2019年に初の日本語版を上演したブロードウェイミュージカル『ピピン』が、主演ピピン役に新たに森崎ウィンさんを迎え、2022年8月30日(火)から再演されます!!

1972年に鬼才ボブ・フォッシーによる演出と振り付けで上演された本作は、2013年に新演出でブロードウェイで上演されるとトニー賞4部門を受賞するなど大きな話題を呼びました。日本では、2015年に来日版を上演。さらに2019年には日本語版公演の初演が上演され、連日のスタンディングオベーションを記録するほど大好評を博しました。

日本語版初演からファストラーダ役を務める霧矢大夢さん、そして今回からカンパニーに参加し、キャサリン役を演じる愛加あゆさんに、本作の見どころや公演への意気込みを聞きました!!

 

―霧矢さんは、初演に続いての出演ですが、改めて再演が決まった今の思いをお聞かせください。
霧矢さん「2019年初めて参加させて頂いた時は、アメリカからたくさんのスタッフの方々に来日して頂いて、ブロードウェイのやり方でお稽古をしていくという感覚でした。“ブロードウェイの舞台に出ちゃっているのかしら?”と錯覚してしまうような感じで(笑)。それに、アクロバットやマジック、ダンスが盛りだくさんで、これは素晴らしい経験ができるのではないかと思いながらお稽古をさせていただきました。本当に、一歩間違えれば大怪我をしてしまうような危険なアクロバットもある作品ですが、きちんと危機管理もなされていて、素晴らしい環境の中で演じることができて、一生のうちに1回出られるかどうかというものになるなと感じていました。(開幕後には)お客さまの反応もプロローグから感じていましたし、私たち自身もすごく大きな喜びと興奮を毎回味わいながら上演していたので、再演のお話を頂いた時は、またできるんだと、本当に嬉しかったです。コロナ禍でエンタメ業界はいまだに大きな影響を受けていますが、だからこそ舞台上で何かを伝えられるよう、さらにパワーアップしたものをお見せしないといけないなと、気合いのようなものを感じています」

 

―愛加さんは、今回、初参加ですが、出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか?
愛加さん「(初演の前に)キャストの皆さんが“命懸けの作品”とインタビューなどでおっしゃっていて、まさかそんな…と思いながら初演を観劇させて頂いたのですが、幕が開いたら“えぇ〜!!”って(笑)。まさに命懸けで、魂を込めて作りあげていることが伝わってきました。観終わった後の衝撃と感動は忘れられないですし、“本当の幸せとは?”というこの作品のテーマについて考えてしまいました。なので、今回、自分がそこに参加できるのはとても嬉しいです。同時に、初演で素晴らしいものを作りあげてきた皆さんの中に初心者として加わるというプレッシャーも感じていますが、大好きな作品の中でキャサリンとして生きられることを幸せに思って、楽しみながら頑張っていきたいと思います」

 

―それぞれが演じる役柄について教えてください!!
霧矢さん「ファストラーダはピピンの継母ですが、ピピンとは別に自分の息子がいて、その息子を王位にあげ自分が権力を握りたいと目論んでいる、したたかな女性です。この作品に登場するキャラクターは、みんなどこかを誇張して描いた人物ばかりですが、その中でも突き抜けて野心的で、色気で迫るずる賢さがあります。悪女というだけではなく、明るくて、笑ってしまうポップさも持ち合わせている愛おしいキャラクターになっています。初演からは3年経っていますので、私自身も3歳年をとっていて、大丈夫かなという不安もありますが、大先輩の中尾ミエさんや前田美波里さんが素晴らしいパフォーマンスをなさると思うので、弱音を吐いちゃいけないなと、新たに気合いを入れて、稽古場に臨もうと思います」

愛加さん「キャサリンは、かわいらしさもあり、クスッと笑わせてくれるところもある女性です。この一座の中で唯一、シナリオから抜けて飛び出そうとしているキャラクターで、ピピンに影響を与えて、新たな気持ちで進んでいくという異質な存在でもあります。2幕からは、流れを変えるキーとなる人物でもあると思うので、心して演じたいと思います」

 

