2022年に10周年を迎えたミュージカル『薄桜鬼』シリーズ。シリーズ累計100万本を超える大人気ゲーム『薄桜鬼』を原作としたミュージカル『薄桜鬼』シリーズ12年目の最新公演、ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇が上演中です。最新作では、ミュージカル 『薄桜鬼』を初演から創り上げてきた毛利亘宏氏が再び脚本・演出を担当し、『薄桜鬼』のメインストーリーとなる「土方歳三 篇」を「真改」として新たに脚本を書き下ろしました。
今作で土方歳三を演じる久保田秀敏さん、風間千景を演じる佐々木喜英さんに本作への想いと意気込み、さらにはファッションについてもお聞きしました!!

 

―作品へ出演が決まった時の気持ちと作品の印象を教えてください。
佐々木さん
「まず「土方篇」が来るとは思っていなかったんですよ。初演から数えると「土方篇」より上演数が少ないものもあるので、それが来るかなと予想していたので、「土方篇」なんだっていう驚きがありました。僕は2015年に初めて「黎明録」で土方を演じ、2017年で鬼の副長から鬼の頭領に寝返って演じているわけですけども(笑)。風間として舞台に立ったのが「原田篇」と「山南篇」で、そんなに(風間として)出番は多くないルートで、主役が最後に戦う相手も風間ではなかったので、今回初めて土方と最後まで戦うというのは、今まで僕が風間を演じた中でも一番の物量になるんじゃないかなととても楽しみです」

久保田さん
「初めて聞いた時は、“嘘でしょ??”って思いました。それこそヒデが言ったように、「土方篇」が来るなんて全く思っていなくて、別のルートと思い込んでいました。最初に聞いたのが「山南篇」の打ち上げのときだったので、終わって肩の荷がおりたと思ったら、また新たに肩に荷が乗っちゃって、“これ打ち上がれないぞ”って思いましたが、ちゃんと打ち上がりました(笑)。そこから新たに気持ちを切り替えて、ここまで数ヶ月気持ちを作りながら、この作品に耐えうる体づくり、久保田秀敏という役者の肉体も地道に作り上げて来たので、もう今は楽しみでしかないですね」

 

―久保田さんからご覧になった佐々木さんはどんな役者ですか?
久保田さん
「役者としての役への向き合い方、アプローチの仕方が2.5次元っていうジャンル、フィールドの中ではヒデの右に出るものはいないんじゃないかっていうぐらいに原作のキャラクターに対して忠実に向き合って、忠実に再現し、忠実に舞台で生きることができる役者だと思っています。簡単そうに見えて、なかなかできないんですよね。ただモノマネをすればいいかというと、そうではなくて、原作に似せながらも、その中でちゃんと生きることができる役者で、命を持ってそこに息吹を入れながら、お芝居ができる稀な役者だと思います。自分を出し過ぎてしまう人もいれば、いろいろなアプローチの仕方をする人もいますけど、簡単そうで難しいことをさらっとやってのける素晴らしい役者さんだなって思います」

 

―久保田さんからのお話を受けて、佐々木さんの役作りへの想いを教えてください。
佐々木さん
「いろいろな役者さんがいて、本当にそれぞれだと思うのですが、僕が初めて2.5次元の作品を観たのはまだ高校生の頃でした。その頃、僕が大好きなアニメの舞台をやっていて、原作にそっくりな2.5次元俳優の大先輩たちが舞台上に立ってるのを見て、“うわっ!!あのキャラクターが本当に舞台上にいる!!”ってすごく感動したのを今でもすごく覚えています。それを見て僕も2.5次元の作品の舞台に立ちたいとオーディションを受けるようになりました。だから、キャラクターを演じる上で、似てるということはすごく大事だと思いますし、その中でもたくさん似せていきたいなっていう想いがあるんです。でも実際に本当のお芝居をするとなると、感情のやり取りをしてる中で、こういう声色で喋ろうとか、この声優さんに似せて喋ろうというのは必要ない考え方で、それが僕の中でずっと課題でもあって、原作に忠実に演じたいけども100%血の通ったお芝居をしたいというのが僕の思いです。そんな僕の中で“ああ、今ちゃんとキャッチボールしてなかったな”っていう時に、くぼひでは、血の通った100%の球を投げてくれるので、それをもらって、僕もこの会話を楽しんでいこう、この戦いをもっと楽しんでいこう。という気にさせてくれるので、そこは僕もすごく楽しみつつ、助けられながら一緒に演じています」

