音楽劇『エノケン』製作発表記者会見が2025年7月29日(火)に東京キネマ倶楽部で行われ、市村正親さん、松雪泰子さん、本田響矢さん、豊原功補さん、脚本を手掛ける又吉直樹さん、演出のシライケイタさんが登壇しました!!
本作は、昭和の日本を笑いで照らし続け、“エノケン”の愛称で親しまれた榎本健一さんの波乱の人生を又吉さんが新作戯曲として書き下ろす新作舞台です。彼は、東京・浅草の小さなレビュー劇団「カジノ・フォーリー」の舞台に登場し、一躍注目されると、わずか数年のうちに、座員150名、オーケストラ25名を擁する日本一大きな劇団「ピエル・ブリヤント(エノケン一座)」の座長となりました。その後、数々の喜劇映画がヒット、日本劇場、東京宝塚劇場、芸術座などの名だたる劇場で喝采を浴び、日本における喜劇俳優の第一人者となりました。本作では、そんな彼の波乱の人生を市村さんが演じます。
又吉さんは「僕は1980年生まれなので、榎本健一という人のことは伝説として知っているくらいでしたが、この脚本を執筆するにあたって資料や映像を観ているうちに彼の生き様、芸人としての姿にどんどん魅了されていきました」と本作への思いを語りました。本作はコメディではなく人間ドラマとして描いたそうで、「舞台上にいたエノケンさんは常に笑いを貪欲に作ろうとされていますが、それも一生懸命に生きているからこその笑いがあると思います。なので本作は、面白い部分もあるとは思いますが、一番は人間ドラマ。うまく回っていかないこともあるし、時代に翻弄されるときもあるけど、みんなが一生懸命に生きている。そんな作品になっていると思います」と説明しました。
演出のシライさんは「演劇界の大先輩方と新しい才能とご一緒できることにワクワクしかありません。そして、又吉さんが本当に素晴らしく面白い脚本を書いてくださいました」と本作に期待を寄せました。そして、「又吉さんが劇中でエノケンさんに語らせるセリフで、『自分は賢い人がしつらえるような作品は作りたくない。誰もが笑える人間の血の通った作品を作りたいんだ。客を緊張させてもしょうがない。自分が馬鹿をやらなければ始まらない。全部ひっくるめた人間の営みを表現したいんだ』という言葉があります。これがこの作品のテーマだと思っていますし、みんなで力を合わせてそういう作品を作りたい、現代の世の中に蘇らせたいと思っております」と思いを述べました。
エノケンを演じる市村さんは「エノケンを演じるとどうなるのか、これは又吉さんの台本次第かなと思って楽しみにしておりました。できた台本を自分の部屋に閉じこもって読んだのですが、感動しました。あとは僕たちが素晴らしいものにして皆さんにお見せしたいです」と挨拶。
市村さんはエノケンの魅力を「喜劇王と言われているエノケンですが、僕は役者として非常に魅力があり尊敬するところがあると思っています」と語り、「僕も舞台に立ち続けてきました。お客さまの前でいい芝居を見せる、いい人生を見せるということは、エノケンさんと同じ気持ちだったとおもます。これはエノケンの話なのか、自分の舞台人生の話なのか分からないというくらい、市村という役者がエノケンの中に入り込んで生きられたら」と意気込みました。
また、エノケンの前妻の花島喜世子と後妻の榎本よしゑという二役を演じる松雪さんは、「オファーを受けて飛び上がって喜びました。又吉さんの台本もワクワクして待って読ませていただきました。時間軸がシームレスに展開していく構造が素敵です。その中で我々がどれだけエネルギーを注げるかだと思います。しっかり努めさせていただきたいと思っています」とコメントを寄せました。
エノケンの息子・鍈一と劇団員の田島太一の二役を演じる本田さんは、「二役をやらせていただくことで、父としてのエノケンさんと大先輩のエノケンさんという2つの視点から見ることができるのがうれしいです。シライさんと又吉さん、そして大先輩方とお芝居ができるので、こんなにも幸せなことはないと思っています。スポンジになった気持ちで吸収して学びたいと思っております」と力を込めました。
2025年はドラマなど大活躍だった本田さん。この1年を「環境もすごく変わりましたし、2025年の半分は僕は昭和に生きています。ほぼ令和がない年になるんだろうなと感じていて、昭和にご縁があるのかなと」と振り返り、「街でお声がけをしていただくこともありますが、友人のお母さんからサインをしてと頼まれるようになりました。友達のお母さんからサインを求められる日がくるなんてって新鮮な気持ちでした」と笑顔で語りました。
そして、エノケンが座長を務める劇団の座付き作家・菊谷榮を演じる豊原さんは「菊谷は、座付き作家になった後、戦地へ向かいます。今年は日本は戦後80年になりますが、戦争の中にある時代と喜劇を描くということの狭間にいる人間をどう演じようと考えているところです。責任重大だなと思っております」と話しました。
最後に、市村さんは「音楽劇になりますが、エノケンが歌った歌もありますし、オリジナルの曲もあります。素晴らしい作品を皆さまにお届けしたいと思っております」とメッセージを送り、会見を締めくくりました。
なお、この日の会見では、市村さんが、エノケンが歌ったことで知られる「私の青空」を作曲・音楽監督の和田俊輔さん演奏のスペシャルバージョンで披露されました。
【公演概要】
■タイトル
音楽劇『エノケン』
■日程・会場
東京公演:2025年10月7日(火)~10月26日(日) 日比谷シアタークリエ
大阪公演:2025年11月1日(土)~11月9日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
佐賀公演:2025年11月15日(土)~11月16日(日) 鳥栖市民文化会館大ホール
愛知公演:2025年11月22日(土)~11月24日(月祝) 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
川越公演:2025年11月28日(金)~11月30日(日) ウェスタ川越大ホール
■作 又吉直樹
■演出 シライケイタ
■作曲・音楽監督 和田俊輔
■出演
市村正親 松雪泰子 本田響矢 小松利昌 斉藤淳 三上市朗 豊原功補
(2025,07,30)
photo&text:Maki Shimada
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