―ところで、愛加さんは霧矢さんの大ファンだとか。
愛加さん「そうなんです!!私が宝塚歌劇団の公演を生で初めて観劇したのが、月組さんの『LUNA』と『BLUE・MOON・BLUE』だったんですよ。その時に、霧矢さんを観て、その時からの大ファンです。当時は、地方に住んでいて、なかなか舞台を拝見できなかったので、雑誌を買いまくり、切り抜きを拡大コピーして学校で持ち歩いていました(笑)。霧矢さんは歌もダンスもお芝居も完璧で、かっこよくて素敵で…この『ピピン』では、ダンスをバーンと見せるナンバーもあるので、ファストラーダを演じられるのは霧矢さんしかいないだろうというくらいぴったりのお役だと思います」

 

―それほど大ファンの霧矢さんと、本作で初めて共演できる、と。
愛加さん「先ほど、初めて面と向かってお話をさせて頂いた時に、自分でもびっくりするくらい、中学生の私が出てきてしまいました(笑)。中学生の時の私に、霧矢さんと共演できることを伝えてあげたいです。同期にも“頑張ってて良かったね”と言われましたが、そんな感情が込みあげてきてしまい、冷静じゃなかったと思います(笑)」

霧矢さん「(愛加さんは)姉妹そろってトップになって素晴らしいですよね。お姉さんのねねちゃん(夢咲ねねさん)とは同じ組だったり、退団してからも共演していますが、(愛加さんとは)初めてなので、すごく新鮮な気持ちです。フレッシュに、舞台の板の上で向き合えると思います。キャサリンという役は、ストレスフルな役どころだと思うので、ストレスが溜まるようだったら、愚痴っていいからね」

愛加さん「ありがとうございます!!」

 

―初演では城田優さんが演じたピピン役を、再演では森崎ウィンさんが務めます。森崎さんの印象は?
霧矢さん「私は今回、初共演なので、どんなピピンになるのかとても楽しみです。昨年、『ジェイミー』で森崎さんを拝見させて頂いて、とても繊細な表現をされる方なんだと感じたので、きっと素敵な王子さまになるんだろうなと楽しみにしています」

愛加さん「私は、昨年、米倉涼子さんと城田優さんがプロデュースされていた『SHOW TIME』という公演の中で、城田さんとゲストで登場された森崎さんがふたりで『ピピン』の楽曲を歌われているのを観たのですが、全く違うおふたりなのにどちらもピピンだったことを覚えています。すごく不思議で、どちらも素敵でした。なので、私も今、森崎さんのピピンがすごく楽しみです」

 

―初演からリーディングプレイヤー役を演じるクリスタル・ケイさんの印象はいかがですか?
霧矢さん「今、日本であの役をできるのは彼女しかいないというくらい、ぴったりだと思います。初演の際に、ミュージカルは初出演だとおっしゃっていましたが、すごく努力をされて、グングンと吸収されていって、持って生まれたセンスを感じました。それから、やっぱり存在感がすごい。この“ピピン一座”は彼女を中心に動いていることを実感でき、座員として誇らしく思いました。舞台はこうして作られていくんだというのを、初心に返ってもう一度感じさせて頂いた、そんな感覚でした」

愛加さん「初演を拝見して、パッションもすごく伝わってきましたし、クリスタル・ケイさんしかできないと思うような役で、素晴らしいと思っていたので、今、お話を聞いてより共演が楽しみになりました!!」

―では、おふたりから見て、劇中のピピンの生き方についてはどう感じますか?
霧矢さん「王子様として生まれるというのは私たち普通の人とは違う生い立ちですが、でも、権力の中で揉まれていくというのは誰もが分かる感覚なのかなと思います。私たちも、100年以上続く、歴史ある宝塚歌劇団という劇団の中で、女の子ばかりの世界の中、それなりに揉まれて、自分とはなんだろうと考える時もありました。この劇団の中でどうやって生きていこうとか、宝塚を退団したらどうしようとか…。在団中は、退団をゴールにしてそこに向かっていくけれども、人生は退団してからの方が長いんですよね。そこから、たくさんの人と出会いと別れを繰り返して、年齢を重ねて老いを感じて…と、そう考えると、そうした人生の全てがピピンの物語でも描かれているように思います。ピピンは、それを超高速で生き抜いている。改めて、この物語は、“人間”を描いているんだなと思います。登場するキャラクターはみんなクセが強いので、自分とはかけ離れた世界のように思うかもしれませんが、ピピンは誰もが持っている人間性を表していると私は感じました」

