中村勘九郎さんが主演する、スペクタクルリーディング『バイオーム』の公開ゲネプロが、2022年6月7日(火)に、東京建物Brillia HALLで行われました!!

本作は、宝塚歌劇団で心に残る数々の名作を手掛けてきた上田久美子さんが、退団後初めて書き下ろした戯曲を、『麒麟がくる』『精霊の守り人』を手掛けた一色隆司さんが演出する“スペクタクルリーディング”です。

演劇界を牽引する勘九郎さん、花總まりさん、古川雄大さん、野添義弘さん、安藤聖さん、成河さん、麻実れいさんという7名の俳優たちが、1人2役を演じ、ある豪邸の庭先で語られる一つも美しくない物語を綴ります。

 

物語は、ある政治家一族の豪華な庭の一角で進行します。その家の男の子、ルイ(勘九郎さん)は、夜になると部屋を抜け出しては、大きなクロマツの木の下にいました。そこで、フクロウの声を聴くのを待っていたのです。そして、ある日、植物たちの声を聞きます。

ルイの家族は、みな、様々な思惑を抱えていました。父・学(成河さん)は家族を顧みることなく政治家としての仕事に没頭しています。母・怜子(花總さん)は心のバランスを欠き、怪しげなセラピーに逃避して、息子の問題行動の奥深くにある何かには気づきません。さらに政治家一族の家長として家族を抑圧する祖父・克人(野添さん)、いわくありげな老家政婦・ふき(麻実さん)、ふきの息子で庭師の野口(古川さん)も加わり、複雑に絡み合っていきます。

出演者たちは、勘九郎さんを除き、植物役と人間役をそれぞれ演じます。物語は植物たちの声と人間たちの生々しい日々が混在して描かれ、次第に、人間の醜さを浮き彫りにします。

人間のパートでの出演者たちの熱演は、目を見張るものがありました。朗読劇と銘打っているため、植物パートは、台本を読みながら演じていますが、人間パートではどの出演者も台本を手放し、全身を使って表現していました。特に、怜子が、次第に正気を失っていくシーンの花總さんの演技は圧倒的でした。
心を抉るようなストーリーが展開していきますが、その中にあっても真っ直ぐさを失わないルイの姿に希望の光を感じられました。

 

開幕を直前に控え、勘九郎さんをはじめとした出演者の方々からのコメントも到着しました。

◆出演者コメント
ルイ・ケイ役:中村勘九郎さん
最初は朗読劇として稽古を進めていたのですが、稽古を進めていくうちに作品がどんどん進化していき、ついていくのが大変でした(笑)。今でも難しく感じておりますが稽古中は皆さまに助けていただきながら進められたので、短い期間で充実した稽古でした。本作は配信もございますので、映像ならではの美しさをおうちでも楽しんでいただけること間違いなしです。大変な状況下ではありますが、メッセージ性の強い作品になっておりますのでぜひご覧いただき、多くのものを感じ取っていただけたらと思います。

 

怜子・クロマツの芽役:花總まりさん
スペクタクル・リーディングって?と頭にはてなが浮かんだ当初から気付けば2週間余りのお稽古期間はアッという間に過ぎて、初日は目の前。まだ迷いや不安との闘いの中ですが、今までに経験したことのない2つの対照的な役に全力で立ち向かっております。素晴らしい共演者の方々と共に千穐楽まで全集中で駆け抜けたいと思っておりますので、ご覧になるお客さまには濃密でセンシティブな舞台時間を共に味わっていただければと思っております。

 

野口・一重の薔薇役:古川雄大さん
稽古の一瞬一瞬がとても刺激的で、あっという間に過ぎていきました。それと同時に、上田さん一色さんという最高のタッグに、尊敬する先輩方と共に過ごす時間は濃厚に感じました。そして、わずかな時間で着実に出来あがっていく“スペクタクル・リーディング”を目の当たりにし、震えました。
僕も野口・イングリッシュローズとしてこの世界に立てることを幸せに思いながら、これから千穐楽まで役を全う出来るように努めます。皆さま、ご期待ください。

 

克人・クロマツの盆栽役:野添義弘さん
スペクタクルリーディングという言葉は、今回初めて耳にしました。スペクタクル?どうなるのか?全く予想がつかなかったのですが稽古に参加する度に、なるほど!!なるほど!!と思えるようになりました。
まさにスペクタクルリーディングです。これがスペクタクルリーディングです。皆さま同様、私も初めての体験です。
ドキドキワクワクしながら演じたいと思います。皆さまもスペクタクルリーディングの世界にドップリと浸かってください。

 

ともえ・竜胆役:安藤聖さん
経験したことも目撃したこともない朗読劇に仕上がっています。タイトル通り、スペクタクルなリーディング劇です。なので稽古中は、これか?これか!!と様々な課題に頭がフル回転していました。頭も身体も疲れ切っているはずなのに楽しんで稽古に参加できたのは、素晴らしい共演者の皆さま、スタッフの皆さまがいてくれてのことです。迎える本番では、ここまでのプロセスをしっかりお客さまに観ていただけるよう、そして作品を存分に楽しんでいただけるよう、思いを込めて舞台に立ちます。

 

学・セコイア役:成河さん
試演としての朗読劇からは随分とはみ出して欲張ったものになっていると思います。3週間あるんだったら覚えませんか、などと焚き付けてしまった責任の一端も感じつつ、これは吉と出るか凶と出るか、ドキドキしております。ミクロな視点とマクロな視点を行き来する非常にダイナミックな戯曲です。この戯曲の持つスケールと繊細さを損なわないよう、最新の手付きと集中力で5日間、お客さまと共に作品を育てて行ければと思います。よろしくお願いします。

 

ふき・クロマツ役:麻実れいさん
頂いた本に初めて目を通した時、私にはとても難解な作品と感じましたが読み込んでいくうちに、ふきと植物たちを通して、生きていく強さと暖かさが私の中に広がり始めました。
この気持ちを最後まで育み、皆さまにお渡しできたらと願っています。

 

【公演概要】
■タイトル
スペクタクルリーディング『バイオーム』
■日程・会場
2022年6月6日(水)~6月12日(日) 東京建物Brillia HALL
■作 上田久美子
■演出 一色隆司
■出演
中村勘九郎 花總まり 古川雄大 野添義弘 安藤聖 成河 麻実れい
■公式ホームページ

https://www.umegei.com/biome/

■ライブ配信
2022年6月11日(土)17時公演を国内・海外ライブ配信決定(アーカイブあり)

(2022,06,08)

photo&text:Maki Shimada

#NorieM #NorieMmagazine #ノリエム #バイオーム #中村勘九郎 さん #花總まり さん #古川雄大 さん #野添義弘 さん #安藤聖 さん #成河 さん #麻実れい さん