2018年に読売文学賞を受賞し、世界中で翻訳された平野啓一郎の長編小説『ある男』が世界初演を迎えます。

NorieMでは、「この男は一体、何者なのかー」 死んだ男の正体を追う中で、重要な役割となる後藤美涼を演じる濱田めぐみさんへインタビューを敢行!作品、役へ込めた想い、そして撮影当日の衣装についてもお話をお聞きしました。

 

ー作品へご出演が決まったときの気持ちを教えてください。
難しいこの作品がどうミュージカルになっていくんだろう?私たち俳優はプレイヤーですので、基本的には出来上がったものをパフォーマンスしていきますが、そこまで持っていくスタッフの皆さんはとても大変で苦労する作品になるだろうと感じました。

 

ー初演作品への出演が多い濱田さんにとって新しく作品を作っていく大変さを教えてください。
オリジナル作品でいつも感じるのは、想像通りには行かないなということです。制作サイドもそうですし、演出家の頭の中のこうなる、こうして欲しいというイメージやビジョンが、実際に本読みをした時にイメージ通りに行かないことがたくさん出てきます。イメージの世界の中では、瞬間移動もできますし、移動する時間はわずかだったりしますが、いざ立ち稽古をしてみると、シーンが変わった時にイメージしていた場所に移動できなかったり、移動にすごく時間がかかったり、予期していなかったことがたくさん起こります。それをうまく調整して形にしていくという作業が毎日細かく細かく続いていきます。細かい微調整にものすごく時間を要しますし、その微調整に行くまでに、大元の流れを全員が共通認識で持つという作業もあり、その作業が一番大変ですね。

 

ー(インタビュー時は)お稽古を始めて2週間ぐらいとお聞きしました。先ほどお話しされていた想像していたイメージとのズレやギャップはありますか?
たくさんありました。私が演じる後藤美涼という役はいろいろな意味で難しいなと感じていて、今も模索しながらお稽古に臨んでいます。

 

ー後藤美涼という役をどう作っていってらっしゃるのでしょうか?
この物語の最初に傷を負ったのは美涼だと思っています。相方がいなくなって、そこから物語がどんどん発展していきます。結果的にこの物語の中に埋没するというよりかは少し俯観的な捉え方ができる唯一の存在が美涼であるというところを手掛かりに、あまり感情的に入り込み過ぎず、敢えて表現はしませんが、お客さまと近い視点で物語の道筋を捉えることができる当事者だと思います。そういったところを踏まえて、年齢的にも若くなく、独身を貫き、仕事をしている美涼をうまい具合のバランスで作りたいと思っています。

 

ー新作ということで楽曲も気になります!濱田さんが歌われる曲はどんな雰囲気ですか?
面白いですよ。バラードとか、ストーリーの心を朗々と歌うというよりは、私は作品の中のポジション的に、ポジティブにどんどんストーリーを回していく時に出てくる感じがあるので、いろんな種類の楽曲があり、孤軍奮闘しながらも、みんなでいろいろ模索しながら取り掛かっています。割とポジティブなメッセージを発する曲が多いですね。すごく焦っているような曲、アップテンポで元気になる曲、自分の新たな人生に旅立っていく曲という3曲ありますが、それぞれ三曲三様という感じです。やはりジェイソン・ハウランドの曲は素晴らしいと感じます。さすがブロードウェイで活躍されているだけあって素晴らしいメロディを作ってくれるので、楽しみにしていてください。

 

ーこの後は『デスノート THE MUSICAL』、ミュージカル『メリー・ポピンズ』への出演が控えていますが、それぞれ濱田さんが初演に参加した作品ですね!
そうですね!大きな作品が続くなと思っています。『メリー・ポピンズ』はフィジカル的にすごく大変ですので、 フィーリングというよりも、タップや動きを今から少しずつ思い出して、夏バテをしないように体調を整えていきたいですね。『デスノート THE MUSICAL』は、今回死神デュークを浦井健治くんが演じます。二人とも初演からこの作品に関わっているので、稽古場でどうやっていく?とコンビとして相談しながら作っていきたいと思っています。あとは芝居をしていく中で役がどう自然と深まっていくのかを楽しみにしています。

 

ーどちらも本当に楽しみな作品ですね!期待して楽しみに待ってます。
はい、頑張ります(笑顔)!

 

ー『ある男』では共演経験のある方がたくさんいらっしゃいますね!お稽古場の雰囲気はどんな感じですか?
大学のキャンパスみたいに、必要な人が来て必要なことをやって帰るという感じです。みんなキャリアもあるし、仲良しというよりは家族に近いと思います。今は作り上げてる段階ですので、忌憚なく意見を言い合える非常に大人な現場です。アンサンブルの皆さんもキャリアも実力もある人ばかりなので、自分のことを自分のペースでどんどんやっていけるお稽古場です。風通しも良くてさっぱりしていて、とてもいい雰囲気ですよ。

 

