集英社「ジャンプSQ.」で2016年から連載されている、構成・竹内良輔氏、漫画・三好 輝氏による人気漫画を原作とした、ミュージカル『憂国のモリアーティ』。本作は、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」を原案に、ホームズ最大の宿敵であるモリアーティ教授視点で再構築された物語が描かれています。

2023年8月24日(木)からは、第5弾公演となる、ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 ‐最後の事件‐が開幕。シャーロック・ホームズ役の平野良さん、ジョン・H・ワトソン役の鎌苅健太さん、ジョージ・レストレード役の髙木俊さんに公演への思いをお伺いしました。さらには、爆笑の連続だったファッショントークもお届けします!!

 

―2019年のOp.1からスタートし、シリーズも5作目になりました。改めて、ミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズへの思いを聞かせてください。
平野さん「こうして続けてこられたことに、まず、感謝です。お客さまがすごくこの作品を盛り上げてくださり、公演期間以外でもみんなでDVDの同時上映をしようとSNSで話題にしてくれているのを見ると、愛されている作品だと改めて思います。こうして続けて来られたのも、ひとえにファンの皆さまのおかげだと思います。昨年末に『ジャンプフェスタ2023』に出演させていただいたのですが、コロナ後に初めてお客さまを入れて行ったステージだったんですよ。そうしたら、海外からのお客さまが3分の1くらいいらっしゃいました。日本だけでなく、海外のお客さまにも楽しんでいただけているのだと驚きましたし、嬉しかったです。僕のSNSにも色々な言語で書き込んでくださるので、幅広く愛されている作品だなと感じています。感謝です」

鎌苅さん「僕も全く同じ思いです。こうして求めてもらえることはとても幸せだなと思います。コロナ禍で上演したOp.2のM1(1曲目のナンバー)を歌った後にもらった拍手で感極まったことは忘れられないです。本当に皆さまに感謝ですし、嬉しいです」

髙木さん「ここまでできたことが本当に嬉しいです。これまで、すごくバランスよく次を期待させる終わり方をしてきているので、そうした作り手側の方たちの努力も素晴らしいなと思います。そんな中で、このOp.5なので、ついにきたなと気合いが入っています」

 

―シリーズを通して熱量の高い作品だという印象もありますが、実際に、演じている皆さんとしては、その熱量の高さやチームワークというのは感じていますか?

平野さん「どの作品も同じような情熱でやっているとは思いますが、プリンシパル、アンサンブル、スタッフさんたち関係なく、全員が“よりいいものを”と考えて、こだわりを持っている作品だとは思います。楽にやってしまおうと思えばできるのに、面倒なことでもみんなが突き詰めてやっていくところが、この作品の熱量になっているんだろうなと思います」

髙木さん「大人だよね、みんな」
平野さん「大人だね。だからいい意味で、ちょうどいい距離感が保てるよね。お互いに信頼して、任せているところも大きいですし」

髙木さん「お互いに、みんなやってきてくれるという信頼感があるから、もちろん熱量はあるんですが、いい意味でクールなメンバーだと思います」

鎌苅さん「稽古場だと、特に日を重ねるごとに勝手に熱量が高まっているような気がします。特に、ウィリアムとシャーロックは、クールだけど熱い、青い炎のような(笑)。その炎がみんなに広がっていくという稽古だと思います」

 

―それぞれがこだわりを持っている現場ということでしたが、ホームズチームのこだわりや、共通認識として持っているものというのは何かありますか?

平野さん「共通でというのは意識したことはないかな。今、2.5次元舞台はかなり広がってきていて、歌舞伎でも漫画やゲーム原作の作品を上演しています。その先駆けである、ミュージカル『テニスの王子様』出身のメンバーたちがこの作品にはたくさん出演しているんですよ。皆さん、いろいろな経験を、いろいろな場所、いろいろな劇場でしてきているので、大人なんですよね。なので、絶対にこのチャンネルに合わせようということもないけれども、周波数が聞こえる位置にみんながいる。そうしたバランスをみんなが取れるのでやっていて楽です。各々がやりたいことをやりつつ、全員がそれぞれバランスを考えてやるというのが、プロフェッショナルだなとは思います」
鎌苅さん「そこでそれぞれが出してくるものも面白いから、チャンネルを合わせることも気持ちいいんですよ。この人のこのチャンネルにはこうした方がより合うんだろうなと、こっちも心地良いところでできるという感じがします」

