アガサ・クリスティが初めて書いた舞台戯曲にして、クリスティ直筆の脚本の中で名探偵エルキュール・ポアロが唯一登場する推理劇『ブラック・コーヒー』が、2026年4月8日(水)から上演されます。本作は、1930年代の英国邸宅を舞台に、高明な科学者の死と精密情報盗難事件が複雑に絡み合う、クラシック・ミステリーの快作です。名探偵エルキュール・ポアロを片岡鶴太郎さん、相棒のアーサー・ヘイスティングスを鈴木拡樹さんがダブル主演で務めます。鈴木さんに本作への思いや意気込み、ファッションについてのお話をお聞きしました!!
―ご出演が決まったときの率直なお気持ちを教えてください。
アガサ・クリスティさんは、すごく有名な、ミステリーの女王とも呼ばれる方なのでもちろん知っていましたが、僕はあまり小説を読むタイプではなくて。恥ずかしながら、これまで読んだことがなかったんです。なので、こうして出演が決まったことで、いよいよアガサ・クリスティさんの小説デビューをさせていただきました。

―どの作品を読まれたのですか?
今回の『ブラック・コーヒー』の戯曲です。それから、ポアロのシリーズは有名なドラマ版もあるので、ドラマを先に何作か観させていただいて、ポアロとヘイスティングスの関係性も勉強しました。
―『ブラック・コーヒー』の戯曲を読まれた感想は?
ミステリーとして非常にテンポ良く物語が展開していくので、とても読みやすく、楽しめました。読みながら、推理をしていくことができる「隙間」があるので、推理をしながら読むのが楽しかったです。
今回、この戯曲を読ませていただいて衝撃を受けたのは、「奥のドアから登場し、中央のテーブルに向かう」というように、具体的な動きを示したト書きまで書かれていたことでした。戯曲版というと、心情や空気をメインに描いていると思っていたので、そうしたところまで書いてあるんだなと。舞台の図面も載っていたんですよ。普段、舞台の関係者でないと舞台図面を見る機会はあまりないと思うので、それもまた驚きました。
―確かに、舞台図面を見る機会はそうそうないです。
ト書きが充実していると、脚本家からのオーダーも見えやすいですよね。例えば、漫画は自分で読み進めていくスタイルなので、どのくらい時間の流れがあったのかはそのシーンを読んだだけでは分からないことも多いんです。なので、漫画原作の舞台の脚本で「木漏れ日が差し込む公園の、緑の葉っぱがひらりと舞う」という場面があったとして、葉っぱが落ちるまでの間に会話が進むとき、どれくらいの時間が経っているのかは想像するしかありません。ですが、ト書きでそうしたことまで丁寧に書かれていると、脚本家の意図が伝わりやすいなと感じました。

―今の段階で、鈴木さんが演じるアーサー・ヘイスティングスという人物をどのようにとらえていますか?
ヘイスティングスは退役軍人で、ポアロがやっている探偵業をサポートしています。英国紳士で礼儀正しいですが、紳士だからこそ女性から強く来られると弱いところがあります。ポアロと年齢は離れていますが、旧知の仲なので距離が近く、愛を持って接していると感じました。
―演じる上ではどのようなことを考えていますか?
ドラマ版を観たとき、2人が立っている距離感がすごく印象的でした。映像作品だからこその距離感だったのかもしれませんが、日常だったらその位置に立たないだろうなという場所にヘイスティングスは立っていて、それが親密さを表しているようにも感じました。それから、ヘイスティングスは、ポアロが話しているときには彼から目を逸らさないんですよ。それは一緒に事件を解決しようと、ポアロの言葉から考えるきっかけや気づきを得ようと思っているからだと思うので、今回の舞台でも距離感や動きで彼らの親密さを表現できるように心がけていきたいと思います。
―ポアロを演じる片岡鶴太郎さんとは今回、初共演になりますね。
こうして共演させていただけてとても光栄です。役や作品のお話もさせていただきたいですし、稽古が落ち着いてきたら鶴太郎さんのこれまでのお話をぜひ聞かせていただきたいです。俳優であり、お笑いタレントであり、書道もヨガもやっていらして、ボクシングもされている。すごくたくさんのことに興味をお持ちの方なんだろうなと、尊敬しています。僕はそれほど広く興味を持てないタイプなので、どうしてそれぞれのことをやりたいと思われたのか、すごく興味があります。普段、どういう視点で世界を見ていらっしゃるんだろうと。
―バイタリティが素晴らしいですね。
すごいですよね。思ったらすぐに行動されるのか、それとも慎重に考えてからそこにたどり着いたのか、お話を聞かせていただきたいです。

