数々のヒット作を生み出しているドーヴ・アチア氏が音楽・脚本・歌詞を手掛けたフレンチミュージカル『キングアーサー』の日本版公演が2023年1月から上演がスタートします。
2020年に韓国ミュージカル界最高峰のミュージカルアワードにて演出賞を受賞したオ・ルピナさんが演出を手がける日本版の『キングアーサー』で主人公・アーサーの妻グィネヴィアを小南満佑子さんが演じます。多彩なキャストが集結する話題作への想いをうかがいました。

 

ーミュージカル『キングアーサー』には、フレンチミュージカルというタイトルが付いています。作品の音楽の印象と作品の魅力を教えてください。
「フレンチロックというテイストの曲は初めてで、すごく難しいです。リズムの取り方、歌い方も繊細な表現が多いので、いろいろな楽曲を練習していく中で、フレンチロックを私の中に吸収させていきたいと思っています。この作品はケルト民族を題材にしていて、ミュージカル作品としてはあまり他にないテイストの作品だと思います。そういった歴史を知っていくことも楽しみですし、物語としては、王様に妃、騎士などおとぎ話のような世界ですが、剣をめぐり争うなかでいつしか人間関係やいろいろなことが変化していく様がとても人間らしくてリアルな部分であり、演じがいがあると考えています」

 

ー今回小南さんは、主人公・アーサーの妻・グィネヴィアを演じますが、アーサーを演じる浦井健治さんの印象は?
「作品でご一緒するのは今回が初めてですが、番組でご一緒する機会があって、とても優しい印象です。いつも気遣ってくださる本当に優しい方なので、この作品では大船に乗ったつもりで、寄り添っていきたいです」

 

ー小南さん演じるグィネヴィアはどんな女性でしょうか?
「メレアガンの婚約者でありながら、アーサーのところへ行ってしまい、ランスロットに…という少し気が多い女性のように見えますが、彼らの争いに巻き込まれてしまい、そこから彼女が核になり、彼女をめぐる争いに巻き込まれていくことに説得力がある魅力的な女性です。彼らが彼女に惹かれるポイントがどこにあるのか。グィネヴィア自身は妃でありながらも、本当に好きな人と恋をすることを選びます。彼女は芯が強く、自由を求めて葛藤している中で、アーサーの元へ、そしてランスロットの元へ行ったのだと思います。ただ感情に身を任せていろいろな男性の元へ行くのではなく、そこには彼女の自由を求める意志があります。自分の気持ちを再確認しながらも前に歩み続けていることをお客さまと共有し、共感していただけたら嬉しいです」

 

ーグィネヴィアの感情や行動で共感できる部分やご自身と似ていると感じる部分はありますか?
「良くもあり、悪くもある部分ではありますが、間違ったことは間違いですとはっきり言える、真っ直ぐすぎるところです。グィネヴィアは王の妃でありながらもランスロットの方へ行ってしまう。ご法度とわかっていながらも、彼女自身、ずっと表に出なければいけない立場で、周りに人はいるけれど実は孤独だったのではないかなと思います。その中で唯一心を通わせることができた相手がランスロットだった。そう思うと、グィネヴィアが彼に惹かれていくのも理解できますし、ランスロットを選ぶというところも彼女らしいなと思います。同じ環境だったら私もそうすると思うので、そこが似てるかもと思います」

 

ー意志を持って行動していくところがグィネヴィアと小南さんとの共通点だと感じますし、小南さんがグィネヴィアを演じるのにぴったりだなと感じました。今回Wキャストで同じ役を演じる宮澤佐江さんの印象を教えてください。
「歩んできた道はそれぞれ違いますが、誕生日がすごく近くて(小南さん8月10日生まれ、宮澤さん8月13日生まれ)波長が合うなと感じます。グィネヴィアは妃であり、ヒロインですが、私も宮澤さんもすごくカラッとしていて、すごく似ています(笑)。とても優しい先輩と一緒に切磋琢磨しながら楽しみたいです」

 

ー初めて演じる役の役づくりでいつもしているルーティンは?
「時代背景や歴史的なことを調べることはもちろんですが、ひたすら台本を読みます。台本に出てくる言葉は、脚本家がこの言葉ではないといけないと選ばれている言葉なので、なぜこの言葉になったのかを考えます」

 

ー今回衣裳を手がける前田文子さんの衣裳は本当に素敵で、衣裳を見るだけで作品の世界へ一気に誘われ、想像が膨らむ魔法がありますよね!!
「歴史ある作品で、舞台の衣裳としてはとても珍しいローシルクが使用されています。それは当時のケルトの人たちが実際に着用していたもので、そういうところにも、スタッフの皆さんが作品の世界観を大切にしていることや作品の背景を感じることができます。衣裳は、重厚感があり、それが役を作る手助けになります。浮き足立つところをしっかりと地に足をつけて、この役として生きている、存在していると感じさせてくれて、役として具現化させてくれるのが文子さんの衣裳だといつも感じています。手を通すだけで役が憑依するような、物語がスタートするような衣裳をいつも作ってくださいます。今回の『キングアーサー』は日本初上演ですので、素材選びからこだわっています。文子さんとお会いした時に、“このグィネヴィアの衣裳いいよね”って言ってくださったので、文子さんが自信を持ってゼロから作りあげた衣裳を着て、私も自信を持って役に挑みたいと思います」

 

