トレンディドラマとしても大ヒットした漫画「東京ラブストーリー」(作:柴門ふみ)の世界初のミュージカルが11月~12月に池袋・東京建物 Brillia HALLほかにて上演されます。
今回の公演では、空キャスト、海キャストの2チームが交代制で、主要キャストの永尾完治、赤名リカ、三上健一、関口さとみを演じます。空キャストでは、2022年も精力的に舞台へ出演し、安定した演技力と表現力、そして華やかさを兼ね備えた夢咲ねねさんが関口さとみを演じます。
都内で開催された制作発表を終えたばかりの夢咲さんがほっとした笑顔をたくさん見せながら作品への想い、楽曲への想いをたっぷり語ってくれました。

 

ー制作発表を配信したインスタライブでも、楽曲に関するコメントもたくさん入っていました。この作品の魅力のひとつでもある作品の楽曲を初めて聞いたときの印象を教えてください。
明るい場面のときはもちろん明るい曲ですが、意外とここにこのテンションの曲を持っていくんだと感じるところもありました。本当だったら暗くなりそうなところを敢えて明るく前向きな気持ちに持っていくというのが、リカとさとみがデュエットする「私らしく」という曲です。好きな人との恋がうまくいかない2人が、傷ついているけれど前を向いて行こうという気持ちを表した曲があんなにもリズミカルな明るい曲になっていて、それがすごくお洒落で素敵だなと思いました。

 

ー会見でも、“この作品がミュージカルになるってどうなるんだろう”とお話をされていましたが、段々と進んでいく中でミュージカル作品としてのイメージは見えてきていますか?
お話をいただいてから本番はまだ先だなと思っていましたが、台本もどんどん更新されていき、演出の豊田めぐみさんからこの作品の上演のために2018年から動いていたということをお聞きして、そんな前から始動していたんだって感じました。(インタビュー当時の)台本も第4稿で、その台本で空キャストの4人で読み合わせの機会をいただきました。いつもなら目の前に初日が迫る時間のない中で準備がスタートすることが、今回は早い段階で皆さんにお会いして、本読みをすることで、皆さんと打ち解けられたなっていう気持ちもあります。そういう気持ちってこの作品にとって重要な要素ですし、空チームはこの4人が引っ張っていくのだなということが楽しみになりました。

 

ー初演ならではの作る楽しみ、苦しみという部分はどんなところでしょうか?
一からみんなで作りあげていくことは本当に大変なことだと前回出演した『スワンキング』という作品で感じました。日本初演、オリジナル国産ミュージカルということで、お稽古中も中身にいく前にまず、外枠を作っていくことにすごく時間がかかりました。それに宝塚歌劇団にいた頃から感じる初演の緊張感というのもあります。でも、自分たちからのスタート、何も描かれていないキャンバスにみんなで色付けをしていくということは初演ならではの楽しみだと思っています。

 

ー空チーム4人のキャストの皆さんの印象を教えてください。
すごいぴったり!!って思いました。玲奈ちゃんは明るく向日葵のような印象で、その中に持つ繊細さ、ナイーブな部分は、リカも持ちあわせているので、玲奈ちゃんと重なる部分があってすごく素敵な女性です。柿澤くんは感情の激しい役の作品を観ていたのですが、純朴でピュアな役柄もすごくはまっていて、いろいろな色が出せる人だと思います。廣瀬くんは、劇中で「56人の女」という曲を歌うところがあるのですが、ぴったりじゃん!!って思います!!板についてるなって思いました。

 

ー良いチームワークですね!!
誰もかぶる事のないそれぞれの色を持ったチームだなと思います。

 

ー公演に向けて楽しみにしていることは?
この作品を以前ドラマでみたときにはまってしまって、一気見をしました。そこからこのお話を頂いたので、“えっ!!あの、はまっていたドラマですか?それをミュージカルにするのですか?”と私の中のテンションが高くなりました。この作品は、ドラマでもそれぞれのキャラクターが色濃く描かれていて、題名である「東京ラブストーリー」というのがリアルだなと感じています。地方から東京に出てきて、社会に揉まれ、学びながら成長していく物語というところは、私自身が富山県という自然が多いところで生まれ育ち、そこから宝塚という華やかな世界に入り、そこでの経験が、人生経験を構築の一部となったところと似ていると思います。私自身、このストーリーと重なる部分を感じますし、お客さまもきっと同じようにどの役にもご自身を重ねることができるのではないかなと。そして、そこがすごく面白いところで、あまり作り込まずに、作品の流れに沿って感情が動いていくだろうなっていうところが楽しみです。

 