 

―佐々木さんが役作りの中で一番意識しているところはどんなところですか?
佐々木さん
「「黎明録」の2015年から今まで2.5次元作品の舞台しか出演していなくて、その道を極めているような感覚でもあるんでけれども(笑)、この9年、原作を必ずチェックするというのはやっています。僕は2.5次元の作品に出演する俳優は2通りいると思っています。役を自分に引き寄せるタイプと自分から役と原作に寄っていくタイプで、僕は原作に寄っていきたいと思ってる人間なので、9年間そういう役の作り方をしています。

 

―久保田さんは役作りの中で意識していることはどんなところですか?
久保田さん
「2.5次元と言われるジャンルをやる時は、僕も原作を必ずチェックするようにしていますが、何回も見過ぎないようにしています。その中で使える情報と使わない情報をふるいにかけて、例えば声色、容姿、立ち居振る舞いは、いま自分の引き出しの中にあるこれが使えるな。じゃあここをもらって、あとの情報は外して…という作り方をしています。最初の導入の部分では、似せるところに重きを置いて作りながらも、そこから物語が始まって後半に行くにつれて、だんだん人間臭さの方に重きをチェンジしていくやり方をしてます。役者の力量にもよりますけど、ちゃんと生きて会話ができて、成立していればお客さんからみたら自然と違和感って感じないものだから、すべてキャラクターのこう動くけど、こうは動かないというところに縛られないようにしてます。そこにリアリティがあって、しっかりと生きていれば成立すると思って作っています。2.5次元舞台ではない別のフィールドの芝居の時には、自分がちゃんとその場にいることを意識しています。年間を通してバランスよく仕事をやっていて、2.5次元舞台の作品をやったら、次はストレートの芝居をして、ストレートの芝居の次はミュージカルに出たり、コメディをやったり、ジャンルレスにいろいろな作品に出演しているんですけど、全部のジャンルに関係なく通じるのはやっぱりその場でちゃんと生きること、芝居をやることです。原作ものでも、翻訳劇でも、オリジナル劇でも、ちゃんとその場で呼吸をして相手とキャッチボールをしながらやることだと感じています」

 

―今回の脚本・演出を毛利亘宏さんが担当されます。毛利さんのお人柄や印象をお聞かせください。
久保田さん
「毛利さんとは一度お仕事をしましたが、11年ぐらい前の話になるので、お互いあまり覚えてなくて。今回また1から作り直すっていう感覚ですね。でも昨年2人でご飯に行った時に、「土方篇」をどうしていきたいかということをお話しさせていただいて、方向性や作りたい絵が結構合致しました。ドラマとしての軸を持ち、しっかりとした土台作りをしていかないといけない。今回の作品で毛利さんが過去の「土方篇」をなぞらず、全く新しいものを作るとその時からおっしゃっていたので、新しい1つの伝説を作るという目標とゴールは同じところにあるとわかったので、二人三脚で作っていく気持ちでいます」

佐々木さん
「毛利さんとは「黎明録」「原田篇」のほか、別の作品でも一緒でしたがすごく久しぶりです。毎回毛利さんには結構自由にやらせていただいた印象があって、僕自身“ここはこうしたい”という思いとかこだわりが結構強いタイプなので、それをすべて受け入れてくださったのはすごく嬉しかったです。毛利さん自身がすごく優しい方で接しやすく、リラックスしてちゃんと芝居ができる環境を作ってくださる、とても大好きな演出家さんです」

 