髙木さん「チームとしてということであれば、モリアーティチームが“陰”でホームズチームが“陽”が強いキャラクターが多いので、そういう部分は担っていかないといけないなと思います。陽の筆頭は僕レストレード(笑)とシャーロック。そこにワトソンがツッコミで入ってくるという…」

 

―そうすると、稽古場では髙木さんがムードメーカー?

髙木さん「ムードメーカーではないです。僕、普段は暗いので(笑)。静かにしてます。役では頑張りますけどね」
平野さん「でも、しゅんりーさん(髙木さん)は、稽古場でも視聴率は100%ですけどね。絶対に見ちゃうから」

髙木さん「僕は稽古場だけのネタも作ります。本番はやらないという」

平野さん・鎌苅さん「あははは(笑)」

 

―それはお客さまは観ることはできないんですか?

髙木さん「できないです。稽古場の雰囲気をちょっと良くしたいという時だけやります(笑)」

 

―稽古場の雰囲気はいかがですか? このモリミュならではの空気感はありますか?

平野さん「どうだろうな。僕たちは、モリアーティチームの稽古をあまり見ないんですよ。今までは、別々に描かれていることが多かったので、前半はモリアーティチームの稽古をして、後半はホームズチームというような形が多かったんです。なので、ホームズチームの雰囲気しか分からないですが、ホームズチームはサクサク進みますし、朗らかに進んでいるイメージがあります。もしかしたら、モリアーティチームはもっとギュッと濃縮した稽古なのかもしれませんが。今回は、ストーリー的にも、初めて最初から最後までみんなで稽古することになるんじゃないかなと思います」

髙木さん「どんな感じになるんだろうね」

鎌苅さん「僕は(ミス・ハドソン役の七木)奏音ちゃんがいると朗らかな空気になるイメージがある。ホームズチームも彼女が1人いるだけで稽古場の空気がすごく明るくなる気がします」

 

―では、長いお付き合いがあり、お互いによく知っているお三方だと思いますので、それぞれお互いに尊敬しているところを教えてください。

平野さん「しゅんりーさんは、もう言わずもがなですよね。2.5次元のパイオニアで化身ですから。僕が2.5次元舞台に出演し始めたのは、ミュージカル『テニスの王子様』からなんですが、その頃は映像しかやったことがなかったから、舞台がどういうものかとか全然分からなかったんですよ。そんな時代に僕がイベントをやった時に、司会をやってくれていたのが、しゅんりーさんなんです」

鎌苅さん「うわー、すごい」

髙木さん「そうなんですよ。共演じゃなくて、司会。すごく爽やかな青年だったけど、こんなに癖強くなるんだね、人って(笑)」
平野さん「あはは、鮭とばみたいになっちゃったからね」

髙木さん「でも、いつも(平野は)何も言わなくてもすごいものを持ってきてくれるので、安心感があります」

平野さん「でも、みんなそうですよね。みんなが持ち寄っている。奏音ちゃんは若いけど、奏音ちゃんだって最初から完璧にしてくるよね。あの若さで最初から本番と同じようなクオリティを持って来られちゃうと、おじさんたち頑張らなくてはと改めて思います(笑)。きっとモリアーティチームも最初からみんな高いクオリティを持ってくると思うので、今回はきちんと準備して稽古に臨まないといけないなという思いはあります」

 

―鎌苅さんから見たお二人はいかがですか?