ー演じる関口さとみという女性の印象は?
自分の気持ちに正直な人だと思います。ドラマを見た時は、リカを応援していて、さとみのことは、“こういう女性いるよな”って客観的に見ていて、まさか自分がこの役を演じるとは思ってもみなかったです。お話を頂いて、原作を読むと絵と文字から入ってくる感覚で、イメージが上書きされ、さとみというキャラクターに少しずつ共感しつつ、演出の豊田めぐみさん、キャストの皆さんによって、どんな関口さとみが誕生するかなという感覚でいます。最初から自分の中で色をつけずに作って行こうと思っています。

 

ー作品により様々な表情の役を見せてくれる夢咲さんが、ひとつの役を作りあげていくときに気をつけていることは?
自分の中で疑問があるとそこがすごく薄くなってしまうので、そこが無いように自分の中でできるだけ役のイメージや、こうやって生きてきたのではという役の人生を整理して、理解するようにしています。絶対に裏切らないその役の第一理解者でいたいと思っています。

 

ー今回、綺咲愛里さんが長崎尚子役で出演されます。『ポーの一族』以来の共演になります。綺咲さんとのエピソードがあればぜひ教えてください!!
あーちゃんは本当にしっかりしていて、在団中からあんなにかわいいのに、サバサバっとしていてお手伝いもしてくれていましたが、私が抜けているところを補って助けてくれ、入ってきて早い頃に“この子はスターになるだろうな”って思っていました。トップになり、退団して、『ポーの一族』で共演することになるとは思っていませんでしたが。初日に出番がもうすぐっていうときに、舞台袖でぼっとしているあーちゃんがいて、しっかりしているから大丈夫だよなって思っていたら、いよいよそろそろというときにも来なくて、“あーちゃん”って声をかけたら、”すみません!!緊張していて!!”って話していて、その姿がとてもかわいくて思わず笑顔になってしまいました(笑顔)。今回は恋敵の役ですが、あーちゃんならしょうがないかって思います(笑顔)。

 

ー改めて、この作品の楽曲の素晴らしさ、魅力を教えてください。
台本をすべて理解したジェイソンの身体の中から湧き出るリズム、音楽。そして彼が今まで生きてきた中で、経験をして感じたことが表現されているんだと感じました。最初に聞いたときに、すごく熱い曲だと思いましたし、エネルギーを感じました。仮歌も演奏しながらジェイソンが歌ってくれていて、歌詞は無いけど感情が伝わり、それは本当に素晴らしいことです。そして、そこに佐藤万里さんの歌詞が加わり、まさに「東京ラブストーリー」の曲に仕上がっています!!リカとさとみが歌う女性二人のデュエットで、綺麗な曲を歌えることが嬉しいです。そして。「声をあげよう」という曲が鳥肌が立つくらい!!パワフルで胸に響く曲です。女性も恐れずに声を上げて行こう!!人は人だ!!という歌詞と曲がマッチしすぎるこの曲を毎日聴けることは幸せだなって思います。

 

ー最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
「東京ラブストーリー」という作品を一度は耳にしたり、目にしたりしたことがあると思います。皆さんの中に根付いている作品のイメージがありつつ、原作、今回の台本に音楽が加わり、ハイブリッドな「東京ラブストーリー」が誕生します。そのキャストの一員になれたことを本当に嬉しく思っています。曲の力は大きく、作品の中でもどのキャラクターにも寄り添えるような、共感できるような、自分を見つめ直せる作品になるのではと思います。その中で、やっぱりラブストーリーって素敵じゃないですか!!どのキャラクターも真剣に恋をしているので、その気持ちがお客さまに届いて、ときめいたり、そんな感情を思い出したり、楽しんでいただけたらと思います。そのためにもしっかりとお稽古をして、頑張ってさとみを生きたいと思います。

 


▶︎夢咲ねねさんのファッション事情◀︎
ーすごく素敵で華やかな衣裳のお気に入りポイントを教えてください。
私のことを熟知しているスタイリストさんに関口さとみのイメージで4スタイル用意していただきました。宝塚歌劇団在団中は衣裳を自分で準備することが多く、どんな衣裳が自分をより良く見せてくれるだろうと、色、シルエット、TPOも含めてしっかりと学んできた自分のインスピレーションで、この衣裳をピックアップしました。さとみというキャラクターの中に、「あざとい」という要素があると思いますが、そのあざとさを出しすぎない清楚な雰囲気に見えるものを選びました。ボウタイにしているリボンも、最初はリボン結びでしたが、ちょっとあざとすぎるかなってスタイリストさんと相談して、この結び方にしました。

