歌舞伎座「七月大歌舞伎」第二部『夏祭浪花鑑』『雪月花三景』の取材会が、2022年6月23日(木)に行われ、市川海老蔵さんが公演への想いを語りました!!

 

2022年7月4日(月)に初日を迎える、三部制で上演される「七月大歌舞伎」。今回、第二部は義太夫狂言の傑作『夏祭浪花鑑』と成田屋ゆかりの新歌舞伎十八番の舞踊劇『雪月花三景』が上演されます。
『夏祭浪花鑑』では、団七久郎兵衛を8年ぶりに海老蔵さんが勤め、前半では男伊達の義理人情を、後半では歌舞伎ならではの様式美溢れる「殺し場」を錦絵のように繰り広げ、壮絶な迫力を見せます。九郎兵衛の伜市松は、海老蔵さんの長男・堀越勸玄さんが勤めます。

続く『雪月花三景』は、新歌舞伎十八番のひとつで華やかな舞踊劇。帝の忠臣である海老蔵さん演じる仲国が、貴人の悲恋を支えるという物語性豊かな一幕です。同作に登場する女蝶の精を海老蔵さんの長女・市川ぼたんさん、男蝶の精を堀越勸玄さんが勤め、歌舞伎座で初めて親子3名での共演が実現します。

 

海老蔵さんは、2022年11月に歌舞伎の大名跡である「市川團十郎」を、勸玄さんは「市川新之助」を襲名することが決定しています。海老蔵さんは、「“海老蔵”という名前は、日本でも多く知られる名前になったと思っています。それだけに、その名前をやめて、“團十郎”という新しい世界に入ることは、大変勇気がいることです。ですが、團十郎という大きな名前を相続するのは、自分だけのことではなく歌舞伎のために生きるということが大きくなるんだろうと思っています」と襲名についての心境を語りました。

一方で、11月の襲名に向けて、“海老蔵”の名前で出演する公演も残り少なくなってきますが、「これまでの集大成にしたくはないというのは正直な思い。続・歌舞伎の道としたいので、今のところ特別な感情を持たないようにしたいと思っています」と話しました。

 

また、勸玄さんについては「2020年5月から新之助になるという気概で頑張っていましたが、コロナ禍で襲名公演が延期となり、落胆しておりました。ですが、ここ数ヶ月でようやくきっちり決まり、やる気スイッチが入ってきた。襲名披露に向けての稽古もしていますし、今回の7月の稽古もしています」と明かすと、「これまでは、(自分も)親子共演というと嬉しい思いだけでしたが、今は“渡していく”作業があるので、責任も増してきた。諸手を上げて嬉しいだけではなくなってきたと感じています」と気を引き締めました。

今回は、親子3人での歌舞伎座での初共演。海老蔵さんは改めて「3人で歌舞伎座に出られることを夢見ていたので、嬉しいです」と笑顔を見せると、「色々な風習、文化、歴史がありますが、そういったことも踏まえて、こういう時代であるということも踏まえて、これからもまた3人で舞台に立てる道を考えたいと思います」と先も見据えました。

 

会見後に行われた囲み取材には、ぼたんさんと勸玄さんも参加。ぼたんさんは「3人で揃って踊るのも随分前の新橋演舞場以来なので、本当に嬉しいですし、歌舞伎座に出させていただけるのは嬉しいです。やっぱり(歌舞伎座に)立ちたいという思いはありました」と目を輝かせました。


父親である海老蔵さんについて聞かれると、ぼたんさんは「舞台に立っていないお父さんは、すごく優しくて、可愛らしくて、面白いです。舞台に立っている時はその役になりきっていて本当にすごいと思います」と笑顔。
これを聞いた海老蔵さんは「最近よく言われるんです、可愛いって。今まで、そのイメージは0%だったんですが」と照れ笑いを浮かべていました。

すると、勸玄さんからは「(可愛いというより)大人気ない」との指摘も入りました。「僕たちとゲームをして、勝ったら、お父さんは足の先から頭まで喜ぶから、大人気ない。大人ならもうちょっと抑えてやったーとやればいいけど」といったクレームが。ぼたんさんはすかさず「私はそういうところが可愛いと思う」と言い切り、仲の良い様子が伺えました。

最後に、勸玄さんは「11、12月に襲名をさせていただくので、堀越勸玄として舞台に出るのは7月が最後になります。精一杯頑張ろうと思います。ぜひ、皆さま、観に来てください」と呼びかけ、ぼたんさんは「私は初めて歌舞伎座に立たせていただきます。一生懸命踊らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」と想いを込めました。

そして、海老蔵さんは「3人で本興業に出ることができるのは初めてです。成田屋としても初めての親子共演ができること、ぼたんが歌舞伎座に出られることと、初もの尽くしです。私も、海老蔵として歌舞伎座に出る回数もどんどん少なくなってくるので、舞台に集中して一生懸命務めたいと思います」と意気込みました。

 

【公演概要】
■タイトル 歌舞伎座「七月大歌舞伎」
■日程・会場
2022年7月4日(月)〜7月29日(金) 歌舞伎座
■公演内容
第一部 通し狂言『當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)』
第二部 一、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
二、新歌舞伎十八番の内 雪月花三景(せつげつかみつのながめ)
第三部 風の谷のナウシカ(かぜのたにのなうしか)上の巻―白き魔女の戦記―

(2022,06,29)

photo&texr:Maki Shimada

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