森沢明夫さんの人気小説を映画化した『大事なことほど小声でささやく』が現在公開中です!!

本作は、スナックを営むゴンママとバーテンダーのカオリの元に集う悩みを抱えたジム仲間たちの物語。映画では、「歯科医の四海良一夫婦」をクローズアップし、夫婦が再生していく姿を描きます。主演を務めるのは、Netflix「全裸監督」シリーズのラグビー後藤役などで存在感を発揮した、後藤剛範さん。後藤さんにとって初主演映画となります。今回は、ゴンママを演じる後藤さんに、役作りについてや映画の見どころなどを聞きました!!

 

映画初主演、おめでとうございます!!最初にこのお話を聞いた時の心境を教えてください。

自分は演劇出身で、これまで舞台をメインでやってきました。映像のキャリアもそんなに長くはない状況でのお話だったので、驚きが大きかったです。ちょうどコロナ禍の少し前くらいから映像にも積極的に出始めて、3年くらいでこのお話をいただいたんです。それに、オファーをしていただいた(今作の)横尾(初喜)監督とは以前に別の作品で1シーンご一緒しただけだったのに、主演で自分を選んでいただいたことにびっくりしました。

 

ドラマ「来世ではちゃんとします」(以下、「来世ちゃん」)や「全裸監督」シリーズでの印象が強く残っていたので、映像に出始めて3年というのは意外でした。

連ドラにレギュラーで出演させていただいたのが「来世ちゃん」や「全裸監督」からなんです。それ以前は、短編だったり、自主映画だったりに出演していました。今回、この作品の主演が決まったことをマネージャーから聞いたのが、まさに「来世ちゃん」のクランクインの日だったんです。早朝からの撮影で現場に着いたらマネージャーがいて“映画の主演が決まりました”とだけ伝えられて、驚きながら撮影の支度をしていたのですが、その日はやっぱりお芝居をするどころじゃなかったです()

 

その後、原作や脚本を読まれたのだと思いますが、最初に読んだ時の感想は?

まず原作を読んだのですが、とにかく面白くて、読んだ後に心が温かくなる作品だなと思いました。自分はあまり小説を読まない方ですが、章ごとにメインとなる登場人物が変わるので読みやすく、読んでいるうちに夢中になってしまいました。悲しくなりそうな場面で挟んでくるユーモアが、すごく自分にフィットした感覚があって、心を掴まれました。僕自身、こんな見た目をしているので、怖がられたり敬遠されたりしがちなので、そういう意味でもゴンママの気持ちが理解できるシーンも多かったです。僕は、ゴンママほど人に優しくはできませんが、ゴンママが持つ柔らかさは自分の中にもあるものだと感じましたし、役に入りやすいなと感じました。もちろん、そこから役を深めるという点では難しい部分はありましたが。

 

役を深める時には、どんなところにポイントを置きましたか?

自分とは恋愛対象やそういう意味での生き方が明らかに違うので、そこでゴンママが抱える孤独と自分が抱える孤独とは質がちょっと違うということは意識しました。例えば、話し方というのは、恋愛対象だったり、生き方にまつわって変わっていくものじゃないですか。自分はこれまで、同性愛者という役を演じたことはありましたが、ゴンママのように“なになになのよ”と話す役柄は演じたことがなかったので、表面的にならないよう、心からの言葉、喋り方が出ることを意識して気持ちを作っていました。そういう意味で、心の調節は難しかったです。あとは、筋トレです()

 

筋トレは普段からしているのですか?

自分は、スポーツ選手だったり、筋トレが好きという役をいただくことが多いので、普段から筋トレはしていますが、今回は、プロの方がやるような筋トレをしているという役柄で、ジムで教えるシーンもあったので、説得力がないといけないと思い、特に体を作り込みました。普段は、筋トレも食事制限もあまり根詰めてやらないようにしているんです。僕のメインは役者なので、ボディビルダーの方のようにそこに全神経を集中することはなかったのですが、今回の撮影では、“タンパク質は何g”“食べるタイミングは…”と細かいところまで気にしましたし、できる限りジムにも通いました。

 

となると、他の作品よりも体も作り込んでいるんですね?

おそらく。「全裸監督」の時もかなり体も作りましたが、質が違うので、今回は、一番自分の中で頑張って作りました。いつ“大きな筋肉を見せてください”と言われてもいいような体にしてきたつもりです()

 

では、ゴンママに共感できる部分は?

