映画界の名匠フェデリコ・フェリーニの自伝的作品「8 1/2(はっかにぶんのいち)』を原作としたブロードウェイ・ミュージカル『NINE』が11月12日、東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演されます。

初日前日となる11日、本作のゲネプロが公開され、主演の城田優さんはじめキャストたちが本番さながらの熱のこもった芝居を披露しました。演出は藤田俊太郎さんが務めています。

 

本作はスランプ中の映画監督グイドが、人生で出逢ったさまざまな女性たちと繰り広げる物語。ミュージカル『ファントム』も手がけているアーサー・コピット(脚本)とモーリー・イェストン(作詞・作曲)コンビによる作品です。

【あらすじ】
創作スランプに陥った映画監督のグイド・コンティー二(城田さん)は、新作の撮影が迫っているにも関わらず、構想が浮かばず苦悩していた。
そんな中、結婚生活に不満を募らせた妻のルイザ(咲妃みゆさん)に離婚を切り出されてしまう。グイドは妻との関係修復とスランプ打開の為、ルイザを連れてベネチアへ逃亡。スパのマリア(原田薫さん)が誘うベネチアの温泉で癒しの時を過ごす筈が、グイドの新作と離婚危機スキャンダルを嗅ぎつけたマスコミが押しかけてきて休まる暇もない。

その上、グイドの愛人カルラ(土井ケイトさん)が追って来て妻との溝も深まるばかり。挙句に映画プロデューサーのラ・フルール(前田美波里さん)がアシスタントで評論家のネクロフォラス(エリアンナさん)を伴い脚本の催促にやってきた。

撮影は4日後に迫っている。女性たちに翻弄され現実から幻想の世界へと迷い込んだグイドは、少年時代に戻り母(春野寿美礼さん)の元へ。さらには自身の性を目覚めさせた娼婦サラギーナ(屋比久知奈さん)との出会いへと思いを馳せ、失った愛を追い求める。
迷走するグイドは、成功の鍵となる自身のミューズ、女優のクラウディア(すみれさん)に新作映画への出演をオファーするが・・・。

ステージ上には半円状の4段のスタンドとその背後には大きな櫓があり、それが盆舞台で回る事で様々な場面を表現していました。そこで描かれる様々な場面ですが、どれもまるで映画の1シーンのような美しさを放ち、またどこか夢の世界のような不思議な世界を作り出していました。ある時は人々がグイドの心理状態を表すかのようにうごめきひしめき合い、またある時は重力を失ったように家具や調度品が空に浮かびあがるのです。
グイドを初め、登場人物は日本語だけでなく異国の言葉で歌い上げたり、台詞として口にしたりします。異国の言葉を口にする時は紗幕に訳した文が映し出され、それがさらに映画の字幕のように見せてその場面を味わい深いものにしていました。

グイド役の城田さんは、虚構と現実の間で格闘しながらも、すべての女性をそれぞれに愛し続ける魅力的な男を演じていました。また彼と愛し、愛され、翻弄される女性たちもそれぞれに個性溢れて、妻、愛人、仕事相手、母……と女性が持つ様々な面を分担しているようでもありました。
1幕の後半で前田美波里さんが見せる麗しい姿そして歌とダンスは必見です。実年齢をまるで感じさせない美しさ、そして驚きのプロポーションに思わず拍手を送っていました。

 

ここでNorieMマガジンでもお馴染みの演出家・藤田俊太郎さんやキャストの方々からのコメントをご紹介します。

・藤田俊太郎さんコメント

ミュージカル『NINE』の開幕を待って下さっている全てのお客様へ

ここまでのリハーサルでは、全てのカンパニーメンバーが協力し合い、時に議論しながら、皆が誇り高い仕事をして新しい芝居をつくろうと突き進んできました。劇中、映画を撮れなくなった監督グイドは虚構と現実の間で格闘しながらも、色気と魅力を纏い、女性たちを愛し続けます。また登場人物の女性達はそれぞれ、自身の価値観を見出し生きようとします。

制作過程で、作品のテーマであるグイドが未来に向かっていく姿、また強く生きる女性の時代が始まるという予感をカンパニーそのものが体現しました。2020年末の今でしか届けられないミュージカルをつくることができました。

