ミュージカル『ドリームガールズ』ではC.C.ホワイト役で存在感を放つなど、数々のミュージカルで活躍する内海啓貴さん。2023年6月7日(水)から開幕した、ミュージカル『ダーウィン・ヤング 悪の起源』では、レオ・マーシャル役を演じています。同作に挑む想いや意気込み、さらには俳優としての転機や目標など、たっぷり語っていただきました!!

 

―ミュージカル『ダーウィン・ヤング 悪の起源』に出演が決まったときのお気持ちを教えてください。
出演が決まった時は、この作品については知らなかったのですが、以前、同じく韓国のミュージカルである『SMOKE』という作品に出演させていただいたことがあるので、韓国ミュージカルの独特な旋律をまた味わえると、とても楽しみでした。

 

―今作や『SMOKE』に共通点を感じましたか?
韓国ミュージカルらしさというのがあるように思います。どこか暗い、孤独な空気が流れているけれども、その中には愛という希望がある。愛が闇の中で光っているイメージがあるんです。僕たちは日本語で演じて歌いますが、韓国語でこのミュージカルの楽曲を歌うと、アクセントの取り方も独特なんですよ。

 

―なるほど。では、今作で演じるレオ・マーシャルという役柄は、どのようにとらえていますか?

簡単に言ってしまうと、主人公のダーウィン・ヤングの親友の役です。この物語は、第1から第9まで格差のある架空の世界が舞台となっていて、レオは第1位の、位が高いプライムスクールに通っている生徒です。そこでダーウィンと出会います。陽の性質を持ったキャラクターで、作品の光となるような存在だと思います。自立していて、窮屈なこの社会にすごく疑問を抱いている。そして、すごく好奇心旺盛で、自分の思ったことをそのまま口にするような、とても素直な人物だと思っています。

 

―共感できるところはありますか?

僕自身の高校時代と似ているところがあると思います。陽のキャラクターだということもそうですが、おかしいと思ったことを内に秘めず、すぐに口に出してしまうところも共通していると思うので、学生時代を思い出しながら演じています。

 

―演じる上では、どのようなところを特に意識されていますか?

愛されるキャラクターだと思うので、“レオってかわいいな”と感じていただけるように、チャーミングに演じたいと思っています。きっとお客さまにとっても共感できるところも多い人物だと思うので、共感していただけるよう頑張ります。

 

―脚本を読んで感じた今作の魅力は?

格差社会の中でのさまざまな家族愛や友情を濃く描いているというのが魅力だと思いますし、それが韓国らしさにもなっていると思います。原作は辞典のように分厚い小説ですが、とても読みやすいんです。架空の世界の物語ではありますが、人間の心の奥の感情をくすぐってくるような感覚を覚える原作だったので、それをミュージカル化することで音楽の旋律がプラスされて、より素晴らしい作品になるのだろうなと感じました。それから、やはり楽曲が素敵です。ダーウィンと彼のお父さんが歌う楽曲があるのですが、表では家族愛を歌っていながら、裏にはダークなものが存在しているというのを音楽の旋律で表現しているんです。そうしたこのミュージカルにしかない独特の音楽がたくさん存在しています。

 

―演出の末満さんは、ダークな作品との相性がすごくいい演出家さんという印象がありますが、末満さんの演出についてはどんなことを感じていますか?

末満さんの頭の中にあるビジョンを僕らが体現していくというスタイルのお稽古をさせていただいています。この作品は「死」をテーマの一つにしていますが、「死」の表現も体を使って表現していきます。みんなで一つになって、この作品の核となる部分を作っていっている感覚です。物語のクライマックスに、何十時間もかけてみんなで作り上げたシーンがありますので、そこは絶対に成功させたいと思っていますし、注目していただけると嬉しいです。

 

―改めて、公演への意気込みを教えてください!!
まだまだ自分のことに精一杯で、客観的に作品を見れていませんでしたが、(ラナー・ヤング役の)石川禅さんが、先日、「これは大丈夫だ。面白いぞ」っておっしゃっていたのを聞いて、この作品が完成し始めているのを感じました。キャストみんながその禅さんの一言でひとつになり、僕自身も自信を持てるようになったので、末満さんの演出を信じて、全力で作品に向かっていきたいと思います。きっと観るたびに違う魅力を発見できると思います。観る方によっても感じ方が違う作品だと思いますので、ぜひ劇場で楽しんでいただけたらと思います。

 

―ありがとうございます!! 今回は、ぜひ内海さんご自身のことについてもいろいろとお聞かせいただければと思っているのですが…2023年に入って、早くも5ヶ月が過ぎました。2023年上半期を振り返り、どんな半年間でしたか?