―お二人にとって『薄桜鬼』という作品の魅力を教えてください。
久保田さん
「江戸時代末期の生きるか死ぬかの時代で、日本を新しく変えようとする人たちと、今まで作ってきたものを大切にしていこうという人たちの思いがぶつかった本当に激動の時代。その中でも新選組の人たちは、”俺たちが絶対この国を変えてやるんだ”と志し、みんなでまとまって、個から集団になり、平民だったにも関わらず、侍になっていくくらいの熱い人たちだったんですよね。その人たちが150年以上経っても語り継がれるぐらい伝説を残しました。この作品を見ることによって、自分の思いを貫く大切さだったり、しっかりと意見して行動に移す大切さに気付いていただけたらと思います。ひとつの小さな勇気でも、みんなが集まったら大きな力になるし、必ず未来は明るい方向に変えることができるっていう根本的なメッセージがこの作品には込められています。その中に生きている泥臭い僕らの生き様が皆さんの今後の人生にも必ず影響を与えてくれると思うし、原作物ではあるけれども、とても近い感情のやり取りをしてる作品なのでぜひ触れて欲しいなと思います」

佐々木さん
「普段舞台をあまりご覧にならない方でも、2.5次元の舞台をご覧になったことがない方でも、絶対に楽しめるのがこのミュージカル『薄桜鬼』だと僕は思っています。エンタメの要素の全部が入ってるんですよね。芝居があって、歌があって、ダンスもあって殺陣もある。他の作品で、歌いながらこんなに戦う舞台はないですし、やる方は本当にしんどいんですけども、命をかけた戦いという題材で、その熱量が客席にいても見入ってしまう、一瞬も休む暇がないようなエンタメ要素が盛りだくさんの宝箱のような作品です。舞台を見たことがない方でも絶対に引き込まれるものだと思いますし、僕も初めて見た時にすごく引き込まれました。役者が全力で頑張って演じているエネルギーを感じてほしいなと思います。土方と風間の戦いは、最後のシーンで切り結んでそのまま舞台袖にはけて、その先はどうだったんだろう?っていう演出も多いんですけど、今回は最後の決着まで演じると思うので、反対の舞台袖にはけたくぼひでを見て、今日は崩れ落ちてるな、お互い頑張ったなっていう達成感がより一層感じられるんじゃないかと思います」


▶️久保田さん&佐々木さんのファッション事情◀️
―お気に入りのファッションスタイルやアイテムはありますか?
久保田さん
「僕はメガネが大好きで、趣味で集めたものが今20本ぐらいはあるんですけど、良いのを見つけるとついつい買っちゃいますね」

 

―選ぶときのこだわりというのはありますか?
久保田さん
「セルフレーム、メタルフレーム、細めだったり、太めだったりといろいろなものを持っています」

 

―今日の1本を決めるときは何かルールはありますか?
久保田さん
「髪色とのバランスや洋服とのバランスとかですね。例えば今日取材があるからちょっと気合い入れていこう、という時は、サーモントフレームを選んだりします。眼鏡の上の部分に眉毛っぽい太いセルフレームが付いていて、人に印象をつける時にかけるとすごく効果的なんです。目力を強調するので、人に印象を与えたい時とか、会議とかプレゼンとかそういう時につけるとバチっと印象に残りやすいんですよね。だから、そういうシチュエーションで分けたりはします。 もう沼なんですよ、眼鏡。 眼鏡屋さんに寄ったらすぐに買ってしまうので、永遠に増えていくと思います」

 

―佐々木さんはこだわりのファッションアイテムはありますか?
佐々木さん
「ファッションに沼ってなくて、一番よく着る服って僕、ジャージなんですよ(笑)。稽古場に行くのもジャージで、普段は2.5次元の舞台なので、人前に出る時は衣裳を着ていますし、普段車での移動が多く、家から出たら次にみんなに会うのが稽古場なので、もうジャージでいいかという生活を送っています。でもその中でもたまにコンビニとか稽古場からなんかちょっとどっか行ったりとか、稽古終わりにみんなでご飯食べたりとかで、人前に行くこともあるじゃないですか。だからなるべくちょっといいジャージを買うようにしています」

久保田さん
「ジャージは本当にありがたいよね。最近おしゃれなものも多いからね」

佐々木さん
「そうなんだよね。だいたいそれでセットアップが完成しちゃうみたいな感じですね」

 