ー普段のお洋服で気をつけていることは?
自分の似合う色、似合わない色はなんとなくわかっていましたが、先日宝塚時代の同期・香音有希がパーソナルカラーと骨格診断の資格を取っていたので、みてもらったら、診断はブルベ夏でした。私が似合うと思っていたカラーが、私のカラーでしたが、診断に関わらず、好きな色を着た方がいいよっていうアドバイスをもらって、すごく参考になるなと思いました。彼女とは音楽学校の頃から長く一緒に過ごしたので、触らなくても骨格わかるよって言われてました(笑)。自分ではウェーブだと思っていましたが、ストレートでした。ストレートですが、少し首が長かったり、腰の位置が高かったりとウェーブ要素もあるので、そこは臨機応変に服を選んでいこうと思います。私自身長い間自分の骨格とも向き合ってきたので、お洋服のショップに入ると、私に合うのはこれだなってすぐわかるんです。インスピレーションと経験で選んでいます。

 

ー私服を選ぶ時は、スカートやパンツとかカジュアルなデニムスタイルとか、どんな雰囲気もOKですか?
そうですね!!ただ、ちょっとその時に演じている役に寄ってしまうこともあるかも!!その危険性はありますね!!踊りが激しかったり、気性の激しい役の時は、シュッとしたパンツスタイルが多い気がします。

 

ーコロナ禍でおうち時間が増えた時にできたこと、思わずのめり込んでしまったことがあれば教えてください。
ひとつはおうち時間が長いのと、マスクを着けることで気が滅入ることもあって、そんなときになんとなく美味しいお味噌汁が飲みたいとなった時があって、お味噌に拘ってみたんです。味噌という発酵食品が私にあっているようで、お味噌汁をいただいた次の日の身体の軽さが違う気がします。ですので、具材や味噌にこだわって、いろいろ試してお味噌汁を作ってみたいとチャレンジしています。あと、もうひとつがですね・・・私が小学生のときに、高橋留美子さんのコミックに出会いまして、私のバイブルは、「うる星やつら」なんです。そのときに、愛蔵版を毎月のお小遣いから買うということが楽しみで、15巻あるので、15ヶ月本当に毎月楽しく過ごしました。そのとき買った本は、読みすぎてちぎれているのをセロハンテープでとめて、今でも保存しています。そして、このおうち時間が長くなったときに、欲しかったDVDボックスを入手したんです(笑顔)!!以前から欲しいと思っていたのですが、ふと”DVDの販売が終了したらどうしよう!?”って思い、妹には”サブスクもあるみたいだよ”って教えてもらったのですが、“手元に置きたい!!”っていう心が芽生えてしまい、購入しました。すごい枚数ありますが、映画版、スペシャル版も購入したので、BGMのように起きてから寝るまで流しておくという至福の時間を過ごしています。声優さんたちも私にとっては神なので、その時間が本当に幸せです。高橋留美子さんに一度お会いしたいってずっと願ってます!!

【profile】
夢咲ねね/Nene Yumesaki
1984年7月4日生まれ。富山県出身。
2003年宝塚歌劇団に入団。月組に配属。2008年星組に組替え。2009年柚希礼音の相手役として星組トップ娘役に就任。2015年5月に退団。退団後の主な出演作品は、『1789-バスティーユの恋人たち』『ビッグ・フィッシュ』『グレート・ギャツビー』『ラブ・ネバー・ダイ』『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』『ポーの一族』『October Sky-遠い空の向こうに-』『天使は桜に舞い降りて』『8人の女たち』。2022年11月から上演のミュージカル『東京ラブストーリー』、2023年5月にはミュージカル『ファインディング・ネバーランド』への出演が控えている。


【公演情報】
■タイトル
ミュージカル『東京ラブストーリー』
■日程・会場
東京公演:2022年11月27日(日)~12月18日(日) 東京建物 Brillia HALL
大阪公演:2022年12月23日(金)~12月25日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
愛知公演:2023年1月14日(土) 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
広島公演:2023年1月21日(土)122() JMSアステールプラザ大ホール
■原作 柴門ふみ「東京ラブストーリー」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
■音楽 ジェイソン・ハウランド
■脚本・歌詞 佐藤万里
■演出 豊田めぐみ
■出演
<空キャスト>
永尾完治:柿澤勇人/赤名リカ:笹本玲奈/三上健一:廣瀬友祐/関口さとみ:夢咲ねね
<海キャスト>
永尾完治:濱田龍臣/赤名リカ:唯月ふうか/三上健一:増子敦貴(GENIC)/関口さとみ:熊谷彩春
長崎尚子:綺咲愛里
和賀夏樹:高島礼子
永野亮比己 引間文佳
新井希望 尾関晃輔 上條駿 今野晶乃 咲良 高瀬育海 俵和也 照井裕隆 妃白ゆあ 町屋美咲 安福毅 矢吹世奈 吉崎裕哉 (五十音順)
スウィング 大村真佑 高井泉名 (五十音順)
■公式ホームページ
https://horipro-stage.jp/stage/love2022/ 
■公式Twitter
https://twitter.com/tls_2022

(2022,10,27)

photo:Hirofumi Miyata/styling:Miku Ikeda (in the pink)/interview&text:Akiko Yamashita

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