東京ミッドタウン日比谷で行われた「ミュージカルのひろば」にて、4月30日、コンサート「明日は!」が開催されました。この模様をレポートします。

『レ・ミゼラブル』スペシャルメドレーが國井雅美さんのピアノと長谷川友紀さんのパーカッションの生演奏で流れる中、コンサートがスタートしました。

この日、司会を務めるのは様々な作品で音楽監督・指揮を務めてきた塩田明弘さん。塩田さんは、この日が「平成」最後の日であり、翌日からは新元号「令和」となることを踏まえ、「明日」をテーマにしたミュージカルコンサートを開きたい、という趣旨説明をしました。まずは、と紹介されたのは『ウエストサイド物語』から「Something’s Coming (何か起こりそう)」を中井智彦さんが、そして『CATS』から「メモリー」をやまぐちあきこさんが熱唱しました。中井さんは太くたくましい声量を、やまぐちさんは伸びのある高音を響かせると、会場から大きな拍手が送られました。

 

「今、ちょうど『レ・ミゼラブル』の本番中なんです」と語る中井さん。塩田さんも旧演出時には同作の指揮をされていて、「当時中井さんは東京芸術大学を出てすぐの頃だったね」などと旧交を深めていました。そしてこの日歌った『ウエストサイド物語』について作曲を手掛けたバーンスタインの楽曲について、中井さんは「いろいろなモチーフが重なり合っている」と特徴であり魅力を語ると、塩田さんも「バーンスタインがいなければ今の『レ・ミゼラブル』などのミュージカル作品は生まれなかった。そのくらい基点となる作品を手掛けた人物」と改めて評価していました。

元宝塚歌劇団で月組の男役だったやまぐちさんは、自身が歌った『CATS』のナンバーについて「シンセサイザーを使うなど当時は斬新だったけどベースにはクラシックがありますね。フレーズが長いんです」と歌の背景を解説。「メモリーは音符どおり歌わなければならないからシンプルだけど難しいんですよ」と塩田さんもうなずいていました。

その後、中井さんとやまぐちさんのデュエットで『ウエストサイド物語』の「トゥナイト」を溢れんばかりの熱量で披露。二人の歌声を聴いていると目の前にミュージカルの名場面が広がるようでした。

その後、『サウンド・オブ・ミュージック』の「My Favorite Things(私のお気に入り)」をドラムとピアノでまずは本来のバージョンで演奏し、その後ジャズアレンジで、さらにはマーチ風に演奏し、その雰囲気の違いを楽しむ趣向を披露。観客も笑顔を浮かべていました。
後半では中井さんが『ジキル&ハイド』から「This Is The Moment(時が来た)」をパワフルに、続いてやまぐちさんが『マイ・フェア・レディ』から「踊り明かそう」を満開の花が咲き乱れるように歌います。最後は中井さんとやまぐちさんとで『アラジン』の「ホール・ニュー・ワールド」、そして『アニー』の「トゥモロー」を大人の魅力たっぷりに歌い、会場から拍手喝采の中お開きとなりました。

 

終演後、塩田さんと中井さんにインタビュー!!


・塩田明弘さん

ー今回初めて取材させていただきました。すごくわかりやすい視点で音楽という切り口でミュージカルの楽曲の魅力を楽しくお話してくださいました。このような切り口でお話をしようと思われた意図などを教えてください。

お客さまが舞台を観に来られて、歌を聞いて、芝居を観て、ダンスを観て、総合的に作品を楽しんでいらっしゃる中で、いろいろなお話をすることで舞台とお客さまとの距離を近くする、お客さまが劇場へ足を運びやすくするということを考えました。ミュージカルだけでなく、さまざまな劇場へ足を運ぶお客さまがもっと増えてほしいと思っています。劇場の面白さ、楽しさ、ミュージカルの場合は音楽もありますし、キャスト、裏方さんやたくさんのスタッフがいる中で作品ができていると感じることで、より一層深く作品を知ることができますし、劇場へ行くことへの素晴らしさを感じていただけるかなという願いからこのような構成に至りました。

 

ーまさに今日はそれがお客さまへ伝わって、劇場へ足を運ぶのが楽しみになる想像力を掻き立てるお話の数々でしたね!!

