朝比奈あすかさんの「人生のピース」(双葉社)原作のミュージカルが8月8日から東京芸術劇場シアターウエストにて上演されます。
34歳の中高女子校で共に過ごした潤子、みさ緒、礼香の3人の女性が繰り広げるありがちな選択をした彼女たちのありがちではない婚活ストーリー。
主人公である潤子を演じる木村花代さんに初日を約2週間後に控えた7月25日に稽古場でお話をうかがいました。

 

ー幕開けまで2週間になりますが、お稽古はどんな雰囲気ですか?
「全体の流れはまだこれからで、今はまだ各セクションそれぞれでお稽古をやっているところです。昨日歌が全部出来上がってきて、それに合わせて振りを加えたり、ステージングを変更したり、ゼロから皆で作っているという感じです。セリフも、演出の横山さんと相談しながら小説の言葉を使ったり、小説にない言葉は、自分なりに解釈して、ディスカッションをしながら細かく細かく作っている段階です」

 

ー“ありがちではない婚活ストーリー”という作品のキャッチがありますが。
「婚活というちょっとナイーブで繊細な題材をミュージカルとして少しコメディチックに見やすく、そして心にちょっと刺さるエピソードが盛り込まれています。その代表的なのが私が演じる潤子とみさ緒、礼香です。中高から仲良しで、就職しても付き合っている3人が全く違った道を歩んでいきます。それぞれの価値観の中で価値観を変えながら、価値観にとらわれることなく自分の人生ってなんだろう。自分の幸せって何だろうということを追求していくという成長ストーリーでもありますが、観る人によっては、本当に日常の何気ないお話だと思います。日常だからこそ気がつかない素晴らしいものがたくさん詰まっているというところをたくさん描いていきたいねって話をしています。原作の朝比奈あすかさんや演出の横山君が話している“価値観からの開放”ということと、“人生の素晴らしさ”ということを掲げていきたいと思っていて、最後はそこに持っていけたらといいねと話をしています。見終わった後に自分自身の今の生き方を考えて、お客さまひとりひとりが、自分のことをギュッと抱きしめてあげて、これでいいんだ、頑張ろうって思ってもらえたら一番だなと思います」

 

ー今回ミュージカル、しかも小澤時史さんが音楽を担当させるということで自然と期待が膨らんじゃいますね!!
「そうなんです!!音楽・小澤時史と聞いてやったー!!って思いました(笑)。昔からお世話になっていて、仲良くしていただいている作曲家で、彼の世界観、曲の作り方とかを他の作品でご一緒した時にも見ています。曲のフレーズにすごい親近感を持っているので、今回もこういう風に捉えるんだって思い、本当に素敵な曲や、いろいろなジャンルの曲がたくさん出てきます!!最後は小澤さんらしいフレーズがありますし、彼は本当に喋るように曲を作ってくれるので、今回は曲が先ではなく、歌詞が先で曲をあてこんでいくという作り方でしたが、歌いにくいところはひとつもありません。メロディーもとても綺麗で、違和感なく作ってくれて、ミュージカルっていうと急に歌いだしてというイメージを持つ方もいらっしゃると思うのですが、どちらかというと音楽で繋がっていくような感じになるのかなって思います。会話の後ろで、BGMとして音楽が入っているところが多いので、ちょっと繊細な題材ではあるけれども、それを導いてくれるようなとっても耳なじみが良くて聞きやすい曲になっていると思います。役者の感情や行動にとても寄り添ってくださるピアニストさんなので、完全な信頼をおいています」

 