これまで生きてきた28年間の中で、一番早かった半年間でした。それだけ充実していたんだなと思います。(3月5日に千穐楽を迎えた)ミュージカル『ドリームガールズ』では、演出の眞鍋(卓嗣)さんからも、キャストの皆さんからも、お芝居をはじめたくさん学ばせていただきました。稽古日数もとても多い作品だったんですよ。個人の歌稽古も入れると、2ヶ月半くらい稽古させていただいたので、日本初演を一つずつ作っている感覚がありました。改めて、1からミュージカルを作っていくのはこんなに大変なんだなと感じましたし、同時にみんなで作っていくことを毎日、楽しめました。この上半期は、たくさんの方に感謝する期間だったなと思います。

 

―では、2023年の下半期の目標は?

まずは『ダーウィン・ヤング』ですが、その後にミュージカル『アナスタシア』も控えていますので、それぞれの作品に真摯に向かっていけたらと思います。『アナスタシア』は、3年前に初演した時もディミトリを演じさせていただきましたが、その時に作り上げた役をなぞるのではなく、この3年間で培ってきた経験値を活かして、また新たに役を作り上げていきたいなと思います。

 

―これまでの俳優人生で、内海さんにとって転機となった出会い、出来事、作品は?

最初に意識が変わったと感じたのは、ミュージカル『黒執事』-Tango on the Campania-です。僕の演じたエドワードのお母さん、フランシス・ミッドフォードを演じた秋園(美緒)さんや、座長の古川雄大さんといった方々とご一緒させていただいて、新しい世界を教えていただきました。当時はまだ、本格的なミュージカルを知らなかったので、自分がどうなっていきたいのかも明確に決まっていなかったんです。そんな時期に、ミュージカル『モーツァルト!』や『キンキーブーツ』などさまざまな作品を観て、こんなにも華やかで楽しいエンターテインメントの世界があるんだっていうのを知り、もっと大きな作品に出たいと、自分の中で決意が固まりました。その後、3年前の『アナスタシア』で初めて、グランドミュージカルと呼ばれる大きなミュージカルに出演することができて、大先輩のすごい方達と共演して、スタッフさんにもいろいろと教えていただきながら、そこでまたこの世界で生きていきたいという意識、気持ちが強くなりました。自分の中での転機はそこだったのかなと思います。

 

―俳優を始めた当時と今では、演じることへの思いも大きく変わってきているんですね。

ここ数年で特に様々な役を演じさせていただきましたが、どの役を演じてもやっぱり僕自身なんだなと感じています。だからこそ自分自身が常にニュートラルでいなければいけない。それにはプライベートでの食生活、トレーニングとか毎日をどう過ごしているかが大事で、それが舞台に立った時、滲み出ると思うので僕も新たに自分を見つめ直して、ニュートラルな部分を改めて作ろうと思っています。

 

―2022年末には、三浦宏規さんと初ライブも行い、好評を博しました。ステージで歌うことについては、今、どんな思いがありますか?

5、6年前に自分でギターを弾いて、バンドを引き連れてライブをやったこともあったのですが、当時は、音楽で何を届けたらいいのか分からなくなってしまったということがありました。今、ミュージカルという世界を知って、いろいろな役で様々な歌を歌えています。今だからこそ、改めて、自分のハマる音楽を探そうと思いますし、探してから音楽を再びスタートして、自分のライブをやれたらいいなという思いはあります。

 

―では、今の目標は?

目標は、ミュージカルで真ん中に立ち、作品の中心になれる役者です。それから、『ドリームガールズ』や『アナスタシア』などの英語で作られたミュージカルに携わって英語が必要だと思ったので、今、英語も勉強しています。やはり、英語から日本語に訳すと、歌詞の意味が微妙に変わっていることがあるので、自分自身でもきちんと理解したいという思いが強くなってきたんです。今後は、自分からもっと役を広げられるような役者になっていきたいなと思います。

 

―俳優として活動をしていく中で、ファンの方の存在もすごく大きいとは思いますが、内海さんにとって“ファン”とはどんな存在ですか?

お互いに成長し合っていく関係になれればいいなと思っています。僕、Mr.Childrenさんが好きでライブに行ったことがあるのですが、あれだけキャリアのある方が、(ライブ中に)ファンの方とフレンドリーに「あの時こうだったよね」とお話をされていたんですよ。その姿からMr.Childrenさんの成長とともにファンの方も成長していることを知って、すごくかっこいいなと思いましたし、とても羨ましいなと思ったので、僕自身も、僕が役者として成長している姿を観たファンの方が、何かを受け取って、お互いに成長できたらと思いました。いわゆる戦友だと思っています。


▶︎内海啓貴さんのファッション事情◀︎
―今日のお衣裳のお気に入りポイントは?

脚長効果のあるパンツが気に入ってます!! 黒をベースにしたコーディネートで、シックでカッコいい組み合わせになっていると思います。黒は、着る人の素材を活かせる色だと思いますし、シンプルではあるけど、すごく深みがある色で、大好きです。

 

―この夏にプライベートでしたいファッションは?