鎌苅さん「やっぱり(平野)良さんは面白いです。奇想天外なところもあるし、ダークなところもある。暗い、暗い」

平野さん「2回、暗いって言いましたよ(笑)」
鎌苅さん「明るくて、暗いから面白いですし、ずっと見ちゃう。しゅんりーは、仕事人って感じです。言われたことを超えて絶対にやってくる。プロだなと思いますし、大人だと思います。ここ2年くらいは、特に、すごく勉強させてもらってます」

平野さん「2人は出会って20年くらい経ちますよね?」

鎌苅さん「近いですね」

髙木さん「ケンケン(鎌苅)とは、一緒に雑誌の企画でコンビみたいなことをやってて、すごい楽しかったよね」

 

―今回のOp.5では「最後の事件」を舞台化するということで、改めて、今回の見どころをお願いいたします。

平野さん「いっぱいあります」

髙木さん「ウィリアムとシャーロックがついに結ばれるじゃないですか。僕自身も本を読んでドキドキしましたから、きっとお客さんもドキドキするだろうなと」

平野さん「最後のシーンを、どう描くのかを楽しみにしていただけたらと思います。それから、その二人の関係性がもちろん軸にはありますが、この作品の魅力は、ウィリアムとシャーロックにとどまらないところだと思うので、彼ら周りにいる人物たちにも注目をしてもらいたいですね。モリアーティチームのウィリアムへの思いや、シャーロックを取り巻く周りのメンバーの思いが交錯するところもすごく面白いと思います。矢印が折り重なっていくようなやりとりは見所もあると思うので、ぜひご覧いただきたいです。それに、アンサンブルたちが演じる市民や貴族、それにウィリアムがOp.1からずっと続けてきた『モリアーティ・プラン』の帰結も、今回は描かれているので、見どころばかりの作品になります」

鎌苅さん「全部、良くんが言ってくれましたが、それぞれの思いとウィリアムが求めてきたもの、シャーロックが追いかけたものの終着が分かると思います。それぞれのナンバーも今までで一番多いと思うので、それがどういう思いの表現になるのかというところも楽しみにしてもらえればと思います。お客さんが、それぞれ感情移入するキャラクターがいると思いますので、それを楽しみにしていただけると思います」

 

―シャーロックを演じてきた平野さんから見て、シャーロックのウィリアムへの思いはどんなものに見えていますか?

平野さん「最初、奇人変人と言われていた頃のシャーロックは、“人”というよりも、“謎”を追っていました。犯罪卿を追っていた理由も、最初はそこから始まっていたはずなのに、いつの間にか“人”になっていた。その“人”がウィリアムだったわけですが、それはワトソンやハドソンさんたちにも教えを乞って、そうなっていったんだと思います。だから、ミュージカル『憂国のモリアーティ』という作品のシャーロックにおいては、人の心を持っていく話だなとも思います。コナン・ドイルの描いたシャーロック像とはそこが違うのかなと感じています」


▶︎平野良さん&鎌苅健太さん&髙木俊さんのファッション事情◀︎
―今日の衣装のポイントを教えてください。

平野さん「今日はみんな私服です」

鎌苅さん「人というものは、表の顔も裏の顔もあると思うので、手を取り合っているように見えて…」

平野さん「何(笑)?あ、デザインのことですか? それデザイナーが言うことじゃないですか(笑)。でも本当に、今回の物語を暗示しているようなデザインですね」

鎌苅さん「そうなんだよ。まさにこの『憂国のモリアーティ』だと思って、今日はあえてこれにしてきたんです。本当はジャケットとか着た方がいいのかなと思ったんですけど、一人は拳銃を持っているデザインだから」
平野さん「すごいですね、狙っていたんだとしたら、すごい(笑)。これ偶然ですか? 自分で作ったんですか?」

鎌苅さん「これは、今日のために僕が作った」

 

―本当ですか!?

鎌苅さん「嘘です(笑)。全く関係ないブランドなんですが、『憂国のモリアーティ』っぽいと思って着てきました(笑)」

 

―そうなんですね。それにしても見事なチョイスです。お二人からもポイントをお願いします。

髙木さん「僕は、モノトーンにしたことによって、この作品の裏と表を表現して…」

平野さん「(笑)やっぱりそうだよね、陰と陽でね(笑)」

髙木さん「光と影という対局するコーディネートをしようかなと」

平野さん「ファッション誌と聞いて意味を持たせようと思っちゃってるよね(笑)。僕は、2、3カ月前に買ったばかりのDr.Martensを履いているんですが、サイズが小さいんです。履いていると足が痛くなるんですよ。でも、やっぱり靴ってそういうもんだなって」

