太⿎芸能集団の⿎童が、全曲新作で構成された新しい舞台『⿎童ワン・アー ス・ツアー2022〜ミチカケ』の⽇本ツアーを11⽉23⽇(⽔・祝)からスタートします!! 太⿎を中⼼とした伝統的な⾳楽芸能に無限の可能性を⾒いだし、現代への再創造を試みる 太⿎集団・⿎童。

今回の公演は、夜明けから深夜まで変わり続ける⾃然界のリズム「⽇の出⽇の⼊り」「潮の満ち引き」「⽉の満ち⽋け」という周期感を⾳で表現した⽴体⾳響作品です。

近年の⿎童全体の表現を総合的に⼿がける⿎童代表の船橋裕⼀郎さんと、舞台の要となる楽曲を次々と⽣み出している注⽬演奏者の住吉佑太さんが連携し、作品を作りあげます。

 

今回は、2016年から正式メンバーとして参加し、安定感とパワフルな演奏、華やかな笑顔が印象的な太⿎奏者の⽶⼭⽔⽊さんと、2019年から正式メンバーとして参加し、パワフルな太⿎を打つだけでなくオンライン講師も務める⼩野⽥太陽さんに公演の⾒どころや太⿎への想いを聞きました!!

 

―最初に、おふたりが太⿎を始めたきっかけを教えてください!!

⽶⼭さん「私は2歳の頃から地元のお祭りや⽼⼈ホームでの演奏などを⾏う太⿎の保存会 に⼊って、和太⿎を始めました。最初は、習い事のような感覚だったのですが、⼩学校4年⽣の時に⿎童の舞台を初めて⾒て、⼥性の演奏者の⽅に憧れて“同じ舞台に⽴ちたい!!”と 想うようになり、⾼校を卒業して18歳で(⿎童の活動拠点である)佐渡島に⾏きました」

 

―初めて⿎童の舞台を⾒た時からの夢だったんですね。

⽶⼭さん「そうですね。私もプロの太⿎奏者になりたいと私の憧れでした」

⽶⼭⽔⽊さん

 

―⼩野⽥さんはいかがですか?

⼩野⽥さん「僕はアメリカのサンフランシスコ出⾝なのですが、その地域は、⽇系⼈や⽇ 系アメリカ⼈が多い地域なんです。なので、⽇本⽂化を体験できる集まりがたくさんある んですよ。毎年年末に、年末らしいことをしようと餅つきをしていたんですが、その時に お囃⼦を聞いたことが太⿎との初めての出会いでした。僕もやりたいと8歳でアメリカで 太⿎を習い始めて、⼤学⽣の頃まで先⽣に教わったり、太⿎サークルのようなグループに⼊って練習したりしていくうちに、アメリカで太⿎の最前線の⽅々と知り合いました。そ れで、その活動の中で⿎童を知ったんです。僕の⼤学に⿎童が演奏をしに来た時に初めて ⽣で観たのですが、とても感銘を受けました。それで、⾃分が今後、太⿎をもっと深めて いくためには⿎童しかないと思い、⼤学卒業後に⿎童に⼊りました」

⼩野⽥太陽さん

 

―太⿎のどんなところに⾯⽩さや魅⼒を感じていますか?

⽶⼭さん「⿎童では、毎回(公演の)最後の演⽬で⾏う、男性奏者が屋台の上で⼤太⿎をふんどしで⼒強く演奏する姿は、⿎童を表す演⽬だと思いますし、それは太⿎の良さを凝 縮していると思います。⾚ちゃんがお腹の中にいる時のお⺟さんの⼼臓の⾳とも⾔います が、⼼臓に響く、⼼地良い⾳で…。それから、打っているその⼈の背中から伝わってく る太⿎⼈⽣やその⼈⾃⾝の⼈⽣も太⿎を通して⾒えるというのが、太⿎の魅⼒だと思い ます」

⼩野⽥さん「太⿎の打ち⼿の⼈⽣観もそうですが、僕は単純にその太⿎の⾳を聞いて、その振動を体で感じて、⾃分の感情が⾼ぶって、⼀緒になってドキドキワクワクできるとい う感覚が楽しいというのもあります。⾃分が太⿎を打っている時は、⾃分の⾳に合わせて お客さまが⼀緒に盛り上がっていく感覚を感じることができ、それを共有できるのが楽し いです。特に⿎童は、マイクで太⿎の⾳を拾うことは少なくほぼ⽣⾳なので、どれだけ⼒強く打ち込んで、どれだけお客さまが答えてくださるかというコ ミュニケーションでもあると思います」

 

―⽶⼭さんから⾒た⼩野⽥さんの⾳、逆に⼩野⽥さんから⾒た⽶⼭さんの⾳は、どのような魅⼒があると思いますか。

⽶⼭さん「同じ太⿎を打っても、その⼈によって⾳⾊や質、パワーも違い、その⼈の性格 が出るんです。彼は⼈とのコミュニケーションが好きで、誰かに何かを伝えたいと常に 思っている⼈なので、そうした彼らしさが⾳に出ていて、それが⾯⽩いところだと思いま す」

⼩野⽥さん「⽶⼭の⾳には、⼀つの⾳を突き詰めるストイックさを感じます。太⿎の⾳⾊ は無限にありますが、⽶⼭はその⼀つひとつがとても洗練されている印象です」

 

―全曲新作で構成された新しい作舞台の国内ツアーが、11⽉23⽇(⽔・祝)から スタートします。新たな試みの多い公演になるそうですが、今回の公演はどういった内容 になるのでしょうか?

