10月に4年ぶり、18度目の日本公演を開催するモーリス・ベジャール・バレエ団の芸術監督ジル・ロマンさんが8月23日に記者会見で、公演への意気込みを語ってくれました。
ジル・ロマンさんは、公演に先駆けて第16回世界バレエフェスティバル出演のために来日、会見後夜のフライトで帰国される直前の記者会見。冒頭に、「このような困難な状況の中、バレエフェスティバルを通して、お客さまと素晴らしい喜びと幸せなひと時を分かち合うことが出来ました」と第16回世界バレエフェスティバル開催への感謝のコメントを寄せました。
「今回の日本公演は、2回ほど延期された中で、今回こそは実現したいと祈るばかり。開催に向けて準備を進めます」と語り、一つ目の作品「人はいつでも夢想する」はジルさんが手がける新作で、「バレエは観ている人がそれぞれに感じるものですので、作品を言葉で説明するのは難しいのですが、私の好きなジョン・ゾーンさんが作曲を手がけていて、彼は本当に多様なジャンルの曲を作っていますが、わたしが何年も前から好きだった彼の音楽を使用しています。彼の曲を使用したいとニューヨークにいる彼を訪ね、信頼関係を築き、2年をかけてこの作品を完成させました。バレエは旅であり、出会いであると考えています。この作品で巨匠であるジョン・ゾーンさんの音楽を使い、ダンサーのためにこの作品を作ってきましたが、音楽とダンサーとの出会いで主題は生まれ、そこから作品が浮かびあがっていきます。作品のテーマはご覧いただく中で、感じていただけると思いますが、もともとは存在せず、今日の人生にインスピレーションを受けて作品を作っていきました」と完成までの道のりを話してくれました。
また、同公演で上演される「ブレルとバルバラ」についてジルさんは、「モーリス・ベジャールはバルバラと長年の友人であり、この作品を踊ることは我々のカンパニーにとってとても大切なことです。踊るたびに心に感動や感じるものがありますし、それが皆さんにも伝わればと思っています。以前ガラで披露されましたが、今回は全編上演できる初めての機会となります」と幼い頃からジルさん自身が親しんできたブレルとバルバラへの思いを語り、「ボレロ」については、「あえて説明する必要がないくらいに皆さんご存知のことと思います。今の段階では、誰がテーブルにのぼるかは決まっていません。それは10月を楽しみにしてください」と期待を煽ります。
ツアーの後半で上演される「バレエ・フォー・ライフ」は、「この困難なときだからこそ、力強く歌いかけるものがあると思います」と語り、「テーマとしては重いものがありますが、とても大きなエネルギーを放っている作品で、それは人生に対する戦いであったりもします。今日のこの困難な状況下の中で作品の持つ意味がまた大きくなり、上演できることを嬉しく思っています」と喜びを語ってくれた後に、「衣裳は、モーリス・ベジャールの近しい友人であるヴェルサーチェがデザインしたものです。モーリスは、ヴェルサーチェに白と黒の衣裳をとオーダーしましたが、出来あがってきたものは、クイーンやフレディ・マーキュリーにインスピレーションを受け、エスプリに富んだものが完成しました」ととても興味深いエピソードを披露してくれました。「カンパニーのみんなが日本で踊れることを楽しみにしています」と笑顔を見せるジルさん。
前半のスケジュールのラインナップは、興味深い作品ばかり、そして、後半のスケジュールは気になる衣裳のエピソードとどちらのプログラムも期待が高まり、見逃せません!!
【モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)は・・・】
天才振付家モーリス・ベジャールにより1960 年に創設 (1986 年までの名称は「20 世紀バレエ団」)。ベジャールの旺盛な好奇心と膨大な知識をもとに、演劇・映画・文学・思想・宗教など異分野の要素や手法も取り入れ創作されたその舞台は、最先端の総 合芸術として世界中の人々を魅了してきました。日本には 1967 年に初来日し、瞬く間に感性の鋭い人々の注目を集めてブームを巻き起こしました。
2007 年、ベジャールが惜しまれて没した後は、長年ベジャール・ダンサーとして活躍したジル・ ロマンが師の志を継いで芸術監督に就任。ベジャールの作品をカンパニーが踊り継ぐとともに、ジル・ロマン自身も現代人や社会の関係性の核心に触れる新たな創作を発表しています。
今回の日本公演では、ベジャールの金字塔といえる傑作「ボレロ」と芸術監督ジル・ロマンの最新作「人はいつでも夢想する」他を上演するミックス・プロと、2018 年の映画「ボヘミアン・ラプソ ディ」のメガヒットも記憶に新しい世界的ロック・バンド、クイーンの音楽を使って創作され、各地で絶賛を浴びてきた「バレエ・フォー・ライフ」の2つが上演されます。
BBL日本公演は、昨年「バレエ・フォー・ライフ」が予約満席になるなど待望されながらもコロナ禍により2度にわたって延期を余儀なくされました。上演が実現する10月、ぜひお見逃しなく!!
【公演概要】
◾️タイトル
モーリス・ベジャール・バレエ団2021年日本公演
◾️日程
ボレロ/人はいつでも夢想する ほか
2021年10月9日(土)〜10月11日(月)【上演時間:約 2 時間 10 分(休憩含む)】
バレエ・フォー・ライフ
2021年10月14日(木)〜10月17日(日)【上演時間:約 1 時間 45 分(休憩なし)】
※開演時間に遅れるとご自分の席に着席いただけませんので、時間に余裕をもってお越しください。
※音楽は特別録音による音源を使用。
◾️会場 東京文化会館 (上野)
◾️入場料
S=17,000円 A=15,000円 B=13,000円 C=10,000円 D=8,000円 E=6,000円(すべて税込)
◾️主催 公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社
◾️後援 在日スイス大使館
◾️公式ホームページ
https://www.nbs.or.jp/stages/2021/bejart/index.html
(2021,08,25)
photo:Yuji Namba(オフィシャル提供)/text:Akiko Yamashita
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