2018年の初演を経て、6月6日(木)から東京芸術劇場シアターウエストで新キャストで再演されるミュージカル『SMOKE』。天才詩人と言われながら、27歳の若さで亡くなった韓国人詩人イ・サンの作品「烏瞰図 詩第15号」をベースに作られ、出演者三人で表現する天才詩人の詩と美しい音楽の世界。
今年25周年を迎えた彩吹真央さんにミュージカル『SMOKE』についてお話をうかがってきました。

 

ー4月の25周年アニバーサリーライブを終えて、ミュージカル『SMOKE』のお稽古に入っていらっしゃいますが、お稽古はいかがですか?
昨年の初演を拝見した時に、独特の世界観を四方囲みの舞台で上演するということに芸術性を感じました。その作品を今回石井一孝さん、藤岡正明さんと共演させていただくということになった時は、なんて贅沢な作品、キャスティングなんだと想像しただけでありがたいなって思ったのが第一印象です。稽古場での初めての歌入りの稽古では、想像通り3人の声が重なったときの快感、爽快さはミュージカルの醍醐味だなって感じるところがありました。楽曲の素晴らしさはもちろんですが、石井さん、藤岡さんお二人共とても歌が上手でテクニックが素晴らしいので、そこに乗っかっていきたいし、乗っかるだけでなく自分も引っ張っていきたいと感じました。3人で刺激しあいながら高みに到達できたらいいなと思っています。

ー彩吹さんが考えるミュージカル『SMOKE』の魅力とは?
この作品は、韓国の天才詩人のイ・サンの話です。私も昨年拝見するまで存じあげていなかったのですが、調べれば調べるほど、彼の打ちのめされた人生や若く超越した才能を持ちながらも早く死を迎えてしまう人生をどう描くのだろうと感じています。トリックやサスペンスの要素もあるので、結末はここではお話できませんが、客席に座っていただいたら、まずサスペンス性の部分にぐっと引き込まれると思います。私たちが理解した上で、歌ったり、お芝居をしたりしていても、この先どうなるんだっけというワクワクするような気持ちがあります。初見で拝見したときも、この3人は何者でどうなっていくんだというところに興味を持たざるを得ないストーリーに引き込まれました。ご覧になるお客さまがこの3人それぞれに自分を投影し、共感できるセリフがたくさん散りばめられているので、最終的には私たちを通して、まるで鏡の中を覗いたようにご自身を見つめるきっかけになるのではと思います。人は日々生きていく上で、自問自答をしていくと思います。その自問自答さえ避けたいときもあれば、自分に問いかけるときもあると思います。もちろんそれは人それぞれであると思いますが、難しく考えずに、それが生きていくことだと到達できる作品だと思います。見終わった後にはすっきりとシンプルな自分を見つけていただける作品になればいいなと思って取り組んでいます。

 

ー現在稽古真っ只中ですが、どんなところに苦労されていますか?
中身が実は難しくて。難しいというのは謎解きの部分もあれば、作品自体の構成の部分でもあります。時系列的なところも絡んでいるので、演じる私たちは100%以上理解して、表現しないと嘘になってしまうし、お客さまにより見やすくお伝えするには、理解を深めておかないといけないので、台本をいただいて時間は経ちましたが、家で無音の中で台本と向き合う時間が多いですね。もっとここはどうなんだろう、だったらこう表現したいとかどんどん深みにはまりたくなる題材なんですよね。自分が深みにはまればはまるほど理解し、それをお客さまにわかりやすく提示できると思っています。1回しかご覧になれない方に良いものをお届けするのはもちろんですが、今回はもう1回観たいなと思っていただく方が多い作品だと思います。実はタイトルが『SMOKE』なので、作品のファンを愛煙家っていうみたいです(笑)。なので愛煙家を増やしていきたいですし、私も既に愛煙家です(笑)!!お稽古に集中して、家に帰っても台本を見つめて、もっと深みにはまっていきたいと思っているので、かなりの愛煙家ですね(笑)。

ー前回インタビューさせていただいたのが、『Red Hot and COLE』のときでしたが、今回インタビューさせていただいている彩吹さんの表情にも変化がありますね。
今、自分がこれを突き詰めたいと思うイコール、人間てなんだろうという突き詰め方を結構やっていて、イコール私って何だろうと追求しようとしているからかもしれませんね(笑)。

ー最後にミュージカル『SMOKE』の見どころとメッセージをお願いします。
観にきてくださる皆さま。自分て何だろう、人間て何だろう、自分の本当の願い、本質は何だろう…など生活する中で考えると思います。それを勇気を持って触れることができる、自問自答したくなる作品だと思います。イメージ的に難しいのかな?とか暗いのかな?という印象を受けるかもしれませんが、全くそんなことはありません。稽古をしながらも、個性が豊かすぎて、すごいところに行くのではないかと改めて感じています。初演をご覧になった方は、全然違う感覚になっていただけると思いますし、今回初めてご覧いただく方には、私たちの『SMOKE』に期待して欲しいです。感情の流れがあって歌があって、ミュージカルってこういうものだよねと感じていただけると思いますし、苦痛があるから希望があるんだという生きていく上で当たり前の部分もたくさん感じることができます。自分自身を改めてボジティブに見つめ直すことができる作品です。愛煙家になっていただいて、ぜひ楽しみに観にきてください。

 


【profile】
大阪府出身。1994年宝塚歌劇団に入団。繊細な演技力と豊かな歌唱力を持つ男役スターとして様々な舞台で活躍。2010年宝塚歌劇団を退団後は舞台を中心に活動しているが、コンサートやライブ、CD等の音楽活動、そして声優など幅広い活動を展開している。退団後の主な出演作に『Pal Joey』『サンセット大通り』『シラノ』『ロコヘのバラード』『ラブ・ネバー・ダイ』『マリー・アントワネット』等のミュージカル作品、『アドルフに告ぐ』『オフェリアと影の一座』『イヌの仇討(こまつ座)』等のストレートプレイ作品がある。『End of the RAINBOW』の主演ジュディ・ガーランド役では体当たりな演技で観客を魅了した。2019年4月に芸歴25周年を迎えた。6月にミュージカル『SMOKE』、8月にはミュージカル『フリーダ・カーロ』で主演予定。

 

【公演概要】
■タイトル ミュージカル『SMOKE』
■日程・会場 2019年6月6日(木)〜6月16日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
■出演 石井一孝 藤岡正明 彩吹真央
■公式ホームページ http://musical-smoke.com/

(2019,05,20)

photo:Hirofumi Miyata
interview&text:Akiko Yamashita

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