⽶⼭さん「今回の『ミチカケ』は、潮の満ち引きや⽉の満ち⽋けという⻑い周期のものを⾳で表現するという試みをしています。普段、私たち⿎童は、リズムやビート感を⼤事にしていますが、今回はリズムから離れてみようという、私たちにとっての挑戦となる公演です。リズムから離れることは、正直なところ、すごく怖いんです。⽇本⼈ならば、4とか 8という気持ちのいい拍感があるのですが、それを⼿放した⾳楽作りをしています。リズムじゃない分、⾬や⾵、海の⾳、⾍の声といった佐渡の⾃然を⾳にして、曲にしています」

 

―⾃然の⾳の表現というのは、例えば?

⽶⼭さん「例えば、ロープでチューニングをする太⿎をチューニングをしない状態で打つ とまた違う⾳になります。それから⼿で叩いたらどうなるか、バチを代えたらどうなるか …というように、普段は挑戦しないような⾳を作り出しています。曲として完成したもの をお客さまの前ではお⾒せすることになりますが、そこにたどり着くために、(稽古中 は)ディスカッションをしながら様々な⾳を出して作り上げているので、実は毎回同じで はないんです。きっとお客さまの前でも、毎回、違う⾳をお聞かせすることになると思う ので、その公演ごとに違う⾳⾊を楽しめるという⾯⽩さもある作品だと思います」

―その時、その場でしか聞けないライブ感のある演奏になるのは観客からするとすごく 楽しみですが、奏者の⽅にとっては普段とはまた違った難しさもあるのでしょうね。

⼩野⽥さん「そうですね。そうしたリズムから離れて、抽象的なものを⾳で表現しようと するチャレンジには怖さもありますが、作っていく過程で僕たち奏者が“この⾳が気持ちい い” “この⾳が⾯⽩い”と⾃分たちの感情に従って選んでいるものなので、ポジティブな感情で臨んでいます。その劇場で、どういう⾳が完成するのか楽しみですし、その楽しみを分かち合いたいと思っています」

 

―今回は、⾐裳も半纏ではなく、劇団☆新感線や歌舞伎NEXTなどを⼿がける⾐裳デザ イナーの堂本教⼦さんによる新⾐裳になると聞いています。

⼩野⽥さん「僕たちもまだ全貌は⾒えてはいないのですが、和⾵テイストの洋服といった イメージの⾐裳になっています。すごくカッコいいので、僕⾃ ⾝新しい⾐裳を着るのがすごく楽しみです。ただ、同時に、これまで 着ていた半纏があるからこそ、様になって⾒えたシーンもあったと思うので、新しい⾐裳 を着ることは、ある意味、鎧がなくなることだとは思っています。そういう⾯でも今回、 新しいチャレンジになると思うので、その⾐裳だからこそできる表現を楽しみたいと思い ます」

 

―では、初めて⿎童を観る⽅にはどんなところに注⽬してもらいたいですか?

⽶⼭さん「太⿎の演奏はもちろんなのですが、⿎童は世界各地の楽器を使って演奏してい るので、太⿎以外の⾳⾊も楽しめると思います。パイプチャイムという楽器を舞台上に吊 るして演奏しているので、⽬で⾒ても⽿で聴いても⾳が空間的に動いていることを感じら れると思いますし、⾳に包まれている感覚を味わっていただけると思います。きっと初め てご覧いただく⽅も、⾳の渦に飲み込まれるような魅⼒を感じていただけるのではないか と思いますので、ぜひ⾜をお運びください」

⼩野⽥さん「太⿎を打った時の振動が⾳と⼀緒に響いてきて、体全体で感じることができ るのが太⿎の魅⼒だと思います。それは、やはり劇場で⽣の太⿎の⾳を聞かなければ体験 できないことです。その振動をまずは楽しんでいただきたいと思います。僕たちも⾯⽩い と思う⾳、楽しいと思う⾳、気持ちいいと思う⾳を演奏しているので、あまり難しいこと を考えずに、ただ気持ちよくなって、楽しんでいただければ嬉しいです」


▶⽶⼭⽔⽊さん&⼩野⽥太陽さんのファッション事情◀︎

―普段どんなファッションがお好きですか?

