ミュージカル『ラ・マンチャの男』製作発表記念会見が2021年12月16日(木)に行われ、松本白鸚さんと松たか子さんが登壇しました!!

ミゲール・デ・セルバンテスの「ドン・キホーテ」を原作に、デール・ワッサーマンの脚本、ミッチ・リーの音楽による本作は、作者セルバンテスが、劇中劇として田舎の郷士アロンソ・キハーナと、キハーナが創り出した人物ドン・キホーテを演ずるという、三重構造の物語。

1969年の日本初演以来、白鸚さんが“見果てぬ夢”を追い続けて、1307回も上演されてきましたが、今回の公演が白鸚さん主演でのファイナル公演となります。

セルバンテスとドン・キホーテを演じる白鸚さんは、「初演の時は26歳でございました。もう50年以上になります。本当に感無量でございます。初日から千秋楽まで皆さん方にご迷惑をかけないよう無事に千穐楽を迎えたいと思います。自分は人間として、俳優として幸せ者でございます」と挨拶。実に半世紀以上にわたって本作に主演してきた白鸚さんですが、「この作品のテーマは『男は、負けると分かっている戦いでも時には戦わなければいけない』ということです。それが自分の生き方と一緒になっているように感じられることがあります」と本作への思いを吐露しました。

 

ドン・キホーテが想い姫と慕うアルドンザ役で久しぶりに親子舞台共演を果たす松さんは「いただいたチャンスをなんとか使い果たして、この公演に臨みたいという思いで出させていただくことになりました。全部を捧げて、自分のベストを尽くしたいと思っております」と意気込みました。

松さんにとって、本作は自身が生まれた時から父・白鸚さんが演じていたという非常に縁の深い作品です。松さんは「小さい時はとにかく怖い(印象でした)。髭もじゃの人ばかりで、楽屋に行っても怖い人しかいない(笑)。その髭もじゃの荒くれ男たちが楽屋にいるとニコニコ笑いかけてくれるんですが、それもまた怖い(笑)」と幼い頃の思い出を明かしました。そして、「人の心が動いているさまを見ているという感動がある(作品)。なんでそういうふうに至ったんだろうと不思議で、なぜか惹きつけられる舞台でした。ミュージカルで描くものを自由に取っ払って、いろいろなものを見せてくれた舞台でもありました。必要なものしかなく、必要な人しかいない中でお話が進んでいく感じとか、こういう表現があるということをたくさん教えてもらった作品です」と本作の魅力に言及しました。

さらに、父・白鸚さんについて「私のようなまだまだな人間からすると、同じ役をやり続けることは恐怖でしかないので、(それを続けてきた白鸚さんを)素直に尊敬します。ですが、それは勇気と言うことだけではないんだと思います。舞台があって、観る方がいるからやるというすごくシンプルなことを父を通して見てきました。すごいと思います」と思いを述べました。

 

また、1300回を超える公演の中で、特に印象深い出来事を聞かれた白鸚さんは「いっぱいございますが、このミュージカルのテーマの『見果てぬ夢』という歌は、私をミュージカル俳優として見出してくださった菊田一夫先生、そして父へのレクイエムのために歌っておりました。ある時、ドン・キホーテになって死んでいくシーンで、暗い客席からスペイン語で『死なないで』という意味の言葉が聞こえてきたんです。それが聞こえた時はドキッとしました。日本での公演でしたから、どうしてその言葉が聞こえたのかはわかりません」と話し、「今回、レクイエムを捧げる相手が一人増えてしまいました」と11月28日に逝去された弟である中村吉右衛門さんに思いを馳せました。さらに、吉右衛門さんについて「別れというのはいつでも悲しいものです。たった一人の弟でしたから。でも、いつまでも悲しみに浸っていてはいけないと思います。それを乗り越えて、跳ね返して、『見果てぬ夢』を歌いたいと思います」と悲痛な思いを語りました。

今回が白鸚さんにとってファイナル公演。白鸚さんは「無事に終えたら“もぬけの殻”でしょうね」と苦笑いを浮かべましたが、改めて「今日の会見は私にとっては夢でございました。たかが芝居、されど芝居だと思います。よろしくお願いいたします」と本作をアピールし、会見を締めくくりました。

【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ラ・マンチャの男』
■日程・会場
2022年2月6日(日)~2月28日(月) 東京・日生劇場
■演出 松本白鸚
■脚本 デール・ワッサーマン
■作詞 ジョオ・ダリオン
■音楽 ミッチ・リー
■出演
松本白鸚 松たか子
駒田一 実咲凜音 石鍋多加史 荒井洸子 祖父江進 大塚雅夫 白木美貴子 吉原光夫 上條恒彦 ほか
■チケット料金
S席14500円 A席9000円 B席4500円(消費税込)
■問い合わせ
東宝テレザーブ(03-3201-7777-)
■公式ホームページ

https://www.tohostage.com/lamancha/intro.html

(2021,12,17)

photo&text:Maki Shimada

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