全員「あははは(笑)」

鎌苅さん「どういうもんなの(笑)」

平野さん「足を痛くしてなんぼだなって(笑)。あと服は、友達からもらった服なんですよ。だから、人への想いみたいなものをまといし男でありたいなと思いました。今日のファッションは『窮屈と友情』」

鎌苅さん「テーマダサい(笑)」

髙木さん「これ読む人、ダサって思ってるよね(笑)」

鎌苅さん「このミュージカル、大丈夫ってなるよ(笑)」

 

―この夏にしたいファッションや、今、欲しいファッションアイテムを教えてください。

平野さん「僕は、すごく楽なサンダルが欲しいです。脱ぎ履きが楽で、ただ、後ろのバンドもあるというのをずっと探しているんです。フカフカの涼しそうなものを」

髙木さん「いいね、そんなサンダル。読者の方が教えてくれるんじゃない? きっと皆さんオシャレだから、知ってそう」

 

―では、「ご存知の方がいらっしゃったら、ぜひSNSにコメントをください」としましょう。

平野さん「はい、ぜひ。送ってくれてもいいですし!」

髙木さん「物乞いし始めたぞ、ファッション誌で(笑)」
鎌苅さん「僕は黒のサンダル似合う長ズボンを探してます。楽で薄手のシルエットの可愛いパンツを教えてください(笑)。楽だけど可愛いのがいいです」

平野さん「楽なのを求めますよね」

鎌苅さん「うん、あとは夏のスウエットとか。楽したい」

平野さん「20歳の頃は、なんでこんなの着ているんだろうというくらいガチャガチャしたのばっかり着ていたけど、最近は楽なのが好きですよね。どんどんアイテムも減らしていって」

髙木さん「僕は、最近、『DULTON』という好きな雑貨屋さんがあって、そこで短めの短パンを買いました。アパレルも展開しているんですよ。それが、生地も薄くて、エコバックかというくらいシャカシャカしていていいんですよ。最近のお気に入りです」

鎌苅さん「また足が、長いし、きれいだから似合うよね」

髙木さん「街ゆく人からすごく見られるよ」

平野さん「綺麗だからね(笑)」

髙木さん「振り返ったらおじさんかって(笑)」

 

【profile】
平野良/Ryo Hirano
1984年5月20日生まれ。 神奈川県出身。
▪️公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/hiraryo0520

鎌苅健太/Kenta Kamakari
1984年2月17日生まれ。大阪府出身。
▪️公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/kenta_kamakari

 

髙木俊/Shun Takagi
1981年3月17日 生まれ。石川県出身。
▪️公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/shunly317


【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 ‐最後の事件‐
■日程・会場
大阪公演:2023年8月24日(木)~8月27日(日) メルパルクホール
東京公演:2023年9月1日(金)~9月10日(日) 天王洲 銀河劇場
■原作 構成 竹内良輔/漫画 三好 輝 『憂国のモリアーティ』(集英社「ジャンプSQ.」連載)
■脚本・演出 西森英行
■音楽 ただすけ
■出演
鈴木勝吾 平野良
久保田秀敏 山本一慶 井澤勇貴 長江峻行 大湖せしる
鎌苅健太
七木奏音 髙木俊 根本正勝 ほか
■公式ホームページ
https://www.marv.jp/special/moriarty/

【TOPCS】

▼動画配信サービスDMM TVにて、
ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 ライブ・アーカイブ配信実施決定!
▼配信公演
<大阪初日公演>
8月24日(木)18:00【スイッチング映像】【全景映像※アーカイブ配信のみ】
<東京千秋楽公演>
9月10日(日)12:00【全景映像】/17:00(大千秋楽)【スイッチング映像】
▼販売・配信ページ
https://tv.dmm.com/vod/detail/?season=5479mrbls00262

(C)竹内良輔・三好 輝/集英社 (C)ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト

(2023,08,23)

photo:Tsubasa Tsutsui/interview&text:Maki Shimada

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