ー今回モルガンを演じる安蘭けいさんとは2021年12月まで上演された舞台『蜘蛛女のキス』でも共演されましたが、宝塚(歌劇団)が大好きだった小南さんにとってどんな先輩ですか?
「私は(安蘭さんが)宝塚現役の頃から舞台を拝見し、DVDも擦り切れるくらいまで見ていました。安蘭さんとは同じ関西出身なので、いつも楽しく、そしてかわいがっていただいています。昨年コンサートをしたときも見にきてくださって、本当に細やかな気遣いと皆さんへの愛に溢れた大好きな先輩です」

 

ー同じ役者として安蘭けいさんのここがすごい!!というところを教えてください。
「絶対に弱音をはかれないところです。ネガティブな言葉を絶対に発しないんです。お稽古中はみんなで開幕に向けて一丸となって作品作りをしていく中で、不安なことやどうしようという悩みが出てくることが必ずあります。そういう時に“大丈夫。なんとかなるよ”ってポンと背中を押してみんなを導いてくれる逞しさ、強さがかっこいいなと思います。私自身もネガティブな言葉を発しないようにと気をつけていましたが、安蘭さんのスタッフさん、キャストさんを引っ張るかっこいい姿勢を見て、改めて自分もそうしようという気持ちが強くなりました」

 

ー最後にこの作品で楽しみにしていることと読者の皆さんへメッセージをお願いします。
「今回この作品は、オ・ルピナさんが演出されます。私自身韓国ミュージカルが大好きですし、日本で韓国の演出家が演出する作品へ出演できる機会はあまりないので、とても嬉しく、楽しみです。ルピナさんが思い描く『キングアーサー』のグィネヴィアをしっかりと作っていきたいです。待望の日本初上演になりますので、ミュージカルファンの方はもちろん、たくさんの方が期待している作品だと思います。2023年の幕開け、新たな年に相応しい作品です。フレンチロックのパワー溢れる歌声とダンスもたくさんあり、見どころ満載のミュージカル。パワー溢れる私たちのパフォーマンスで、皆さんにもパワー漲ること間違いなしです。ぜひ楽しみにしてください」

 


▶︎小南満佑子さんのファッションと美の事情◀︎
ーいつもエレガントな印象の小南さんの好きなファッションスタイルは?
「コンサートや制作発表ではドレスを着ることが多いのですが、普段のスタイルはパンツルックやシックなものが好きです。スカートよりもジャケットにパンツスタイルが多いと思います」

 

ー小南さんに初めてインタビューでお会いしたのが2017年2月でした。そこからお会いするたびにどんどん素敵になる小南さんの美の秘訣をお聞きしたいです!!
「意識はしている方だと思います。最近はピラティスにはまっているのと、お肌のケアも美顔器を使ったりしながら頑張っています。美容やコスメ、お洋服も大好きで、人から見られた時に自分にフィットするものはなんだろうということをいつも考えて、新しい情報をキャッチするようにしています。食事面では、油っぽいものや重い食事はしないよう心がけて、なるべく粗食にして気をつけています」

 

ーご自身でお料理もしていますか?
「そうですね。皆さんに披露できるような立派なメニューではありませんが、素材に気をつけていて、なるべく無農薬のものを選んで作っています。母がオーガニックで良いものを教えてくれるので、情報収集をしながら身体に良いものを摂るように気をつけています」

 

ー美しさというところでは、座るときの姿勢や立っている時の姿勢でも感じるところですが、それぞれ意識しているのはどんなことですか?
「宝塚(歌劇団)が大好きで、作品を拝見している中で、娘役さんの所作や男役さんがリードする時の娘役さんの見せ方がきれいに見せるという点でとても勉強になります。スカートの捌き方や普段着ることがない時代のものはどんな風にすると綺麗に見えるのか作品を通してたくさん見て勉強しました。幼い頃からバレエをしていたので、常に姿勢は意識をしています。お仕事などでスイッチが入った時は、手や足の見え方、座り方が少しでもきれいに見えるようにと考えています」

【Profile】
小南満佑子/Mayuko Kominami
1996年8月10日生まれ。兵庫県出身。
2015年4月ミュージカル『レ・ミゼラブル』でデビュー。2016年には『Endless SHOCK 2016』リカ役に、2017年にはミュージカル『レ・ミゼラブル』コゼット役に抜擢。主な出演作は、ミュージカル『アリージャンス~忠誠~』ハナ・キャンベル役(2021年)、『蜘蛛女のキス』マルタ役(2021年)、『ラ・カージュ・オ・フォール』アンヌ役(2022年)、『盗まれた雷撃』アナベス役(2022年)。
■公式ホームページ

https://www.horipro.co.jp/kominamimayuko/
■公式Twitter

@Mayuko_Kominami
■公式Instagram

@mayuko_kominami.official


【公演概要】

■タイトル
ミュージカル『キングアーサー』

■日程・会場

2023年1月12日(木)~2月5日(日) 新国立劇場 中劇場

■出演
浦井健治 伊礼彼方/加藤和樹(Wキャスト) 太田基裕/平間壮一(Wキャスト)
小南満佑子/宮澤佐江(Wキャスト) 小林亮太 東山光明 石川禅 安蘭けい ほか
■公式ホームページ
https://horipro-stage.jp/stage/kingarthur2023/
■公式Twitter

@kamusicaljp
■公式Instagram

@kamusicaljp

(2022,12,21)

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Akiko Yamashita

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