―輝くために意識していることを教えてください。
久保田さん
「人様の前に出る仕事、世界に発信していく仕事だから常に自分の知らない世界に足を踏み入れるようにしています。ファッション系でいうと、男性誌ではなく女性誌を読んでみたりしますね。近年になって、ユニセックスとかジェンダーレスのものが増えてきて、女性でも男性でも着られるようなグローバルな服が増えてきましたけど、今までの選択肢として男性のファッションって結構単調になりがちでしたし、僕は元々美容の世界にいた人間だったので、当時から女性誌をよく見るようにして、フラットにいいものはいいものとして触れるようにしてます。 最近も蜷川実花さんの個展に行って、芸術に触れて自分の感性を高めていくようにしています。とにかくいいと言われるものに触れる環境作りを常日頃からしていくところですね」

佐々木さん
「僕は、普段2.5の舞台の仕事をメインで活動しているってこともあって、やっぱり原作のキャラクターってどれも美しいものが多いじゃないですか。だから美容に関しては本当に自分でもメイクをするようにしたりとか、自分で研究したり、メイク道具を揃えたり、日々の肌のケアは昔から気をつけていますね。最近は特に、舞台をやる上で身体が資本なので、外見じゃなくて内面にも気をつけないといけないと思って、食生活をすごく見直すようになりました。全部有機の野菜だったりとか、塩も天然の塩、味噌も有機の味噌で、白米じゃなくて玄米を炊いてちゃんと自炊する。肉よりも野菜とか魚中心の生活っていうのをするようになりましたね。重度の喘息持ちだったのですがそれもよくなってきて、食生活を見直した甲斐があったなと思っています」

 

【profile】
久保田秀敏/Hidetoshi Kubota
1987年1月12日生まれ。福岡県出身。
近年の主な舞台出演作は、Story Rocking『ピーチ』 ~芥川龍之介「桃太郎」より~ イワン・フェザンチ 役、舞台『血界戦線』シリーズ スティーブン・A・スターフェイズ 役、ミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズ アルバート・ジェームズ・モリアーティ 役、
舞台「文豪とアルケミスト」シリーズ 芥川龍之介 役。近年の主なTV出演作は、EX『特捜9 season4』結城翔 役。
▪️公式ホームページ
https://avex-management.jp/artists/actor/KBTHT
▪️公式Instagram
https://www.instagram.com/hidetoshi_kubota
▪️公式X
https://twitter.com/kubotahidetoshi

 

佐々木喜英/Yoshihide Sasaki
1987年10月4日生まれ。東京都出身。
近年の主な舞台出演作は、舞台『刀剣乱舞』シリーズ 宗三左文字 役、舞台「鬼滅の刃」シリーズ 鬼舞辻無惨 役、「PERSONA5 the Stage」シリーズ 明智吾郎 役、舞台『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』ポール・ヴェルレエヌ 役、「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE レイン・エイムズ 役。
▪️公式X
https://twitter.com/yoshihidesasaki

▪️公式YouTube
https://www.youtube.com/@user-mg3wp2iq9v


【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇
■公演日程

関西公演:2024年4月13日(土)〜4月14日(日) AiiA 2.5 Theater Kobe
東京公演:2024年4月19日(金)〜4月29日(月・祝) 天王洲 銀河劇場
■出演

土方歳三 役:久保田秀敏 雪村千鶴 役:竹野留里/
沖田総司 役:北村健人 斎藤一 役:大海将一郎 藤堂平助 役:樋口裕太 原田左之助 役:川上将大 永倉新八 役:小池亮介 山南敬助 役:丸山龍星 山崎烝 役:田口司 近藤勇 役:井俣太良 大鳥圭介 役:飯山裕太/
天霧九寿 役:横山真史 不知火匡 役:末野卓磨 雪村綱道 役:川本裕之/
風間千景 役:佐々木喜英 ほか
■公式ホームページ
https://www.marv.jp/special/m-hakuoki/

(20204,04,19)

photo:Hirofumi Miyata/styling: MASAYA(PLY)/hair&make-up: Kanako Furuhashi(LaRME)/interview&text:Akiko Yamashita

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