日本演劇界を代表する劇作家、清水邦夫さんの伝説的戯曲を、稲葉賀恵さんの演出で上演する舞台『狂人なおもて往生をとぐ〜昔、僕達は愛した〜』が、2025年10月11日(土)からIMM THEATERで上演されます。本作は、娼家に集まった五人の男女が一つの家族であるかのようなゲームを始めるという物語。今回は、舞台やドラマ、映画、CMなど多岐にわたり活動し、2024年には第37回高崎映画祭で最優秀主演俳優賞を受賞するなど、その活躍が目覚ましい岡本玲さんに本作への意気込みや役柄について、さらにはファッションについてなどをお伺いしました!!

 

―本作へのご出演が決まったときの心境を教えてください!!
ここ数年、翻訳劇への出演が続いていたこともあり、日本語の戯曲を求めていたタイミングだったので、大好きな稲葉さんの演出、そして清水邦夫作品と聞いて飛びつきました(笑)。

 

―最初に脚本を読まれたときは、どんなところに魅力を感じましたか?
家族の話ですが、一種の謎解きのようなミステリー要素もあって、どう展開していくのか予想できずにワクワクと読み進めることができました。最後には考えさせられるものがあり、役者としてこの作品に挑めることに幸せを感じました。

 

―今回、岡本さんが演じる役柄についてはどのような印象を持ちましたか?
飄々として自由な振る舞いをしていますが、自分の欲求に抑圧されている女性だなと感じました。物語の最後に向けていろいろな表現ができると思うので、そこで自分らしさやこれまでの生き様のようなものが出せたらなと。そうしたところも稲葉さんと共に作っていけたらと思います。

 

―オフィシャルのコメントでも稲葉さんの演出への楽しみを語っていらっしゃいましたが、稲葉さんの演出の魅力はどのようなところにあると感じていますか?
以前に一度、ご一緒させていただきましたが、その時も、そして他の作品を拝見しても、とても丁寧で繊細な印象がありますし、一つひとつの言葉に繊細に反応されて、大切に大切に作られているんだなと思います。だからこそ、清水邦夫のとげのある言葉たちを今回、稲葉さんがどう料理されるのか、一役者としてとても興味深いです。稲葉さんと(本作について)緻密に作れば作るほど、ぶち壊したくなるような欲求を感じる作品でもあるというお話をさせていただいたのですが、そうしたアンビバレントな感じもすごく楽しみです。

 

―主人公の出を演じる木村達成さんの印象を教えてください。
初めて共演させていただきますが、(木村さんが出演されていた)『セツアンの善人』を観劇させていただいて、彼が何かを発していたり、動いていると見続けたくなってしまう素敵な役者さんだなと思ったので、今回、ご一緒できて嬉しいです。私とは真逆の性格なのかなと思いますが、その中でも絶対に共通点はあるだろうと肌感覚で感じています。

 

―性格が真逆だというのは、どんなところで感じているのですか?
木村さんからは漫画の主人公のようなエネルギーを感じますが、私はどちらかというとひっそりとしたタイプです(笑)。(木村さんは)部活動でいうと運動部というイメージがあって、私は文化系。でもきっと、演劇が好きという部分で共通する何かがあると思うので楽しみです。

 

―岡本さんは文化系なんですね。
話す言葉を2回くらい頭の中で復唱してから発したいと思ってしまうほど、ビビりなんです(笑)。それから、体を動かすよりも、思考が動き続けるタイプで、分析好きです。

 

―そうすると、役作りをするときも、脚本を読み込んで役を分析するタイプ?
まずはそうするかもしれません。(脚本を)書いている人の情報や生い立ち、趣味、思考、時代背景を紐解いていくのが好きです。

 

―岡本さんは舞台だけでなく、幅広い活動をされていますが、舞台の面白さや魅力はどんなところに感じていますか?
やっぱり「生」というのはすごく大きいです。コロナ禍を経てネット配信なども広がりましたが、人が1カ所に集って今起きているものを目撃する特別感は他にはないものです。舞台は、五感を使って観ることで、記憶に強く残る芸術だと思っているので、そうしたところも魅力です。例えば、そのときの眩しさや声の圧といったものをお客さんは全身で受け止めてくださいます。一方通行ではなく、お客さんとつながる瞬間もある。そんな演劇が好きです。

 

―ほかのお仕事とは違う醍醐味があるんですね!!
全く違うと思います。実は、高校生のときに事務所の社長に「劇場でお芝居する舞台女優になりたい」と伝えたこともあるんです。今でも一番好きなのは演劇なので、若いときに夢見たものは、変わらないものなのだなと改めて思います。