ありがとうございます。少ない人数での編成でしたが、実際のピットの中ではこのように演奏されているということを感じていただけたのではないかと思います。ミュージカルは、たくさんの音楽のジャンル、リズム形式があるんだと理解していただき、さまざまな角度からミュージカルの楽しさを感じていただければと思っています。今回は東京だけでしたが、今回のようなイベントを草の根運動的に行い、いろいろな場所を訪ね、劇場へ来られたことがない方も興味を持っていただけるようになるといいなと思っています。

 

ーいろいろな作品を長くオケピでの演奏を指揮されてきた塩田さんだからこそできることですね。

音楽監督もさせていただき、ミュージカルの作品ができるまでの過程をいろいろな観点から見てきました。19歳から劇場に携わってきた経験が私にとって大きな財産です。その大好きな劇場で今も仕事をさせていただけることに感謝して、その劇場の素晴らしさをお客さまにもっと知ってもらいたいと思っています。

 

ーミュージカルでは、今生まれたばかりの新曲に触れる機会も多いと思います。その魅力を教えてください。

ミュージカルは装置・美術・照明・衣裳のほか、たくさんの人と技術が結集した総合芸術です。芝居と音楽の融合、ダイナミックなシーン展開、セットや衣裳の華やかさも魅力だと思います。人生において刺激を受ける言葉、深く考えさせる言葉や芝居、そういった言葉を通じてお客さまに訴えかける作品が多いのもミュージカルの特徴ですね。嫌なことを忘れてハッピーな気持ちにさせてくれる作品もたくさんあります。私は作り手の一員として、お客さまが劇場を出たときに何か心に残るようなメッセージをお届けできればと思いますし、皆さまにはミュージカル、オペラ、歌舞伎、バレエというジャンルを越えて、いろいろな劇場へ足を運んでいただきたいと願っています。


・中井智彦さん
ーイベント終わっての感想を教えてください。

ミュージカル作品や歌のトークを交えながら、実際歌わせていただくというのは、より作品への理解が深まり、本当に面白い企画だなと思います。実際のお話の中で、僕も塩田さんから学ばせていただくことが大きくて、とても勉強になりました。今回ワイルド・ホーンさんの曲を歌わせていただきましたが、これまでなかなかコンサートで歌う機会がなかったので、緊張感のあることでした。歌ってみて改めて大変な曲だなって(笑)。

 

ー今日のイベントのお話の中で新しい発見がたくさんあったと思いますが、改めてミュージカルのここをみて欲しいというところを教えてください。

作曲家によって作品の雰囲気は変わります。ひとつの作品を何度もご覧いただいて深めていく面白さもありますが、いろんな作品を幅広くご覧いただいて、こういう作曲家もいるんだと発見していただけたら嬉しいなって思います。

 

ー中井さんご自身の次への挑戦を教えてください。

挑戦してみたい作品や歌はたくさんあるのですが、フランク・ワイルドホーンさんのミュージカルにまた出てみたいですね。あとは、レナード・バーンスタインが作曲した『キャンディード』。すごく大好きな作品ですので、また関わらせていただけたら嬉しいですね。


◇このほかの「ミュージカルのひろば」を写真でご紹介
4月29日には桜木涼介さん×早霧せいなさんによるBumpy Lensトークショーが行われました。

こちらは別途レポートを準備しております!!

5月1日には山野靖博さんによるトークセミナー「ぷりっつ先生の音楽ノート」を開催。

photo:Sawa/piano:森脇涼さん

5月2日には三浦涼介さんを招いてのBumpy Lensトークショーが開催されました(サプライズゲストで廣瀬友祐さんが登場!!)

こちらは別途レポートを準備しております!!

5月3日には女優倶楽部(皆本麻帆さん、関谷春子さん、万里紗さん、宮澤エマさん、まりゑさん)×演出家の板垣恭一さんによるトーク&パフォーマンスが行われました。

photo:Midoriko/guitar:中山彰太さん

5月11日には上村由紀子さんが構成・司会を務め、女優の保坂知寿さんを招いたトークショーが行われました。


photo:Sawa


(2019,06,19)

photo&interview:Akiko Yamashita/text:Saki Komura

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