この『NINE』のタイトルの意味は、私たちが母親の胎内にいた’9か月’という時間にも由来しています。観客の皆様には観劇を通して、まるで生まれたての赤ん坊が最初に見た光のようなあたたかな希望を持ち帰っていただければと思っています。

コロナ禍の中、感染防止策を取りながらのご来場には感謝しかありません。私たちは劇場で胸を張って皆様をお待ちしております。

そして劇場に来ることが叶わないお客様向けて

舞台配信を予定しております。

当作品は映画監督が中心を担う芝居ですから、演劇、映画の枠組みを超える新しい体験をしていただけるような映像作品でのライヴ配信となります。詳細はHPに載っておりますので、配信での観劇も楽しんでいただけたらと思います。

2020版ミュージカル『NINE』、開幕です。

 

・グイド役/城田優さん

とにかく安全第一で、キャスト&スタッフー丸となって大千秋楽を迎えられるよう、いつも通り精いっぱいに舞台に臨んで参りたいと思います。

この2020年にふさわしい様々な国の言葉や字幕を使った、多言語のエンターティンメントな内容で、藤田俊太郎さんがお考えになった演出は非常に面白いので、是非楽しみにしていただきたいと思います。

また、個性あふれる女性の皆さんのエネルギッシュな歌やお芝居にもご期待下さい。

 

・ルイザ役/咲妃みゆさん

私個人としましては約9か月ぶりのミュージカル出演となります。お稽古期間中は、いつの間にか当たり前だと思ってしまっていた様々な出来事に感謝する日々でした。千穐楽まで無事に駆け抜けられることを願いつつ、お客様にエネルギーをお届けできるよう精いっばい頑張ります。きっと、ご観劇なさりながら映画をもご覧になっているような感覚を味わっていただけるステージになっているのではと思います。是非劇場足をお運びくださいませ。

 

・クラウディア役/すみれさん

この作品は、笑いあり、感動もありといろいろな感情を受け取っていただける舞台だと思います。観に来て下さった皆様には、この素晴らしいストーリーから様々なメッセージをお届けしたいと思いますので、是非楽しんで下さい。

今回、私はクラウディアという大女優役に挑みます。とてもきれいなお衣裳とヘアメイクで変身し、コンフィデンスを100%に大女優になりきって頑張ります!

 

・ラ・フルール役/前田美波里さん

私たちがステージに立ち、この公演を最後までやり遂げられることの幸せを祈って、必死に稽古をして参りました。このような時代になり、こんなに大変な時期ですが、沢山の方に公演をご覧いただけることを心から感謝しております。

今回演じるラ・フルールという役では、私が長年やってきましたレビュ一の要素をほんの少し、演出の藤田さんが取り入れてくださっていますので、是非それを観ていただければと思います。グイド役の城田さんが特に素晴らしく、とても素敵な作品に仕上がっていると実感しています。

 

【公演概要】
■タイトル ミュージカル『NINE』

■日時・会場
東京公演:2020年11月12日(木)〜11月29日(日)TBS赤坂ACTシアター
大阪公演:2020年12月5日(土)〜12月13日(日)梅田芸術劇場メインホール

■脚本 アーサー・コピット
■作詞・作曲 モーリー・イェストン
■演出 藤田俊太郎

■出演
グイド 城田 優
ルイザ 咲妃みゆ
クラウディア すみれ
カルラ 土井ケイト
サラギーナ 屋比久知奈
ネクロフォラス エリアンナ
スパのマリア 原田 薫
母 春野寿美礼
ラ・フルール 前田美波里
DAZZLE 長谷川達也 宮川一彦 金田健宏 荒井信治 飯塚浩一郎 南雲篤史 渡邉勇樹 高田秀文 三宅一輝
彩花まり 遠藤瑠美子 栗山絵美 Sarry 則松亜海 原田真絢 平井琴望 松田未莉亜
リトル・グイド 大前優樹/熊谷俊輝/福長里恩(トリプルキャスト)

■公式ホームページ https://www.umegei.com/nine2020/

(2020,11,12)

photo:Akiko Yamashita text:Saki Komura

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