宝塚歌劇団花組トップスターとして不動の人気を誇り、現在は女優として幅広く活躍する明日海りおさん。2003年に宝塚歌劇団入団から20年を迎える今年、東京と大阪で記念コンサートが開催されます。20th Anniversary Rio Asumi sings dramas『ヴォイス・イン・ブルー』と題したコンサートの内容や開催への思いなど、たっぷり語っていただきました!!

 

―9月15日から開催される20周年を記念した今回のコンサートは、どんな内容になるのでしょうか?

一昨年のコンサートでは、ポップスを中心に歌わせていただいたのですが、今回はこれまで私が出演したミュージカルの楽曲や宝塚時代の歌、それから私が出演していないミュージカルの憧れの曲にも挑戦させていただきます。最近は踊る機会がめっきり減ってしまってもいたので、ダンスも入れ込んで、充実した内容になればと思っております。日替わりでゲストの方をお迎えし、ゲストの皆さんともデュエットを歌い、トークをさせていただきますので、本当に盛りだくさんな内容になると思います。

 

―今、お話にもありましたが、豪華なゲストの方たちの出演が発表されていますね。9月19日には、蘭乃はなさん、花乃まりあさん、仙名彩世さん、華優希さんという宝塚OGメンバーが揃う日もあります。

それぞれ宝塚時代にコンビを組んでいた4人が、全員出演してくれることになりました。普段から彼女たちが「みんなで集まったらきっと面白いね」と言ってくれていたのですが、まさかこの機会に実現できるとは思ってもいなかったので、本当に楽しみです。皆さんそれぞれにお仕事をされていて、なかなかゆっくり会う機会がなかったので、久しぶりに会えるということも嬉しいですし、コンビ時代に応援してくださった方に一緒にステージに立つ姿を見ていただけるのも楽しみです。

 

―そのほかにも、井上さん、浦井さんを始め、共演経験があり、縁が深い方が揃いました。

そうですね。相手役をやらせていただいたり、共演させていただいたりした皆さんにコンサートに出ていただけるのは本当にありがたいです。その中で、山崎育三郎さんと古川雄大さんとは、舞台作品での共演はないんです。それぞれのコンサートにゲストで呼んでいただいたことはあるのですが。今回は、初めて私がホストとしてお迎えして、初めて私のコンサートにいらしていただくので、リラックスして、楽しんで帰っていただけるたらいいなと思います。

 

―ホストとしてゲストを迎える立場になるのも楽しみですね。

ただ、きっと私が聞きたいことをバーっと聞くというMCになってしまうのではないかとも思っています(笑)。私は芳雄さんや山崎さんのようにすばらしいMCを求められているわけではないと思うので、私のテンポでお客さんが楽しめるように様々なお話をお聞きして、のほほんとした時間をゲストの皆さんにも過ごしていただけたらと思います。

 

―東京、大阪とそれぞれゲストの方がいらっしゃらない公演も用意されていますが、その回はどのような内容になるのですか?

ゲストの方とデュエットする時間の分、一人で歌わせていただく楽曲を増やそうと思っています。宝塚退団後に関わった舞台作品のナンバーを少し、多めに歌わせていただく予定です。そちらもぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです。

 

―青をテーマカラーとしたビジュアルも印象的でした。青い衣裳がとてもお似合いでしたが、普段から青いお洋服を着ることは多いんですか?

夏は薄い水色もよく着ます。涼しそうで爽やかに見えるので、選びがちです(笑)。小さな頃から青が好きなんです。自分らしい色だなと思って。

 

―タイトルの『ヴォイス・イン・ブルー』には、どんな思いが込められているのですか?

私は自然が豊かな田舎で育ったので、空や海、水といった自然が大好きなのですが、そうしたイメージからか、今回、演出の小林香さんがつけてくださいました。「ブルー」と聞くと、悲しいイメージがあるかもしれませんが、今回のコンサートは決してそういう意味ではありません。人間誰しも悲しくなったり、ブルーな気持ちになることもあると思いますが、それも人生の醍醐味。ずっとブルーだったら嫌ですが、時に悲しいことがあっても、それはまた人生の一部なんだなと、味わいなのかなと思って過ごしているので、そんな意味も込められています。

 

―そしてまた、「過去・現在・未来の“明日海りお”」を余すことなく楽しめるコンサートというのもコンセプトの一つと聞いています。そこで、明日海さんの過去や未来についてもぜひお聞かせいただけたらと思います。まずは過去ですが、宝塚入団当時を振り返り、今、どんな思いがありますか?
宝塚時代は、青春でした。まだ大人に囲まれて生活するだけで緊張してしまう年齢でしたが、その頃に初舞台を踏ませていただき、様々な芝居や役に出会い、組が変わったりと環境の変化がある中で舞台を作る経験を重ねて、トップになったらいろんな責任を負って…と今思い出すと、その時々で違う大変さや、違う楽しみがありました。ただ、どんなことがあってもやっぱり私は舞台が大好きなので、舞台に立つことで全てが浄化されていく感覚があります。今も昔も、お客さまが喜んでくださったり、拍手をいただくことで心が浄化されています。

 

―「宝塚でトップになる」というのは、入団当初からの目標の一つだったのですか?