最近は、だんだんとシンプルになってきたんですよ。自分の身体のラインを見ることで、体の変化がしっかり分かるので、今、筋トレもしているのですが、だんだんと服がピチピチになってきているようにも思います(笑)。服がピチピチになっていくというのは筋トレやっている人あるあるらしいです(笑)。自分の体のラインを見ることで、体の変化がしっかり分かるので。ストリート系の服も好きなので、そうしたファッションも着ますが、ポロシャツとデニムのような少しキレイめなファッションにもチャレンジしてみたいですね。

 

―最近買ったお気に入りのアイテムは?
筋トレグッズで、手首を固めて痛くならないようにするグローブを買いました。3年前に『アナスタシア』で共演した山本耕史さんから教えてもらったんですよ。指が空いていて、洗えるのがいいって。それで、これを買いました(笑)。ファッション的なアイテムでは、大きめのサイズのデニムシャツがお気に入りです。最近は朝晩が寒いので、寒くなった時にはおるのにちょうどよくて、よく着ています。

 

―お休みの日はどのように過ごしていますか?

筋トレもしてますが、1人サイズのピクニックシートを買ったのでそれを公園で広げて、自分で作ったコーヒーを持っていって、そこで1人で飲みながら台本を読むのが好きです。家にいるといろいろなことを考えてしまうので、脳を休ませるためにも、外に出るようにしています。

 

―疲れた時の癒しは?

自分でも怖いと思うんですが、「蟻」をひたすら見てます(笑)。子どもの頃から、蟻の行列が大好きなんですよ。普段、みんなといる時は、ムードメーカー気質だと思いますが、1人だとぼーっとしていることが多いんです。

 

―では、内海さんが思う“輝いている人”とは?

夢を持っている人だと思います。野球の大谷選手は子どもの頃からWBCに出場してMVPを取るという目標を掲げていたそうですが、この間のWBCでそれを実現している姿を見たら輝いてましたね。目的があって、それに対して全力で頑張っている姿に魅力を感じますし、僕自身もそうしている自分が好きです。

 

―お仕事に向かうためのモチベーションは?
まさに今、それを大事にしたいと思っているところなんですよ。いろいろとモチベーションになるものはあると思いますが、結果的に、朝が大事なんだと最近、気づきました。僕はとにかく寝起きが悪いので、朝にしっかり自分のルーティーンを作ることで、その日のパフォーマンスが上がるんじゃないかなと思います。朝のルーティーンをきちんとして、しっかり朝ごはんを食べて現場に向かう。いろいろと試しましたが、それが一番でした。時間がある時は、瞑想もします。spiさんに教えていただいた『ソウルシンキング瞑想』というのをやっています。瞑想の最後には、今日の自分のなりたい姿や、今日の目標を思い浮かべる時間があるので、自分が満たされている姿を想像してから1日が始まるんです。そうやって朝に整えると、コンディションが上がってポジティブに活動できるので、朝を大事にしてます。

 

【profile】
1995年1月16日生まれ。神奈川県出身。AB型。
主な出演作は、ミュージカル『テニスの王子様3rdSEASON-全国大会-氷帝学園』日吉若役、2017年舞台『イムリ』主人公デュルク役、2018年ミュージカル・本格幻想RPG原作『陰陽師~平安絵巻~』白無常役で出演、東京、深セン、上海、北京での公演にも参加。主な出演作は、ミュージカル『「黒執事」-Tango on the Campania-』(2018年)、ミュージカル『アナスタシア』(2020年)、ミュージカル『バーナム』、ミュージカル『グリース』(2021年)、ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』(2022年)、ミュージカル『ドリームガールズ』(2023年)。秋にはミュージカル『アナスタシア』への出演を控えている。
■公式ホームページ

http://www.suns.fm/akiyoshi-utsumi/
■公式twitter

https://twitter.com/utsumi_akiyoshi

photo:Hirofumi Miyata/styling:Akiko Yamashita/hair&meke-up:Miyoko Koenuma/interview&text:Maki Shimada

costume:Shirt,Pants/JNBY(https://jnby.jp/)


【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ダーウィン・ヤング 悪の起源』
■日程・会場
2023年6月7日(水)~6月25日(日) 日比谷シアタークリエ
■原作 パク・チリ
■台本・作詞 イ・ヒジュン
■作曲 パク・チョンフィ
■編曲 サム・デイヴィス、マシュー・アーメント
■潤色・演出 末満健一
■出演
大東立樹(ジャニーズJr.)/渡邉蒼
矢崎広 植原卓也 内海啓貴 石井一彰 染谷洸太 鈴木梨央 石川禅 ほか
■公式ホームページ

https://www.tohostage.com/darwin_young

(2023,06,11)

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下記インスタグラムでは、インタビューのオフショットも掲載中!!お見逃しなく!!

https://www.instagram.com/noriem_press/

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