“VR演劇”として2021年に配信された『僕はまだ死んでない』が、有観客の演劇版として2022年2月に上演されます。

ウォーリー木下さんの鋭い洞察力から生まれる、優れた人物描写、そこから生まれる濃密な人間ドラマを存分に味わえる、舞台『僕はまだ死んでない』は、自分の大事な家族が、友人が、最愛の人が、あるいは自分が、生死の境をさまよう事態になったら……?終わりの瞬間を見つめる主人公と彼を取りまく人々、それぞれに湧き起こる想いを、描いた人間ドラマ。
濃密に紡がれる人間ドラマの主人公・直人役とその幼馴染・碧役を、矢田悠祐さんと回替わりで交互に演じる上口耕平さんにこの作品への想いをうかがいました。

 

―舞台『僕はまだ死んでない』への出演が決まった時の気持ちを聞かせてください。
「主人公の直人とその幼馴染の碧を矢田さんと交互に演じることに、まず心が躍りました。Wキャストは一緒に同じ舞台に上がることがあまりないので、今回のように、役を入れ替えてずっと同じ時間を重ねながら役を深めていけるのはすごく良いことだと感じています。通常のWキャストですと、相手の稽古を見て、自分と比較してしまい、良い作用もありますが、別の意識が芝居に生まれて、自分がやろうとしていることへの影響が出てしまうこともあります。ですが、この作品では役を入れ替えることでお互いに良いところを無意識に吸収していけると思っていますし、それがすごく楽しみです」

 

―上口さんが感じている作品の魅力はどんなところでしょう?
「ウォーリーさんの作品は何度も拝見していますが、この作品のVR版ではとても繊細な表現と映像の美しさ、そして言葉が刺さりました。人間は物凄い状況に陥った時、とても人間らしい、シンプルな言葉が出てくるのではないかと思うので、今回初めてウォーリーさんの作品に挑戦しますが、無意識に出てくる人間臭い言葉を引き出してもらえたら嬉しいです」

 

―矢田悠祐さんとは今回が初共演ですね!!
「とても端正なお顔で、スマートさの中にユーモラスな色気を感じるカッコいい役者さんだと思っていました。初めての共演でこんなに深い関係になれることが嬉しかったですし、このタイミングを待っていたんだなって思います。僕が持っていないものを持ってらっしゃる方なので、そんな二人が同じ役を演じることは面白いですね」

 

―今回演じる直人と碧。上口さんとの共通点もしくは全く似ていないなど役柄について感じたことを教えてください。
「直人は物事をアーティスティックに俯瞰で見る力があると感じました。そういう人は自分を冷静に見ることができるので、自分の中に入ってきたことをしっかり分析できると思っています。彼が発する言葉は美しく、的確。でも抽象的。僕も昔からダンスをやっていて、自分を客観的に見る癖がついているので、その部分は直人との共通点として活かせるかなと。碧は、これから分析していくことがとても楽しみです。なぜ彼が直人の病室に家族同然に通うのか。もちろんヒントはありますが、VR版での最後のシーンでもすごく胸が痛かった。子供の頃の残酷さがリアルに響いてきて、そのヒリヒリした部分を碧から感じました。直人のあり方を矢田さんとお互いに感じながら、碧という役を作っていけるのではないかなと思います。稽古を重ねれば重ねるほど膨らんでいくと思うので、何ができてくるのかを楽しみにしています」

 

―濃厚な稽古期間になりそうですね。
「ずっと相手のことを考える時間になるので、切り替えが課題になってくるとは思います。直人が違えば碧も違うので、スイッチしていく感じで切り替えていくことに最初は時間がかかるかもしれませんね」

 

―新型コロナウィルスの影響で公演が中止になったこともあったかと思います。改めて、お客さまのいらっしゃる環境で舞台に立つということへの思いを教えてください。
「コロナ禍を経て思うのは、目には見えませんが、お客さまの発している熱量は本当にありがたくて、すごいパワーが出るんだということです。そのパワーの虜になって僕は舞台を続けているんだと思います。そのパワーを感じる機会がなくなってしまった時は、自分の生きがいを失ったと思いましたが、そこからVR、リモート、ライブ配信などいろいろな形の演劇が生まれて、そしてお客さまも一緒にいろいろな形で演劇を楽しもうとしてくださっている。どんな方法でもついて行くよ!!っていうパワーがすごくて、演劇を愛する方たちの力を感じました」

 

―先ほど上口さんが舞台に立つことで受けとるパワーのお話をいただきましたが、上口さんがお客さまという立場で考える舞台の魅力とは?
「目の前で感じる呼吸や息遣いがとても魅力的だと思います。観ていると一緒に息が止まったりしますよね。その瞬間に舞台上と自分がリンクしている感じになって、心の中が浄化されるんです。同じ呼吸をすることで、細胞がどんどん開いていったり、感情が膨らんで豊かな状態になって、帰る時にはある種のカタルシスがあって、それが舞台を生で見る魅力だと思います」