⽶⼭さん「普段は、パンツスタイルのカジュアルな服が多いです。こだわりはあまりない のですが、原⾊が好きで、淡い⾊味よりもはっきりした⾊の洋服をよく着てます」

⼩野⽥さん「僕はアメリカ出⾝だからというのもあるのかもしれないですが、いわゆるア メカジが好きなんです。なので、ツアー先でも時間がある時にはそうした服を探して街を 歩いたりしています。少し前に倉敷に⾏った時には、倉敷が⽇本製のデニムで有名な街だ と知って、デニムを探しに⾏きました。デニムに⾰のブーツというスタイルが好きです」

 

―最近、ハマっていることは?

⽶⼭さん「昨年、ケガをしてしまい、治療のためにお休みをいただいていた時に、たまた ま観た『梨泰院クラス』というドラマにハマってしまって(笑)。そこから、オフの⽇やツ アー中のホテルの湯船の中などで、携帯で韓国ドラマを観るのが最近のブームです」

⼩野⽥さん「僕は2年前にロードバイクを始めました。オフの⽇は、30キロ〜50キロ、たまに100キロ近く⾛り込んでます。あとは、アニメも好きで、⾊々なもの を観てます。ちょうど10⽉から新しいアニメが始まっているので、今、それを観るのも楽しいです」

 

【profile】

⽶⼭⽔⽊/Mizuki Yoneyama

1994年6⽉23⽇⽣まれ。東京都出⾝。

2歳から太⿎を始める。2013年研修所へ⼊所。2016年より正式メンバーとして活動。舞台 では主に太⿎を担当。即興性に富んだ舞台経験を積む。安定感とパワフルな演奏に、華や かな笑顔が印象的な太⿎奏者。2020年「アース・セレブレーション」では⼥性メンバーを 中⼼とした⼩編成公演「おんな座Beach」の演出を担当。「WUTTAR〜海〜」などの楽曲 の作曲を⾏い、メンバーの弾けるような魅⼒を印象づけた。 「⿎(つづみ)」公演の「⼊破(じゅは)」と「族」のソリストを、北林玲央とのダブル キャストで担当。これからの⿎童の、新しい時代の⼥性奏者として活躍が期待される。

 

⼩野⽥太陽/Taiyo Onoda

1993年2⽉18⽇⽣まれ。アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ出⾝。

太⿎を8歳から始める。2016年研修所へ⼊所。2019年より正式メンバーとして活動。舞台 では主に太⿎を担当。⽣真⾯⽬な性格で、与えられた役割をしっかりと果たし着実に信頼 を重ねている。研修所⼊所前は⼤学で⾷品科学と⽇本語を専攻。料理上⼿で、栄養⾯など の知識も豊富。将来の夢は、⿎童での活動を通じて、育ててもらったアメリカの太⿎界を さらに盛り上げていくことと語る。舞台での活動に加え、最近は舞台にまつわる動画制作 にも取り組むほか、2021年からは「⿎童 太⿎の学校」の講師として、⻑年⿎童が築いてき た太⿎の「⼼・技・体」を世界の太⿎コミュニティに伝えている。


【公演概要】

■タイトル

『⿎童ワン・アース・ツアー2022〜ミチカケ』

■⽇程・会場

【新潟】2022年11⽉23⽇(⽔・祝) アミューズメント佐渡 ⼤ホール

【新潟】2022年11⽉26⽇(⼟)〜11⽉27⽇(⽇) 新潟県⺠会館

【宮城】2022年11⽉28⽇(⽉) トークネットホール仙台(仙台市⺠会館)⼤ホール

【広島】2022年11⽉30⽇(⽔) 上野学園ホール(広島県⽴⽂化芸術ホール)

【京都】2022年12⽉3⽇(⼟)〜12⽉4⽇(⽇) 京都芸術劇場 春秋座

【愛知】2022年12⽉9⽇(⾦) 名古屋市公会堂

【⾹川】2022年12⽉11⽇(⽇) ハイスタッフホール(観⾳寺市⺠会館)⼤ホール

【東京】2022年12⽉13⽇(⽕) サンパール荒川⼤ホール

【埼⽟】2022年12⽉15⽇(⽊) 埼⽟会館⼤ホール

【千葉】2022年12⽉16⽇(⾦) 千葉市⺠会館 ⼤ホール

【東京】2022年12⽉18⽇(⽇) 昭和⼥⼦⼤学⼈⾒記念講堂

※例年12⽉に⾏なっている⽂京シビックホールでの連続公演ですが、改修⼯事に伴い2022 年内の公演予定はございません。

■演出 船橋裕⼀郎

■⾳楽監督 住吉佑太

■出演(予定)

中込健太 住吉佑太 池永レオ遼太郎 北林玲央 ⽶⼭⽔⽊ ⼩平⼀誠 前⽥順康 三枝晴太 渡辺ちひろ ⼩野⽥太陽 中⾕憧 野仲純平 ⼩川蓮菜(準メンバー)

■公式サイト

https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/36704

(2022,11,17)

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Maki Shimada

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