先ほど、孤独の質が違うと言いましたが、見た目から発生する周りの人からの接し方に対する悩みは似ていると思いました。もちろん、皆さん、それぞれ悩みがあると思いますが、自分も子供の頃からコンプレックスを抱えて生きてきました。原作でも、ゴンママのコンプレックスに関して明確に書かれているわけではないのですが、少なからずあったんだと僕は思います。だからこそ、こうして人に寄り添ってあげられるようになったし、人を傷つけないように生きていこうとしている。そこは自分も悩んでいたからこそ、理解することができましたし、自然と表現できていたのではないかなと思います。

 

本作の中で後藤さんのお気に入りのシーンや注目してもらいたいシーンはどこですか?

どのシーンも好きなのですが、冒頭のシーンで、ジム仲間が集まってスナックで飲んでいると(田村芽実さんが演じる)カオリちゃんがゴンママに踏み込んでくるというシーンがあるんです。普段、ゴンママは優しい言葉をかけたり叱ってあげたりしながら、お客さんに影響を与えていくのですが、このシーンだけはカオリちゃんの言葉に影響を受ける姿が見られるので、面白いなと思いました。それから、今回は(深水元基さんが演じる)四海先生のお話がメインになっているので、四海夫婦のお話は見どころも多く、注目してもらいたいシーンです。

 

この作品のタイトルにちなんで、後藤さんが大事にされていることを教えてください。

無理をしない。最近は無理をしなさすぎて反省するくらいですが()、“無理をしない”は昔からテーマであります。

 

それはすべてにおいて?

もちろん、無理をしてしまうこともたくさんあるのですが、隙間時間や、リラックスできる瞬間は絶対に持つようにしてます。自分は無駄に考えてしまうことが多くて、それで悩んで苦しくなってしまうタイプなんです。でも、完璧にできることなんてないと気づいてからは、隙間を作るというのは大事にしています。

 

最後に、読者の方にメッセージをお願いします!!

『大事なことほど小声でささやく』は、誰しもが抱えている孤独に向き合う映画になってます。これを観て少し楽になったり、一歩を進む活力になったりする映画になっていると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。


▶︎後藤剛範さんのファッション事情◀︎

普段はどんなファッションがお好きですか?

今、流行しているというのもありますが、ルーズな服を着ることが多いです。自分の体型が特殊なので、それに合う服を探すというのがまずテーマで、最近は「Graphpaper」というブランドの服をよく買っています。ルーズなシルエットが多くて、自分でも着やすいですし、オシャレで清潔感があるので。「Graphpaper」は、女性の方が着ているのも好きなんですよ。あとは、清潔感を大事にしてます。少し前は、黄色のダウンジャケットとか派手な色の服もよく着ていたんですが、職質を受けやすいんで()。今は、シンプルな色味の服が多いです。

最近ハマっていることは?

コロナ禍で自宅にいることが多かったこともあって、部屋の模様替えにハマってました。でも、今はもうほぼやり切ってしまったので、最終的な微調整中です。リモコンにマグネットをつけて貼ったりとか()。僕の部屋は、すごく狭いんですよ。でも、その部屋が大好きなので、より快適になるように、色々と考えてやっています。

 

profile

後藤剛範/Takenori Goto

1983627日生まれ。東京都出身。オーストラ・マコンドー所属。

主演した『some day』のほか、『盆栽』『いきなり本読み!』シリーズ、『ゲルニカ』など多数の舞台に出演。ドラマにおいてはParavi「来世ではちゃんとします」、Netflix「全裸監督」シリーズのラグビー後藤役で人気を集め、2022年はテレビ東京「運命警察」に出演。映画においては2018年『犬猿』、2019年『ブルーアワーにぶっ飛ばす』『どうしようもない僕のちっぽけな世界は、』、2021年『騙し絵の牙』『辰⺒』『成れの果て』、2022年『ツーアウトフルべース』等多数の作品に出演。『辰⺒』の公開も控えている。

公式Twitter@bowbobobow

公式Instagram@takenorigoto


【作品概要】

タイトル

映画『大事なことほど小声でささやく』

原作 森沢明夫「大事なことほど小声でささやく」(幻冬舎文庫)

原作コピーライト (CAkio Morisawa/幻冬舎

監督 横尾初喜

脚本 谷碧仁

出演

後藤剛範 深水元基 遠藤久美子 田村芽実 峯岸みなみ 遠藤健慎 大橋彰 田中要次 ほか

プロデューサー 杉浦美奈子 田窪桜子

制作協力 UNITED PRODUCTIONS アイオーン avenir

企画 ゴールデンツリー アイオーン

製作 GOLDEN TREE

C)ゴールデンツリー/2022「⼤事なことほど⼩声でささやく」製作委員会

公式ホームページ

https://daijinakotohodo-movie.com/

20221021()シネマート新宿、ユーロスペースほか全国順次公開

(2022,10,27)

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Maki Shimada

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