 

―改めて、この作品をご覧になったお客さまに持って帰っていただきたい気持ちを教えてください。
「出演するにあたり、自分だったらどうするか家族とも議論をしました。ひとつの作品を通して、大事な人と話し合う時間を生み出すことが、演劇を通じて何かを伝える意味でもあると思っています。話し合う時間の良し悪しにかかわらず、大切な時間な気がするんです。いろいろな感じ方があると思うので、それを話し合うきっかけになれば嬉しいと思います」


▶︎上口耕平さんの最近のファッション事情
ー最近のお気に入りのファッションスタイルは?
「夏はトップスもボトムスもオーバーサイズのものが好きで、冬場はどちらもタイトなシルエットが好きですね。最近はトップスがちょっと大きめでパンツが細身のシルエットが好きです」

ーお気に入りの色は?
「やっぱり黒と白が好きです。今日の私服は白トップスに黒のパンツ、白に黒の柄の入ったスニーカーを履いてきました。次は、黒のスニーカーが欲しいなって思っています」

 

ー狙っていたり、具体的にイメージしているものがあるのでしょうか?
「実は今探しているところです。スニーカーの紐が意外とすぐに汚れてしまうので、紐のないタイプを探しています。カジュアル過ぎず、高級感のある大人っぽい感じがいいなって思うので、なかなか見つからず探しているところです」

 

ー最近買った推しアイテムは?
「イベントやライブでネクタイをするんですが、タイピンはマストではなかったのですが、タイピンの魅力に最近気がつきました。舞台上で踊った時に撚れて、“どうしよう”って思うこともありましたが、ネクタイのバリエーションにあわせて細いタイピンもあって、それを見つけて、なんと気持ちの良いことか!!!どんなに動いてもしっかりとネクタイが留まっているという素晴らしさ。今では早くネクタイをつける現場がこないかなって待ち遠しいです(笑)」

 

ー上口さんにとっての癒しは?
「日々の癒しは、ダンスの動画を見ることです。好きなのでものすごく癒されます。公演とかお稽古中の最大の癒しは、今日は目標を達成したなとか、思っていた通り演じられたなと思って家に帰った時に飲む1杯。何もかもが幸せに見える瞬間です」

 

【profile】
上口耕平/Kohei Ueguchi
1985年4月6日生まれ。和歌山県出身。
2002年ドラマ「ごくせん」(NTV)で俳優デビュー、ミュージカルを中心に活躍中。高校時代から数々のダンスコンテストに入賞、キレのあるダンスには定評がある。主なミュージカルの出演作は『天使にラブ・ソングを』(2016,2017)、『タイタニック』(2015,2018)、『BACKBEAT』(2019)、『ウエスト・サイド・ストーリー Season2』(2020)、『RENT』(2020)、『屋根の上のヴァイオリン弾き』(2013,2021)、『ドン・ジュアン』(2019.2021)、『グリース』(2021)など。

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Akiko Yamashita

▶︎インタビュー当日は公演ビジュアルの撮影日!!

ビジュアル衣裳を纏った上口さんがいろいろな表情をみせながらの撮影が続きます。

撮影された写真をスタッフさんがモニターで即チェック!!

撮影の合間にスタッフさんに笑顔を見せる上口さん。

撮影は緊張感とリラックス感があいまった素敵な空間と時間の中で。

 


【公演概要】
■タイトル
舞台『僕はまだ死んでない』
■日程・会場
2022年2月17日(木)~2月28日(月) 銀座・博品館劇場
■原案・演出 ウォーリー木下
■脚本 広田淳一
■出演
矢田悠祐 上口耕平 中村静香/松澤一之・彩吹真央
■主催/企画・製作 シーエイティプロデュース
■公式ホームページ
https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2022/bokumada2022/index.html
■公式Twitter @Bokumada2022


☆PRESENT☆
今回インタビュー初登場の上口耕平さんのサイン入り写真を1名さまにプレゼントいたします。
ご応募は下記をご確認ください。
1.NorieMのtwitterアカウント(@noriem_press)をフォロー。
2.プレゼント該当twitterをリツイート。
3.該当ツイートにコメントで応募完了です。
※締切は1/13(Thu) 23:59、当選の方へはtwitter DMでご連絡いたします。プレゼントの発送は日本国内のみとなります。
プレゼントツイートは1/8(Sat) ツイートいたします。たくさんのご応募お待ちしております!!


(2021,01,05)

#NorieM #NorieMmagazine #ノリエム #僕はまだ死んでない #上口耕平 さん