愛加さん「今、お話を聞きながら私もまさしくそうだなと思いました。ストーリーを見ると、ピピンの人生には劇的なことがたくさん起きますが、最後にはピピンの中の大切なものを見つけられます。私は、あのラストは怖い感じがしましたが、ピピンにとってはあれが幸せで、彼の決めた道なんですよね。噛みしめれば噛みしめるほどすごく美しい終わり方、すごく美しい人生だなと思いました」

―改めて、本作の見どころを!!
霧矢さん「一生忘れられないクライマックスだと思います。エンターテインメント性がありながらも、ダークなところもあり、普通のミュージカルとはまたちょっと毛色の違う作品です。それに、アクロバットも本当にすごい!!ぜひ、自分の目で確かめてみてほしいですし、劇場に足をお運びいただけたらと思います」

愛加さん「私は実際に初演を劇場で観て、“自分の知らない感情がまだあったんだ。まだまだ知らない種類のミュージカルと感情が眠っていたんだ”と感じました。人生について考えさせられる作品なのですが、観終わった後はとにかく楽しい気持ちでいっぱいになれます。これを逃したら、損します(笑)!!ぜひお越しください」


▶︎霧矢大夢さんのファッション事情◀︎
―今日の衣裳のお気に入りポイントを教えてください。
ドラゴンの模様とブルーが夏らしくて気に入っています。

―普段はどんなファッションをしていますか?
普段は、あまりデザイン性の高いものは着ないですね。いたってシンプルです。今は、髪を短くしているので、ボーイッシュになりすぎないように、少しだけ女性らしい柔らかいラインのお洋服にしようとは思っています。

―最近買ったお気に入りアイテムは?
最近は、ワンピースを買うことが多いです。それから、買ったわけではないですが、舞台で共演した女優さんから手作りのマスクチェーンを頂いて、それも活用させて頂いています。すごく便利なんですよ。

―プライベートで最近はまっていることは?
家の中の断捨離を少しずつしています。使わなくなったものを捨てたり、整理したり…。それで、何かの用事で外出した時に、インテリアショップがあるとどんなのがいいかなと、眺めています。家の中を整えたいのですが、なかなか整えられないんですよ(笑)。思い切って変えることができないから、少しずつ、じわじわと整えていこうかなと思っています。

▶︎愛加あゆさんのファッション事情◀︎
―今日の衣裳のお気に入りポイントを教えてください。
色が夏らしく、デザインが凝っているところです。(この撮影の)数日後に髪の毛をバッサリ切る予定なんです。なので、今日は髪の毛が長い最後の撮影だと思い、かわい目のワンピースにしました!!

―普段はどんなファッションをしていますか?
普段はシンプルなパンツスタイルが多いです。先日、パーソナルカラー診断をしてもらい、自分には「イエローベースの春」が合うということが分かったので、今後、ファッションでも取り入れていきたいなと思っています。

―最近買ったお気に入りアイテムは?
最近はデニムを買うことが多く、デニムを履いていることが多いです。

―プライベートで最近はまっていることは?
先日、久しぶりに実家に帰ることができ、何年かぶりに家族そろって旅行に行ってきました。コロナ禍でなかなか頻繁に家族に会うことができなかったので、すごく嬉しかったですし、楽しい思い出になりました。まだまだコロナ禍が続き、この仕事をしているとなかなか旅行にも行けませんが、落ち着いてきたら旅行にいっぱい行きたいです。


【公演概要】
■タイトル
ブロードウェイミュージカル『ピピン』
■日程・会場
東京公演:2022年8月30日(火)~9月19日(月・祝) 東急シアターオーブ
大阪公演:2022年9月23日(金・祝)~9月27日(火) オリックス劇場
■脚本 ロジャー・O・ハーソン
■作詞・作曲 スティーヴン・シュワルツ
■演出 ダイアン・パウルス

■振付 チェット・ウォーカー
■サーカス・クリエーション ジプシー・シュナイダー
■出演
森崎ウィン、クリスタル・ケイ、今井清隆、霧矢大夢、愛加あゆ、岡田亮輔、中尾ミエ(Wキャスト)、前田美波里(Wキャスト)、高畑遼大(Wキャスト)、生出真太郎(Wキャスト) ほか
■公式ホームページ

https://www.pippin2022.jp

(2022,08,12)

photo:Hirofumi Miyata /interview&text:Maki Shimada

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