新国立劇場 2025/2026シーズン 演劇 日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』制作発表会見が2025年8月29日(金)に新国立劇場で行われ、作・演出の鄭義信さん、千葉哲也さん、村上絵梨さん、智順さん、櫻井章喜さん、朴勝哲さん、石原由宇さん、北野秀気さん、松永玲子さん、イ・ヨンソクさん、コ・スヒさん、パク・スヨンさん、キム・ムンシクさん、チョン・スヨンさんが登壇しました!!
本作は、2008年に新国立劇場が芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション企画として、鄭さんに書き下ろしを依頼して制作された作品で、1970年前後、高度経済成長と大阪万博に沸く関西の地方都市を舞台に、慎ましくも懸命に生きる在日コリアン一家と、彼らが営む焼肉店「焼肉ドラゴン」に集う人々の人間模様を描き出します。
今回の上演では、まず10月に新国立劇場 小劇場から幕を開け、11月に芸術の殿堂での韓国公演、そして福岡、富山での全国公演を経て、12月には満を持して新国立劇場 中劇場での凱旋公演を行います。
「焼肉ドラゴン」の店主・金龍吉を演じるイ・ヨンソクさんは本作初参加。イ・ヨンソクさんは「この作品に参加することが決まったときに、周りの知人にこの話をしたら羨ましがられました。それくらい韓国でも伝説的な作品として知れ渡っています。本当に嬉しくて夢を見ているような思いで(オファーを)受けました。韓国語と日本語が入り混じって上演される作品ですが、二つの言語が入り混じっていることに意味があると思います。父親としてどういう気持ちを表現していくか、これから悩んで作品に貢献していきたいと思います」と力を込めました。
今回は2008年の初演のオリジナルキャストである千葉さん、コ・スヒさん、パク・スヨンさん、キム・ムンシクさんが2011年の再演以来、14年ぶりにカムバックします。
千葉さんは「14年ぶりなので皆さんの足を引っ張らないように頑張ります」と挨拶。そして、初演時を「日本人キャストの台本と韓国人キャストの台本の厚さが違ったんですよ。韓国人キャストの台本は日本語とハングルと両方書いてあって。だから、本当に大変だったと思います。俺も大阪弁はめちゃくちゃだったけどなんとかなるだろうと思ってやっていましたが、韓国人キャストたちは日本語を丸々覚えなくてはいけないので本当に大変で。敬意を表します。それが一番大変だったのかなと思います」と振り返りました。
一方、コ・スヒさんは「ようやくコ・スヒが作り上げる『焼肉ドラゴン』が帰ってきました。皆さん、『焼肉ドラゴン』がオープンする日を待ち望んでくださっていると思います。期待に応えられるよう努力を積み重ねて努力をしていこうと思います」と意気込み、「14年という時間が流れたことを感じないくらい、この作品を体が覚えている気がしています。その間、色々なことがあったし、自分も年齢を重ねています。なので、より深みのある作品になると思います」と語りました。
また、パク・スヨンさんは「初演は30代の時でした。そして、再演は40代の時で、今、50代で臨むことになります。ドキドキ、ワクワクするこの場をくださってありがとうございます」、
キム・ムンシクさんは「本当に長い時間というか時間が流れました。その時間が流れて、この作品に再び参加することができたというのは、本当にドキドキ、ワクワクワクすることですが、想像もしなかったことでした。ドキドキを伝えていけるように舞台を作り上げていきたいと思います」とコメントを寄せました。
4度目の上演となる今回の公演。作・演出の鄭さんは、演出や脚本の変更について「基本的には変えていないつもりですが、キャストが違っているので、そこで生み出されるもの、コミュニケーションで全く違う印象を与えると思っているので、今のチームで一丸となって、家族としてゼロから作り上げたいと思っています」と説明しました。
さらに、本作を現在、上演する意義について問われると、「この『焼肉ドラゴン』は、オーストラリアとアメリカでリーディング作品として上演されたことがあります。そのときに、『これは移民の話ですね』と皆さんが受け取っていました。僕は日本の中の小さな在日の家族の話だと思っていたので、そうだったのかと。今、世界中で移民の問題があります。この『焼肉ドラゴン』という作品を観て、『それでもやっぱり人は生きていかなくてはならないんだ』というメッセージや希望を感じていただけたら嬉しいです」と想いを伝えました。
なお、この日の会見では、朴さんとチョン・スヨンさんによる劇中音楽「ニルリリヤ」の生披露も行われました。
【公演概要】
■タイトル
新国立劇場 2025/2026シーズン 演劇 日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』
■日程・会場
東京公演:2025年10月7日(火)〜27日(月) 新国立劇場 小劇場
韓国公演:2025年11月14日(金)〜23日(日) 芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター) CJトウォル劇場
福岡公演:2025年12月6日(土)〜7日(日) J:COM北九州芸術劇場 中劇場
戸山公園:2025年12月12日(金)〜13日(土) オーバード・ホール 中ホール
凱旋公演:2025年12月19日(金)〜21日(日) 新国立劇場 中劇場
■作・演出 鄭 義信
(2025,09,04)
photo&text:Maki Shimada
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