 

―演劇を好きになったきっかけはあったのですか?
10代の頃に観た作品で、すごくハッピーなシーンだったのに涙が止まらなかったことがあったんです。そこで生きている人の生きている声、生きている動きがあって。命がそこに存在しているということに圧倒されたのだと思います。その作品とはまた別の作品でも、自分の体の中に溜まっていた何かが溢れ出したことがあって、そのときに「演劇ってなんて素敵なんだろう」と思って。そこからです。

 

―ありがとうございました!! 改めて公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
戯曲の持つエネルギーがとても大きな作品です。そこから逃げずに正面から向き合っていきたいと思いますので、スリルを味わいに来ていただけたらと思います。衝撃を届けられるように、誠心誠意頑張ります。


▶︎岡本玲さんのファッション事情◀︎
―今日のお衣裳のポイントは?
作品のビジュアル用の衣裳です。このお洋服で、ビジュアルも撮影させていただきました。

 

―普段はどのようなファッションがお好きですか?
年々、シンプルな洋服が好きになっていますね。自分を知るために、なるべく余計な装飾は減らすことを心がけていますが、本当は派手なものも好きなんです。学生時代は「KERA」っぽいファッションも、古着も好きでした。ただ、今は自分の状態や感覚をフラットにするために、服装もシンプルなものになっています。

 

―最近買ったお気に入りのファッションアイテムは?
フィッシングベストを買いました!! ポケットがいっぱいついているベストです。最近は、ベストをよく着ています。Tシャツにワイドスラックスのようなシンプルなコーディネートに合わせるのが好きです。

 

―お休みの日はどのように過ごしていますか?
最近、改めて料理にハマっています!! 20代は毎日、「ダイエット」と思って過ごして来ましたが、ありがたいことに最近は舞台作品が続いているので、体作りにハマっていて。体に必要な栄養素をきちんと取り入れて、過度な食事制限をしないことを心がけています。

 

―最近はどんなお料理を作ったのですか?
茶色いものばかり作ってます(笑)。煮物とか。それから、和歌山出身なのですが、高野豆腐が有名で、私も好きでよく食べています。常にストックがあるくらい、摂取量は人より多いと思います。

 

―疲れが溜まったときの癒し法やストレス解消法は?
そういうときほど、めちゃくちゃポジティブなことを口に出して、大きな声で話すようにしています。今日はこういうことがあってうれしかったとか、こういう素敵な人に会ったと声に出して、嫌なことを忘れていくんです。良いことだけを考えることを習慣づけるようにしています。

 

―岡本さんが素敵でい続けるためにために意識していることはありますか?
探求心を常にビンビンにしておくことかなと思います。知りたいという欲求を持ち続けること、その欲望をおろそかにしないこと。自分とは真逆の人の考えを知ることで、自分の生活や心が豊かになると思うので、世界を知り、相手を知っていくということは大事にしたいと思っています。

 

【profile】
岡本玲/Rei Okamoto
1991年6月18日生まれ。和歌山県出身。
第 7 回ニコラモデルオーディションにてグランプリを獲得しデビュー。以後ドラマや映画、CM、舞台と多方面で活動してお り、2024 年には第 37 回高崎映画祭で最優秀主演俳優賞を受賞。近年の主な出演作に、【舞台】『みんな鳥になって】(25年/上村聡史演出)、ダブルビル『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』(25 年/桐山知也演出)、『ブレイキング・ザ・コード』(23 年/稲葉賀恵演出)、【ドラマ】 『その結婚、正気ですか?』(23 年/MX)、【映画】『茶飲友達』(23 年)など。舞台『みんな鳥になって』(上村聡史演出) へ 出演。また、主演映画『ひとりたび』の公開も控える。
■公式ホームページ
https://okamotorei.fanpla.jp/
■公式Instagram
https://www.instagram.com/rei_okamoto/


【公演概要】
■タイトル
舞台『狂人なおもて往生をとぐ〜昔、僕達は愛した〜』
■日程・会場
2025年10月11日(土)〜10月18日(土) IMM THEATER
■作 清水邦夫
■演出 稲葉賀恵
■出演
木村達成 岡本玲 酒井大成 橘花梨 伊勢志摩 堀部圭亮

(2025,09,25)

photo:Hirofumi Miyata/styling:Kyoko Fujitani/hair & make up:Yurie Taniguchi/interview&text:Maki Shimada

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下記のリンクのインスタグラムにインタビュー撮影時のアザーカットを公開致します!!

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