ー最後にこの作品を通して濱田さんが届けたいメッセージをお願いします。
この美涼という役をどうして自分が演じることになったのかずっと不思議に思っていましたが、探り探り作っていく中で、ひとつだけ分かったことがあります!それは「三勝四敗」という曲を歌うために私は美涼をやっているということです。普通は四勝三敗という表現が来ると思うのですが、美涼の生き方のモットーは三勝四敗なんです。勝つか負けるかどうでもいい。自分の人生は自分で決める。 今が大事。一歩一歩進んでいく。幸せは自分が決める。という曲なんです。戸籍を交換したって、環境を変えたって、自分の生き方や自分の信念、自分の価値観を自分が変えなければ同じ状況が来るんです。かわいそうな人生だったけれども、最後はやっぱり幸せな状況になり、それを勝ち取ったのがある男“X”だと思います。やはり人生は、自分で変えられると信じて生きていく以外にないと思うんです。人生も身体もひとつしかありません。だからこそ、この「三勝四敗」という曲を皆さんに届けたいと思っています。歌詞もすごくシンプルで分かりやすく、すっと入ってくると思いますので、ぜひ劇場で受け取ってください。


▶︎濱田めぐみさんのファッション事情◀︎
ー撮影のお衣装はとても素敵でした!この衣装に決めたのはどんなところが良かったからですか?
いろいろなドレスがある中でこの服面白いかな?と思って直感で選びました。最初はワンピースぽい感じの服がいいなと思っていて、実際に着てみたら袖がフレアで面白い形。でも色は黒でシック。シンプルでいいなと思いました。

 

ー濱田さんの歌、声は本当に唯一無二だと感動しながら拝見しています。歌い続けるためにしてることはどんなことですか?
本当に何にもしていないんですよ。お稽古場に来ても発声とかはせずに、そのまま歌います。歌っていると喉の筋肉や声帯の周りが整ってきて、自然とその演目の声になるんです。次の演目のお稽古に行くと、前半戦はその前の作品の声の状況なんですが、自然と次の役の形になっていきます。何か特別なことしたかな?加湿器とかも使うと確かに楽だなと思いますが、面倒で使わないですし、本当に何もしていなくて、飴ちゃんを摂るぐらいかな。

 

ー年齢を重ねることで感じる声や喉の変化というのはあるのでしょうか?
声自体はそんなに変わらないですけど、疲れやすくはなっているかな?でもそうでもないのかな?あんまり感じたことはないですが、細くて高いコロラトゥーラみたいな声は出ないですね。ミュージカル『スクールオブロック』で「夜の女王のアリア」の歌唱のときは頑張りましたが、そういう突飛な声を出す機会はあまりないので、支障はないですね!

 

【profile】
濱田めぐみ/Megumi Hamada
8月2日生まれ。福岡県出身。
1995年12月劇団四季オーディションに合格。抜1996年2月『美女と野獣』ヒロイン・ベル役に大抜擢され劇団四季デビュー。 その
後劇団四季の初演『ライオンキング』、初演『アイーダ』、初演『ウィキッド』の三作品でヒロインを演じる。劇団四季では看板女優として2010年12月退団まで15年間活躍。 退団後、数多くのミュージカル作品へ出演。第40回菊田一夫演劇賞、第66回芸術選奨演劇部門文部科学大臣賞、第24回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。近年の主な出演作は、ミュージカル『イリュージョニスト』『ビリー・エリオット』『カムフロムアウェイ』『ファインディング・ネバーランド』『バンズ・ヴィジット』『オリバー』『アリージャンス』『レ・ミゼラブル』『メリー・ポピンズ』など。
▪️公式ホームページ
https://www.horipro.co.jp/hamadamegumi/
▪️公式Instagram
https://www.instagram.com/megumi_hamada/

photo:Hirofumi Miyata/styling:Eriko Iida/hair & make up:Yuko Takahara/interview&text:Akiko Yamashita

Tops&Skirt/disembysiik,Pierce/MASANA,Bangle/apsis,Ring/NOMG


【STORY】
「私はいったい誰を愛したんでしょう…」
「仮に、彼を“X”と呼ぶことにします」
弁護士の城戸章良は、かつての依頼者である谷口里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失い、夫と別れた過去があった。長男を引き取り故郷に戻ったあと、故郷で出会った谷口大祐と再婚し、二人の間に新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。そんな幸せな日々が続いていたある日、大祐は不慮の事故で命を落とす。
愛した夫を亡くし悲しみに打ちひしがれていた里枝だったが、夫の死後、長年疎遠だった大祐の兄から衝撃の事実を突き付けられる。
それは、愛していた夫「大祐」が全くの別人だということ。
名前も戸籍も全てが偽りだった。
なぜそんな嘘をついたのか。共に過ごした時間、過去、全てが嘘だったのか。
人はなぜ人を愛するのか。愛にとって過去とは何なのか。
「X」の人生を辿るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿、その姿と共に、自分の存在と意義を問い、この世界の真実に触れることになる。

 

【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ある男』
■日程・会場
東京公演:2025年8月4日(月)~8月17日(日) 東京建物 Brillia HALL
広島公演:2025年8月23日(土)~8月24日(日) 広島文化学園HBGホール
愛知公演:2025年8月30日(土)~8月31日(日) 東海市芸術劇場 大ホール
福岡公演:2025年9月6日(土)~9月7日(日) 福岡市民ホール 大ホール
大阪公演:2025年9月12日(金)~9月15日(月・祝) SkyシアターMBS
■出演
浦井健治 小池徹平/濱田めぐみ ソニン
上原理生 上川一哉 ・ 知念里奈/鹿賀丈史
碓井菜央 宮河愛一郎 青山瑠里 上條駿 工藤広夢 小島亜莉沙 咲良 俵和也 増山航平 安福毅   植山愛結* 大村真佑* *スウィング
■公式ホームページ
https://horipro-stage.jp/stage/aman2025/

(2025,07,28)

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下記のリンクのインスタグラムにインタビュー撮影時のアザーカットを公開致します!!

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