市川猿之助さんと中村隼人さんが主人公オグリ役を交互で務めるスーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』が10月6日(日)から東京・新橋演舞場にて開幕します。本作の公開稽古が5日、同劇場にて行われました。

公開稽古の前に行われた囲み会見に姿を現したのは、本作のポスターでも披露しているど派手衣裳に身を包んだ“オグリ”こと小栗判官役の市川猿之助さんと中村隼人さん。衣裳のあちこちに鎖が付けられ、隼人さんの帽子はよく見るとキャップを後ろ被りにしたものという、風変わりかつカッコイイスタイル。衣裳は劇団☆新感線の衣裳デザイナー・竹田団吾さんが務めました。

隼人さんはキャップを後ろ被り

手甲には星のデザインも

猿之助さんは今の心境について「初日前の独特の勝つか負けるかというヒリヒリした感覚、超高額のスロットマシーンをやるような心境と一緒ですね。まさにギャンブル」と笑い、そんなギャンブルに「多分勝つと思います。いい仕上がりになっていると思いますよ」と演出も務める身として勝算を口にします。

この日初めての通し稽古をした、と語る隼人さんは「歌舞伎『ワンピース』でもなく、従来のスーパー歌舞伎でもない仕上がりです」と語り、自身が演じる小悪党のオグリたちについて「現代でいうところの半グレ集団。それをどう演じるかが面白いです」とコメント。冒頭で触れた衣裳の特徴はここから発しているんだと納得です。隼人さんは「すべてを持っていた男が閻魔大王によってすべてを失い、餓鬼病(がきやみ)となる落差、その病が治った後の歓喜を楽しんで演じたいです」と話していました。

「舞台がシンプルに映像と鏡だけなので、芝居力がモロに出てしまうんです」と語る猿之助さん。本作の元となる『オグリ』は「伯父の(二代目市川)猿翁が20数年前にやったものがベース。当時から映像を使った演出とかをやりたがっていたが、技術が追い付いてなくて。20数年たってやっと伯父の発想に時代が追い付いたというところです」と満足気に語っていました。

芝居の見どころについて、隼人さんは「本水だったり、演舞場初となる馬に乗って左右同時の宙乗り、プロジェクションマッピングやLEDパネルを使った映像技術。そして今回お客さまの頭上が星空になるところも見どころとなるのでは」とこちらも期待を込めていました。

なお、凝ったデザインの衣裳は「これは思ったほど重くはない」「でも後からいろいろとアクセサリーが加わりましたね」と披露していました。

公開稽古では、この日、オグリ役を猿之助さんが務めたバージョンが披露されました。
小悪党の集団・小栗党の6人が、意に沿わぬ嫁入りをする直前の照手姫(坂東新悟さん)を奪い去ります。小栗党の頭目・オグリは照手に「自由に生きろ」と語ります。オグリにいつしか心を寄せていた照手は、父親の前でオグリと一緒になりたいと宣言するも、反対され……。逃げ落ちた先で夫婦の誓いを交わし、歓喜の舞を踊るオグリと照手ですが、刺客の放った毒矢で照手以外全員が倒れてしまいます。また、照手も縁談を破談にした償いとして相模川に沈められる事となるのでした。

牢番の計らいで川に沈められなかった照手は翁(石橋正次さん)に助けられ、小鮎と名前を変えて生活をするが、妻の嫉妬から人買いの手に渡り女郎屋へ。一方、命を落とし、地獄で閻魔大王(浅野和之さん)と対面したオグリたちは、仲間たちを馬鹿にされた怒りを爆発、閻魔の使いたちと激しい立ち回わりの末、閻魔堂を破壊します。閻魔大王はある想いからオグリを餓鬼病の姿で生き返らせます。通りがかりの遊行上人(隼人さん)がオグリを助け、彼を乗せる土車と木の札を用意し、村人と共にオグリを引いていくことに。そのころ遊女屋に売られた照手は名前を小萩と変え女中をしていたが、店先にいる餓鬼病に心を痛め、数日間暇をもらって餓鬼病の世話をすることに。実はその餓鬼病こそが昔愛を誓ったオグリとは照手は気が付いていないのでした。

舞台上に設置された大きな鏡にはキャストだけでなく観客の姿も映し出され、まるで全方向からこの物語を見守るような状態となっていました。プロジェクションマッピングなどで映し出される映像もいずれも美しく、幽玄の世界へと導かれるようです。
一方、その前で演じる役者たちは皆熱量が高く、なかでもオグリ役の猿之助さんは、一幕、二幕、そしてガラッと変わる三幕と、勇壮なオグリから手脚が動かない餓鬼病まで魅力的に、そして時には切なく演じていました。
三幕のみの出演となる遊行上人役の隼人さんは、凛々しく静謐さを感じさせる雲水姿。別のバージョンではオグリ役を演じる事になりますが、どのような芝居を見せるのか、また隼人さんがオグリを演じる事で周りのキャストたちがどんな芝居を見せるのか、そちらも楽しみです。

注目は閻魔大王役の浅野さん。「スーパー歌舞伎Ⅱ」シリーズでは『空ヲ刻ム者』『ワンピース』そして『新版 オグリ』と3作連続で出演しており「斎高屋」の屋号も持つ浅野さんが今回もクスッと笑わせます。閻魔大王役以外でも出演しているのでぜひ探してみてください!!
大量の本水を使って繰り広げられる立ち回り、馬に乗って左右の上空高く飛ぶ宙乗りの迫力は劇場で体感必須!!スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』は、11月25日(月)まで東京・新橋演舞場にて上演されます。

 

【公演概要】

■タイトル スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』

■日程・会場 2019年10月6日(日)〜11月25日(月) 新橋演舞場

■出演

藤原正清後に小栗判官/遊行上人 市川 猿之助(交互出演)
藤原正清後に小栗判官/遊行上人 中村 隼人(交互出演)
照手姫 坂東 新悟
小栗一郎 市村 竹松
小栗二郎 市川 男寅
小栗三郎/山賊 市川 笑也
小栗四郎 中村 福之助
小栗五郎/山賊 市川 猿弥
小栗六郎 中村 玉太郎
鬼次/銀鬼少将/商人 市川 弘太郎
カメ婆 市川 寿猿
金坊 市川 右近(交互出演)
大納言の妻/閻魔夫人 市川 笑三郎
横山修理太夫/長殿 市川 男女蔵
鷹乃/薬師如来 市川 門之助

翁 石橋 正次
フグ婆/女郎屋女将 下村 青
鬼王/赤鬼大将/女郎千早 石黒 
横山家継/鬼頭長官 髙橋 
高倉久麿/黒姫/女郎蒲公英 嘉島 
閻魔大王 浅野 

■公式ホームページ https://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/622/

(2019,10,07)

photo&text:Saki Komura

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