夏の風物詩ともいえる『八月納涼歌舞伎』が今年も8月9日(金)から東京・歌舞伎座にて開幕します。

今年の演目は第一部が「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」と「闇梅百物語(やみのうめひゃくものがたり)」、第二部が「東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)」第三部が「雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)」となっていますが、初日を翌々日に控えた7日、同劇場にて「伽羅先代萩」の通し稽古が公開されました。

写真左から中村七之助さん、市川猿之助さん、松本幸四郎さん、中村扇雀さん、坂東彌十郎さん、市川中車さん

 

本演目で乳人政岡を務めるのは中村七之助さん。今回が初役となります。また七之助さんの兄・勘九郎さんの息子である勘太郎くんと長三郎くんとの叔父甥共演も見どころです。

「伽羅先代萩」は江戸時代に起こった大名家のお家騒動を題材とした時代物。政岡はお家横領を企む執権・仁木弾正から幼い若君・鶴千代(長三郎くん)を守るため、御殿の奥で自ら食事を作っています。そこへ見舞いと称して栄御前(扇雀さん)が、持参した菓子を鶴千代に勧めます。毒殺を恐れる政岡が戸惑うところに走り出て菓子を口にしたのは政岡の息子千松(勘太郎くん)でした……。

初役とは思えない七之助さんの堂々たる政岡は、若君第一のため、実の息子にあえて厳しく躾ける様に胸が締め付けられそうになります。着物のはおり方や、ちょっとした顔や首の角度で政岡の感情の起伏を丁寧に表現する七之助さんから目が離せません。一方で千松を演じる勘太郎くんは、厳しく接する母の期待に応える凛々しい息子に、そして若君鶴千代役の長三郎くんは自分がいずれ主君になる事を自覚している立派な若殿ぶりを発揮していました。

 

通し稽古が終わった後で行われた会見には七之助さんと、市川猿之助さん、松本幸四郎さん、中村扇雀さん、坂東彌十郎さん、市川中車さんが出席し、初日に向けたそれぞれの心境を語りました。

七之助さんは初役である政岡を演じるだけでなく、甥の二人とも共演という点について「私の事だけでもいっぱいいっぱいなんですが、御簾が開いて二人の顔が見えた瞬間、父の事を思い出してグッときました」と本音を吐露。また、若君と息子のために食事を作る“飯炊き(ままたき)”の場面が有名だが、「ご覧になっているお客さまからクレームが入るんです。この時代にあんな釜はなかった、とか。だから玉三郎さんは自費でその時代にある釜を買ったんです。その釜を使わせていただいているのですが、あまりにも高価なので手が震えてしまいます。素手で触るとそこから劣化していくそうなので手袋をして使っています」と裏話を披露していました。

歌舞伎界も次世代が続々と舞台に登場しているという話から、幸四郎さんは息子染五郎さんの成長について水を向けられると、「成長しているかは分かりませんが、身長はどんどん大きくなっていて20㎝以上違うかも(笑)。あと、(染五郎さんを)美少年として取りあげてくださっていますが、僕も昔は美少年扱いされていたので、その事も合わせて思い出していただけたら」と笑いを誘っていました。

 

『八月納涼歌舞伎』は8月27日(火)まで、東京・歌舞伎座にて上演されます。

 

【公演概要】

■タイトル   八月納涼歌舞伎

■日程・会場  2019年8月9日(金)~8月27日(火) 歌舞伎座

■公式ホームページ https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/625

(2019,08,08)

photo&text:Saki Komura

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