そういう感じではなかったですね。もちろん小さな夢として、前列で踊れるようになりたいとか、ソロや何人組という踊りに入れてもらいたいとか、セリフが欲しいとか、新人公演で役が欲しいとか、そうした目標はその時々でありました。ですが、トップさんというのは、想像がつかなすぎて…。当時、その道のりは果てしないと感じていましたし、トップさんといったら雲の上の存在でしたので。なので、目標を見据えてというよりは、本当に少しずつ少しずつステップアップしていって、気がついたら…という感じでした。

 

―トップになることを意識されたのはいつ頃だったのでしょうか?

主演を任せていただけるようになった頃に組み替えをしたんです。その時にようやく、「もしかしたら、私は今のトップさんを継いでトップになりたかったのかもしれない」と感じたような気がします。この場を離れるのが悲しいということは、そう思っていたということなのかなと。

 

―トップとして活躍されていた時代には、やりがいや楽しさ、そして責任感やプレッシャーなど様々な思いがあったと思いますが、思い出に残っている感動的な場面はどんな時でしたか?

お芝居を1時間30分終え、休憩があって、お衣裳もお化粧も変えてレビューでも走り回って歌い回って、肺がちぎれそうになりながら公演を行い、最後に1番大きな羽根を背負って階段を駆け上がって…そうして階段を降りていった時、お客さまも出演者たちも全員がこちらを向いて迎えてくれる瞬間は幸せに包まれていました。これぞ宝塚という瞬間だと思います。その瞬間は、皆さんに包み込まれているというよりは、自分が包み込んでいるような、そんな思いでいっぱいになるんです。トップになった最初の頃は「本当に認めてもらえているのだろうか」とか「私はふさわしいんだろうか」と思っていた時期もあったのですが、小さなことをコツコツと続けていったら、ある日、ふっとみんなの顔がちゃんと目に入ってくるようになったんですよ。みんなと目が合うんです。劇場の後列に座っているお客さまの元まで手が届くような感覚を覚えた時があって、すごく嬉しかったのを覚えています。

 

―それは明日海さんの中での大きなターニングポイントでもあったんですね。

目の前のことにもキリキリして、神経を尖らせながらやっている時期もあったのですが、みんなと絆を少しずつ繋げていって、自分がやりたいことや大事にしていることはこれだというのをみんなが意識的に受け取ってくれて…そうして小さなピースがガッと揃った瞬間だったのかなと思います。

 

―そうした得難い経験をたくさんされた宝塚歌劇団を2019年に退団されました。その後の4年は明日海さんにとって様々な変化のあった時期だと思いますが、明日海さんが感じている一番大きな変化は?
宝塚というものが自分の中からなくなったっていうことが1番大きいと思います。それから、コロナ禍も私には大きな出来事でした。退団してすぐにコロナ禍に突入したので、不安で不安で仕方なかったんです。どうなっちゃうんだろうと不安は募るのに、宝塚で一緒に歩んできた仲間とはもう会えないという、すごく苦しい期間を過ごしていました。ただ、その中でも、前向きに考えようという思いは常にあったので、考え方を変えようとは思っていました。

 

―その苦しい時期をどう乗り越えたのですか?

これはもう、私だけではなく、全世界の人がそうだと思いますが、視野を広げ、第二の人生を始めるという感じなのかなと。コロナ禍があったからこそ、よりありがたさに気づけるようになりました。気づきが多かったと思います。

 

―では、未来についてもお聞かせください。これからの目標や夢、やりたいことは?

幸せなことに、大好きなことをお仕事にできているので、長く長く続けていきたいです。新しい考え方を教えてもらったり、新しい感動をもらったりしながら、そこで出会う作品や出会う役によって自分が作られていると思うので、もっともっと新しい役に出会いたいなと思います。そして、「こういう役を演じさせたら面白いよね」とか、「あの時のお芝居がすごく好きだった」と思ってもらえたらと思います。そうなれるよう、自分の技術を磨いていき、様々な経験を糧にして、内面的にも魅力的な人間になるのが理想です。

 

―最後に読者の方にメッセージをお願いします。

20周年のアニバーサリーのコンサートを開催させていただきます。心を込めて、どんな方にも楽しんでいただけるように頑張りますので、ぜひ楽しみにしていてください。


▶︎明日海りおさんのファッション事情◀︎
―今日のお衣裳のポイントは?

