『恭しき娼婦』プレスコール及び取材会が2022年6月3日(金)に、紀伊國屋ホールで行われ、奈緒さんと風間俊介さんが登壇しました!!

 

本作は、20世紀を代表する哲学者ジャン=ポール・サルトルが、非常な世界における人間の“権利”、“尊厳”、そして“自由”に正面から取り組んだ傑作戯曲。物語を大きく動かす重要な決断を迫られる娼婦のリズィーを奈緒さんが、街の権力者の息子でリズィーに虚偽の証言を迫る白人のフレッドを風間さんが演じます。また、演出は栗山民也さんが務めます。

 

これまでTVドラマでは共演経験のあった、奈緒さんと風間さんですが、舞台では今作が初。奈緒さんは「ドラマの時は同じシーンはなかったのですが、打ちあげでお話をさせていただいて、いつか同じシーンでと思っていました。こうして二人でのお芝居場が多い作品の中で濃厚な時間を過ごさせていただいて信頼しかありません」と風間さんとの共演を喜びました。

 

一方、風間さんも「僕も信頼以外の何ものでもない」とにっこり。そして、「奈緒ちゃんは柔らかくて素敵な笑顔という印象が強いんですが、リズィーには今までの奈緒ちゃん像が微塵もなくて、むき出しの感情のリズィーがいることに惚れ惚れします。僕も、役として対峙する時間をしっかり作らないと、という背筋が伸びる思いです」と話しました。

 

今回、演じるリズィーは奈緒さんにとってかなり挑戦となる役どころ。奈緒さんは「色々なことに毎シーンごとに挑戦しています。お芝居で使ったことがない声を使ったりしながら演じているので、日々新鮮です」と稽古を振り返ります。役作りのために髪もバッサリ切りました。「学生ぶりに短く切らせていただき、稽古中から“前髪はどうするのか、長さはどうするのか”と栗山さんとメイクさんと試行錯誤しながら調整していました。本番が始まってからも変わっていくことがあると思うので、髪の毛でもその時のリズィーの状況が届くかなと思います。そこも楽しみにしていただけると」と、奈緒さんは笑顔で語りました。

 

風間さんが演じるフレッドも人間の後ろ暗い部分が出た難しい役柄です。風間さんは「人間は、その場や、(相対する)人や状況で顔が変わってくるものだと思います。僕自身もそうですし、この役もそう。悪い顔も、ピュアな顔も混在してて当たり前で、人間は多面的で時々で変わるということを教えてもらいました」と自身の役柄についての思いを述べました。

 

また、物語にちなんで「選択を迫られても、譲れないものは?」と問われると、奈緒さんは「自分が自分として生きていけるかということは、選択をする時に大切にしています。今後、誰かのせいにしてしまわないかというのは自問自答しています。このお仕事を始めた時も、母は反対していましたが、私はきっとこの道を選択しなかった時に、挫けたら、誰かのせいにしてしまうと思って、この仕事を選びました。小さなことでも人の責任にせず、自分の責任で選択できるかというのは大事にしながら生きています」と語りました。

そして、風間さんは「(譲れないものは)きっとあると思いますが、あまりそれを核にしないで生きています。僕は常にぶれていたいという気持ちがあって、その都度、言うことが変わってもいいんじゃないかと思っています。きっと核にはギュッとした固いものがあると思いますが、その周りを柔らかいもので包められればと思います」とコメントしました。

最後に、改めて風間さんは「皆さんの心に残る作品となる準備は整っています。あとは我々キャストが、客席に座ってくださったお客さまにどれだけのことが伝えられるかということだけだと思います。必死にやっていきたいと思います」と意気込み、奈緒さんも「 私がお客さんとして観に行く時は、五感を使って何かを掴んで帰ろうと思って席に座るので、そういう思いで来てくださる皆さんに恥じないように、全身全霊でお届けしたいと思います。必ずそういう舞台にしますので、ぜひお越しください」と呼びかけました。

 

なお、この日、演出の栗山さんからのコメントも到着しました。

◆栗山さんコメント

とても開かれた、刺激的な稽古場でした。本当にあのサルトルが残した台本なのかと疑いたくなるほど、人間の感情を残酷に解剖していくダイアローグが綴られ、それを語る俳優たちのぐんぐんと裸になっていくむき出しのキャラクターが、面白く自由でした。

このコロナとロシアという信じられない暴挙の中、こんなことが起こるのか、これを許してしまっていいのかといった究極的な問いを何度も繰り返しながら、いつもよりグッと近い距離からドラマを見つめていました。ちょっとでも目をそらすと、とても大事なものを見失ってしまいそうな、そんな気がしていたからでしょう。人間について、この世界についての物語を、一人でも多くの人に人間の声で届けることができると、信じていたいのです。

 

【あらすじ】

舞台はアメリカ南部。冤罪を被せられて逃走する黒人青年をかくまう娼婦リズィー。だが、その街の権力者の息子であるフレッドはリズィーに虚偽の証言をさせようと、その黒人青年と由緒ある家系の

白人の男どちらを救うか選べと迫る。街全体で黒人が犯人と決めつける状況の中で、リズィーが下した決断は…。

 

【公演概要】

■タイトル

『恭しき娼婦』

■日程・会場

東京公演:2022年6月4日(土)〜6月19日(日) 紀伊國屋ホール

兵庫公演:2022年6月25日(土)・26日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

愛知公演:2022年6月30日(木) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール

■作 ジャン=ポール・サルトル

■翻訳 岩切正一郎

■演出 栗山民也

■出演

奈緒 風間俊介 野坂弘 椎名一浩 小谷俊輔 金子由之

■公式ホームページ

https://www.tbs.co.jp/

(2022,06,05)

photo&text:Maki Shimada

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