KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『近松心中物語』製作発表会見が7月20日(火)に行われ、田中哲司さん、松田龍平さん、笹本玲奈さん、石橋静河さん、演出の長塚圭史さんが出席しました!!

戦後を代表する劇作家・秋元松代さんの代表作である本作は、近松門左衛門の「冥土の飛脚」をベースに他作品の要素を加え、近松作品の魅力をふんだんに盛り込んだシンプルで力強い言葉と、故・蜷川幸雄氏の劇的な演出により、観客からの圧倒的支持を得て1000回を超えて上演され、演劇界の金字塔と称された作品です。
物語の舞台は、元禄時代の大阪・新町(遊郭街)。飛脚宿亀屋養子・忠兵衛と見世女郎・梅川、古物商傘屋若旦那・与兵衛と箱入り娘・お亀という2組の恋の情景を、今回は、神奈川芸術劇場の新芸術監督である長塚さんの演出で上演します。

 

長塚さんは、本作を上演するに至った思いを「秋元さんの簡潔でありながら意味深い、味わい深いセリフに惹かれました」と話します。さらに、「若者たちがどうしようもなくなって、行き場がなくなって死を選ぶというのは、今の時代の格差にも通じるということを雄弁に語っています。そして、非常に肉体的な戯曲でもあります。一目惚れで惹かれあっていくところに色気や動物性を感じました」と本作の魅力を語りました。蜷川氏は、かつて本作を80人のキャストで上演していたそうですが、今回、長塚さんはわずか19人で上演します。これについて、長塚さんは、「人数を絞ることによって劇の焦点が絞られる。20人以下で劇ができることで、色々な形で演じることができるんだと視界が広がっていくと思っています」と説明しました。

長塚圭史さん

 

一方、忠兵衛を演じる田中さんは、「忠兵衛という役はハードルが高く、心して挑まねばいけないと思う役です。(役柄の)年齢を聞いたら20代というので…僕、今、55歳なので、これはやばいぞと感じました(笑)。でも、今日、キャストの方にあって心強いと思いましたし、圭史くんの芸術監督第1弾目の作品なので、いい作品にして圭史くんをお祝いしたいと思います」とコメント。

田中哲司さん

 

与兵衛役の松田さんは「(与兵衛は)筋を通す人。ただ、自分が本当はどうやって生きていきたいのかわからない人という印象です。心中も相手に死ぬと言われて、『死にたくはないけど、まあ、あなたが言うなら仕方ないな』と思ってしまう、そういう人なんだと思います。これからセリフを入れて、噛み締めながら芝居をしていきたいと思います」と、役柄に思いを寄せました。

松田龍平さん

 

遊女・梅川を演じる笹本さんは「私にとって、試練になる作品だと思います。和物も初めてですし、共演する皆さん方も長塚さんとも初めて」と挑戦づくしの作品となりますが、「セリフの節々から彼女の人柄や愛情、かわいらしい部分が見て取れるので、そういうところから彼女のバックグラウンドをしっかり作っていきたいと思います」と意気込みました。

笹本玲奈さん

 

与兵衛の妻・お亀を演じる石橋さんは「刹那的でボリュームのある脚本ですが、読み終わった後に、なんて儚いんだろうという気持ちが残りました。奇をてらったりせずに、余計なことを考えずに、まっすぐに演じられたらと思います」と語ります。夫役の松田さんとは「子どもの頃から知っている」という間柄。今回が5回目の共演となるそうで、「頼もしいです」と笑顔を見せました。

石橋静河さん

 

また、質疑応答で、本作の内容にちなんで「一目惚れのエピソード」を聞かれると、田中さんは「身を焦すような一目惚れはないですが、軽い一目惚れならしょっちゅうです」とニヤリ。「女性だけでなく、男性でも、景色でも料理でも、そういう一目惚れならば、2日に1回はしています」と話しました。

それを聞いた松田さんも「僕も田中さんと同じ」と同意し、「年々、一目惚れの頻度が増えている気がします。若い時は女性にしか一目惚れしなかったけど、今は、おいしそうなご飯とか、道端に咲いているかわいい花とか、いろいろと見ちゃう。そういう意味では、いろいろな一目惚れをするようになったなと思います」と明かしました。

「一目惚れをしない人生だった」という笹本さんは、昨年、「人生で初めて一目惚れして、バイクを買いました」と告白。石橋さんは、「最近した一目惚れは坂口恭平さんという方の画集。本当に美しいんです。山や空とかを写真に撮ったものを模写しているのですが、心が窮屈になった時に見ています」とコメントしました。

 

【公演概要】
■タイトル
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『近松心中物語』
■日程・会場
神奈川公演:2021年9月4日(土)~9月20日(月・祝) KAAT神奈川芸術劇場 ホール

福岡公演:2021年9月25日(土)・26日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
愛知公演:2021年10月1日(金)~10月3日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

兵庫公演:2021年10月8日(金)~10月10日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

大阪公演:2021年10月13日(水) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール

長野公演:2021年10月16日(土) まつもと市民芸術館 主ホール
■作 秋元松代
■演出 長塚圭史
■音楽 スチャダラパー
■出演

田中哲司/松田龍平 笹本玲奈/石橋静河

綾田俊樹 石橋亜希子 山口雅義 清水葉月 章平 青山美郷
辻本耕志 益山寛司 延増静美 松田洋治 蔵下穂波
藤戸野絵 福長里恩/藤野蒼生(Wキャスト)

朝海ひかる 石倉三郎

■公式ホームページ https://www.kaat.jp/d/chikamatsu

(2021,07,21)

photo&text:Maki Shimada

#NorieM #NorieMmaagazine #ノリエム #近松心中物語 #田中哲司 さん #松田龍平 さん #笹本玲奈 さん #石橋静河 さん #長塚圭史 さん