上はきれい目ですが、下はデニム地のシンメになっているので、固くなりすぎないところが気に入っています。

 

―最近、購入したお気に入りのアイテムは?

ん〜(考え中)。

 

―こちらから質問してもいいですか?携帯のストラップ、すごく可愛いですね。

本当ですか? ありがとうございます。私は本当に携帯をすぐ失くしてしまうんですよ(苦笑)。なので、最近はこのハート型のシリコンリングをつけています。腕に引っ掛けられるのですごく便利ですし、これをつけることで存在感を出して、携帯を失くすのをできるだけ防いでいます。

 

―では、最近のマイブームは?

マイブームは、えのきです。子どもの頃から好きだったんですが、最近、改めて美味しいなと。レンチンだけでも美味しく食べられるので、楽というのもあります。塩分を摂りすぎないようにしたいと思っているので、お出汁やお酒だけでもおいしく調理できるえのきは重宝しています。お味噌汁に入れるのもいいし、夏はオクラとあえてもいいですし、パスタに入れても美味しい。夜中にお腹が空いてしまって仕方ない時には、えのきだけを食べたりもします。

 

―ストレスが溜まった時のリラックス法は?

美味しいもの食べることです。それから、一度、全て放置して、飼い猫の「ゴロゴロ音」を聞いていると緩和されます。猫ちゃん自体も癒しなんですが、その「ゴロゴロ音」を聞いていると特に癒されるんですよ。心を浄化してくれる気がします。

 

【profile】
明日海りお/Rio Asumi
1985年6月26日生まれ。静岡県出身。
2003年宝塚歌劇団に89期生として入団。2014年に花組トップスターに就任。トップスターとして圧倒的人気で多くのファンを魅了。2019年11月宝塚歌劇団を退団。退団後もミュージカル『ガイズ&ドールズ』などの人気作品へ出演、NHK連続テレビ小説『おちょやん』『大病院占拠』など話題のドラマ出演など、幅広く活動している。2023年5月には『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』、7月には音楽劇『精霊の守り人』と2作連続で日生劇場で主演を務めた。10月スタートの日曜劇場『下剋上球児』にも出演する。

photo:Tsubasa Tsutsui/styling:Kozue Onuma/hair&make-up:Keiko Yamashita/interview&text:Maki Shimada


【公演概要】
■タイトル
20th Anniversary Rio Asumi sings dramas『ヴォイス・イン・ブルー』
■日程・会場
東京公演:2023年9月15日(金)~9月19日(木) 東京国際フォーラム ホールC
大阪公演:2023年9月22日(金)~9月24日(日) 梅田芸術劇場メインホール
■出演
明日海りお
■ゲスト出演
東京公演:井上芳雄 浦井健治 上原理生 平方元基 田代万里生 蘭乃はな 花乃まりあ 仙名彩世 華優希
大阪公演:山崎育三郎 古川雄大 凪七瑠海(宝塚歌劇団)

■公式ホームページ

https://www.ken-on.co.jp/asumi/

CHECK!!

全公演完売につき、東京・大阪公演ともに生配信が決定!!

日程は9月19日(火)13:00回(ゲスト:蘭乃はな・花乃まりあ・仙名彩世・華優希)と大千穐楽となる9月24日(火)13:00の回(ゲスト:凪七瑠海)です!!なお、アーカイブはなしで、生配信のみとなります。

【生配信日程・会場】

2023年9月19日(火)13:00 @東京・東京国際フォーラム ホールC

ゲスト:蘭乃はな 花乃まりあ 仙名彩世 華優希

2023年9月24日(日)13:00 @大阪・梅田芸術劇場メインホール

ゲスト:凪七瑠海

■チケット料金・受付

料金:4,800円

■受付URL

https://eplus.jp/asumi20th-st/

■販売期間

東京:2023年8月18日(金)17:00 〜 9月19日(火)13:00
大阪:2023年8月18日(金)17:00 〜 9月24日(日)13:00

■配信プラットフォーム

Streaming+

※アーカイブ配信はなし

下記のインスタグラムでオフショット公開中!!ぜひチェックして!!

https://www.instagram.com/noriem_press/

(2023,09,14)

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