―鶴太郎さん以外にも、新木宏典さん、玉城裕規さんをはじめ、豪華な共演者が集結しました。今回、馴染みのある方も多いですね。
そうですね。ただ、馴染みがあるとは言えど、それぞれ別の作品で共演しているので、こうして同じ座組で共演できるという楽しさがあります。新木さんがいらっしゃるのもすごく心強いですし、年齢が一緒の玉城くんもいます。女性陣お二人(天華えまさんと凰稀かなめさん)とも共演経験があります。えまさんは最近、共演したこともあり、こうしてまた共演させていただけることが嬉しいですし、安心感もあります。中尾(暢樹)さんとは初めてです。実は、すれ違いはあるんですよ。『舞台PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』の2作目にだけ僕は出ていないんですが、彼は2作目にだけ出ているんですよ(笑)。なので、今回、やっと共演ができることを楽しみにしています。
―ありがとうございました!! 最後に公演に向けての意気込みと読者にメッセージをお願いします!!
まだアガサ・クリスティさんの作品に触れたことがないという方も大歓迎ですので、ぜひこの機会にご覧ください。アガサ・クリスティさんの作品の中でも、舞台用の戯曲としてポアロが描かれているのは、この『ブラック・コーヒー』だけです。ミステリー小説、そして舞台の魅力が非常に分かりやすい作品になっていると思うので、舞台ならではのハラハラ感、ドキドキ感、推理する楽しみを劇場で肌で感じていただけたらと思います。ポアロとヘイスティングスが灰色の脳細胞をフルに働かせて推理しますので、皆さまも劇場の椅子に座って、一緒に灰色の脳細胞の一部となって考えていただければと思っております。楽しみましょう。お待ちしています。

▶︎鈴木拡樹さんのファッション事情◀︎
―普段のファッションのこだわりを教えてください!!
最近は、いかに着替えやすいかを重視しています。ただ、僕は元々、ファッションにめちゃくちゃ興味を持っていて、昔はファッションショーの様子がたくさん掲載されているような海外のファッション誌をよく買っていたんですよ。DiorHommeでデザインを担当されていた頃のエディ・スリマンさんの洋服が好きで、よく雑誌を見ていました。当時、日本ではまだ流行っていなかったスキニーデニムや男性の体にフィットしたファッションを提案していることに感銘を受けていました。かっこいいと思う洋服ばかりでしたが、ハイブランドでなかなか高価なので(苦笑)、頑張ってお金を貯めて、一着やっと買って。もし、着られなくなっても思い出に残るからと思ったんです。「服」と言わずに、「作品」と呼んでいたくらい「作品」として完成していたデザインだったと思います。他にも、ジョン・ガリアーノさんも奇抜で好きでした。

―最近買ったお気に入りのファッションアイテムは?
数年に1度、思い出したかのようにバスケットシューズを買ってしまう時期が訪れるんですよ。アメリカのNBAというリーグの選手のモデルのものを買い漁ってしまいます。
―元々、バスケをされていたのですか?
そうですね、小学校のときにやっていました。そういう習慣もあって、思い出したときに3、4足買ってしまいます。最近は、NIKEとジェイソン・テイタム選手のコラボのバッシュを買いました。
―そうしたバッシュは、普段から履いているのですか? それともコレクション用?
履くために買っています。最近買った、そのバッシュは稽古場で使っています。外で履くこともありますが、運動するのに良い作りになっているものなので。
―では、疲れやストレスが溜まったときの癒し法は?
タイトルにかけているわけではないですが、ブラックコーヒーです(笑)。お仕事を始める前、お仕事が終わったとき、休憩のときなど、タイミングで飲むコーヒーが好きです。アロマの効果もあると思いますが、脳が活性化されているような気がするんです。美味しくて、脳を活性化できる、なくてはならないものです。
―鈴木さんが素敵でいるため、かっこよくい続けるための秘訣は?
きっと答えはないのだと思います。でも、素敵でいる、かっこよくい続けるために何かしようと、目標を追い続けることが一番の秘訣なのかもしれません。何を素敵として、何をかっこいいとするのかは人によって違いますし、自分が納得できるかどうかだと思いますが、考える時間が長ければ長いほど、答えは見つかるものだと思います。なかなか100パーセントの理想を追い求めるのは難しいかもしれませんが、追求し、探求すること自体がかっこよくも素敵にも見えるのではないかと思います。
―鈴木さんの追い求める理想像は?
理想を言ってしまえば、完璧な人間です。常に余裕があって、困っている人がいたらベストな回答ができる人がかっこいいなと思うので、そうありたいですが、なかなか難しい。できるだけ、そんな理想像に近づけたらと思っています。
【profile】
鈴木拡樹/Hiroki Suzuki
1985年6月4日生まれ。大阪府出身。AB型。
2007年テレビドラマ『風魔の小次郎』でデビュー。2008年上演の『最遊記歌劇伝-Go to the West-』で初主演を務める。舞台、テレビ、映画と幅広い活動で注目を集める。
近年の主な出演作は、舞台・映画『刀剣乱舞』シリーズ(三日月宗近 役)、ミュージカル『SPY×FAMILY』(ロイド・フォージャー 役)、舞台『アルキメデスの大戦』(櫂直 役)、劇団☆新感線『紅鬼物語』(源蒼 役)など。
■公式ブログ https://ameblo.jp/kakugen-hiroki/
■公式X https://x.com/hiroki_0604

【公演概要】
■タイトル
舞台『ブラック・コーヒー』
■日程・会場
大阪公演:2026年4月8日(水)〜4月12日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
東京公演:2026年4月18日(土)〜4月26日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
■脚本 アガサ・クリスティ
■演出 野坂実
■出演
片岡鶴太郎 鈴木拡樹 新木宏典 玉城裕規 天華えま 中尾暢樹 凰稀かなめ 他
(2026,04,07)
photo,interview&text:Maki Shimada/hair&make-up:Masataka Gonda/styling:Syohei Fujinaga


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