームなんですが(笑)。

甲斐さん:面白そうですね。僕は韓国好きなので『梨泰院(イテウォン)クラス』と『愛の不時着』はしっかり観てました。この二つは面白いですよ。皆がハマる気持ちが分かりますね。あと、『ウォーキング・デッド』も観てました。ノーマン・リーダス演じるダリルとロジャーがなんとなく重なるんです。毛色というかワイルドさがね。まあでもロジャーはダリルほど強くないですけどね。

平間さん:僕も観てた。シーズン9くらいまで観たなあ。『ストレンジャー・シングス 未知の世界』も観たし、『アメリカン・ホラー・ストーリー』も観た。ハマったらとことん観るタイプなんです。

甲斐さん:アニメも観てます。『鬼滅の刃』はもう有名ですよね。

平間さん:僕『鬼滅の刃』は観てないんだよー。でも『僕のヒーローアカデミア』はめっちゃ泣いた。こんないい話があるんだーって。

甲斐さん:最近は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』もいいですね。あれ、映画もあるんですよ。

平間さん:アニメで泣けるってすごい事だと思うんだよ。日本のアニメは最高だね!!

 

―盛り上がったところ恐縮ですが、話を『RENT』に戻します(笑)。最後に『RENT』を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。

甲斐さん:劇場で観てもらいたいのは僕らも願っていること。『RENT』を観た人の人生が変わったら、自分たちの人生もまた変わるんじゃないかと思いながら挑んでいこうと思っています。観に来れなかったお客さんにも今の時代にやる意味を何かの形で伝える事が出来たらいいなって思います。もし少しでも余裕があるなら舞台を直接観てほしいし、観た感想を周りの人に共有してほしいです。

平間さん:僕たちは目の前のお客さんが例え0人であっても何かの形でこの作品をお客さんに届けたいんです。ただ、劇場にお客さんを入れてやる意味がこの作品にはある。配信などに慣れてお客さんが劇場に足を運ばなくなるという事は絶対あってはならないと思うんです。是非観に来てほしい、と声を大にしてアピールするにはいろいろ難しい状況ですが、観に来てくれたからには必ず何か持って帰ってもらえる熱いものを僕たちも作っておきたいと思います。

 

【profile】
平間壮一
1990年2月1日生まれ。北海道出身。
2007年『FROGS』にて舞台デビュー。その後数々の演劇・ミュージカルに出演。
主な出演作は、『RENT』(2015年、2017年)、地球ゴージャスプロデュース公演vol.14『The Love Bugs』(2016年)、『ラディアント・ベイビー〜キース・ヘリングの生涯〜』(2016年)、劇団⭐︎新感線『髑髏城の七人-Season月<上弦の月>』(2017年)、『Indigo Tomato』(2018年、2019年)など。

 

甲斐翔真
1997年11月14日生まれ。東京都出身。
2016年『仮面ライダーエグゼイド』バラド役で出演。その後ドラマ、映画へ多数出演。2020年1月に上演された『デスノート THE MUSICAL』夜神月役でミュージカル初出演。2021年1月上演ミュージカル『マリー・アントワネット』フェルセン伯爵役での出演が控えている。

 

【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『RENT』
■日程・会場
2020年11月2日(月)〜12月6日(日) 日比谷シアタークリエ
■出演
マーク・コーエン 花村想太/平間壮一(Wキャスト)
ロジャー・デイヴィス 堂珍嘉邦(CHEMISTRY)/甲斐翔真(Wキャスト)
ミミ・マルケス 遥海/八木アリサ(Wキャスト)
トム・コリンズ 加藤潤一/光永泰一朗(Wキャスト)
エンジェル・デュモット・シュナール RIOSKE (COLOR CREATION) /上口耕平(Wキャスト)
モーリーン・ジョンソン  フランク莉奈/鈴木瑛美子(Wキャスト)
ジョアンヌ・ジェファーソン  宮本美季
ベンジャミン・“ベニー”・コフィン三世 SUNHEE/吉田広大(Wキャスト)

ICHI コリ伽路 奈良木浚赫 小熊綸 吉田華奈 吉原シュート
※各役アルファベット順

■公式ホームページ https://www.tohostage.com/rent2020/index.html


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(2020,10,28)

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Saki Komura