ー花代さん演じる潤子さん。花代さんから客観的にみてどんな女性でしょうか?
「似てるなって思うんです。潤子の感情なのか、私自身の感情なのか分からなくなる時があります。他の作品ですと、史実を追ったり、外国人になったり、誰かを演じるという部分があるのですが、今回は日本のミュージカルで、実在している人物。年齢はすこし私より若いですが、同じような悩みを持つ独身女性なので、共感しすぎて私の話じゃないのかと感じるところがあって、そこをどう演じるかがすごく難しい。演じない方がいいのかもしれませんが、そうすると生々しい感じになってしまうので、その辺を良いバランスで演じられたらと思っています。潤子は、キャリアウーマンとしてバリバリ働いていて、自分は、出世街道を目指してないんだけれども、そのスキルが認められて、どんどん出世して行くんです。だから本当にできる女性なんだけれども心の中で悩んでること、感じてることは本当に30代の女性、30代だけじゃなくて女性誰しもが持っているような感情をたくさん持ってると思います。3人の女性の中で潤子が一番普通。一般的な感情を持っているのが潤子なんだろうと感じていますが、そういう価値観では縛りたくない、縛られたくないというお話なので、自由になるというところに持っていきたいなと思っています」

ー縛られない価値観というと具体的にはどんなことでしょうか?
「あなたはあなたのままで幸せなんだということです。生きてきた中でのいろいろな人との出会い。それが人生のパズルのピースとなっていて、本当はここにはめたいけど、うまくはまらないことがあります。でも実は他の部分にうまくはまっていて、いろいろな経験や出会いを重ねていくことで、いつの間にか繋がって自分の人生という1枚の絵のパズルが完成していくと思います。そこがこの作品の素敵なところだと思います。人生いろいろなことが起こるけど結局は自分のかけがえのない人生のパズルのピースなんだよっていうことが最後に言えたらいいなと思います。パズルのピースには、人それぞれにいろいろなデコとボコがあって、それをうまく繋げてくれる人と出会い、自分の中のボコも大切なひとつのピースだと思えた時に、それを木村花代の人生と重ねて、私自身も自分を愛おしく思えて、これでいいんだって許せる感情がありました。お客さまにもそう感じてもらえたら嬉しいなって思います」

 

ーカンパニーの雰囲気はどうですか?
「めちゃめちゃいいです!!みんな癒し系でいい人たちばかりで、お稽古の後に、皆で食事に行ったり、お茶に行ったりしています。遠山景織子さんがお手製のぬか漬けを作ってきてくださって、それを囲んで皆でおにぎりを食べたり、お酒をのんだりして、本当に家族みたいで、素敵なご縁で繋がったなって感じています」

 

ー座長として花代さんが意識しているところはありますか?
「自分自身の一番苦手なところを克服するという意味でも、率先して皆と交流を持つことを意識しました。人と接点を持たない方が楽な部分もあって、他のカンパニーだとすこしバリアを張ってしまう部分もあります。人見知りというのもあって、いろいろな人と関わるのが少ない役でもあったりしたのですが、今回、潤子という役は皆と絡んでいくので、それぞれにそれぞれの良いところを見つけて、心を打ち解けて、役の中での上下関係、信頼感を自分から作っていかないとこの作品はできないんだと感じたので、自分の苦手なところを課題に掲げてやっています(笑)。皆が心地よくこの作品に取り組んでいけるようにと思っています」

ー最後にメッセージをお願いします。
「この作品では人生の転機として婚活をテーマにしていますが、それは就職であったり、皆さんそれぞれの人生に転機が訪れると思います。その転機が、自分の価値観であったり、自分自身を見つめ直したり、考えたりするきっかけを与えてくれます。とても繊細なテーマではありますが、この作品をご覧いただいて踏み出す一歩になれば嬉しいなと思います。この作品の中で潤子の人生をどうやって生きていけるのか、とても難しいですが最後までもがいて頑張ります。ぜひ観にいらしてください」

【公演概要】
■タイトル ミュージカル『人生のピース』
■日程・会場 2019年8月8日(木)〜8月12日(月・祝) 東京芸術劇場 シアターウエスト
■出演
木村花代
藤森慎吾(オリエンタルラジオ) 三宅祐輔/Wキャスト
五十嵐可絵
青山郁代
遠山景織子 弘中麻紀
友石竜也
斎藤准一郎 福留瞬(Candy Boy)/Wキャスト
吉田萌美
小野島凜 鳥居佐和 林歩美 山口陽愛/Wキャスト ほか
■公式ホームページ https://www.pieceoflife.net/

(2019,08,09)

photo:Hirofumi Miyata

interview&text:Akiko Yamashita

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