ポルノグラフィティの新藤晴一さんが初めてミュージカル制作に携わったa new musical『ヴァグラント』が2023年8月19日(土)から開幕します。
大正時代を舞台にした本作は、“マレビト”と呼ばれる芸能の民である佐之助と、炭鉱のムラで育った幼馴染3人の運命が交錯するオリジナルミュージカルです。今回は、炭鉱の私設取締隊の隊長・三葉トキ子役を、小南満佑子さんとWキャストで務める山口乃々華さんに、本作への意気込みやミュージカル出演についての想いなどをお聞きしました!!

 

―新藤さんの初ミュージカル作品ということで、大きな話題を呼んでいる本作に出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください!!
すごく長い時間をかけてオファーをくださっていたと聞いて、その熱意がとても嬉しかったです。そんなふうに熱い気持ちでオファーしていただけるなんてと感動しましたし、ぜひ出演させていただきたいと思いました。

 

―ポルノグラフィティの楽曲はご存知でしたか?
はい、もちろんです!! 以前、グループ活動をしていた時に、音楽番組でご一緒したこともありました。ポルノグラフィティさんは、すごく情熱的でエネルギッシュな楽曲だというイメージがあったので、ミュージカルではどうなるのか楽しみでした。
―今回は、私設取締隊の隊長・三葉トキ子を演じますが、今はどのようなキャラクターだと感じていますか?
自分自身と真逆な役がきたなと(笑)。凛としていて、揺るぎない思いを持っている子だと思っています。最近、そうした自分とは全く違う役をいただくことが増えているんですよ。

 

―山口さんとは真逆な役柄なんですね?
そうですね。でも、演じるのはすごく楽しいです。私も意地や根性はあるのですが、今回の役はとても力強く、男前な役柄なので、私とはかけ離れている気がします。

 

―2023年5月21日に大千穐楽を迎えたミュージカル『SPY×FAMILY』でも、フィオナという強い女性を演じていましたが、そこから学んだところや、今回の役に反映させようということは?
『SPY×FAMILY』の時は、立ち方や動き方ひとつとっても隙がなく、パワーのある女性になるよう意識していたので、それが身についていたらいいなと思います。ただ、フィオナはキャラクター的な要素が強い役柄で、今回はこの時代に生きた人間のリアルさが求められるので、そういう意味では違いも大きいと感じています。トキ子は、内面の奥まで作り込んでいかないと、ふとした瞬間に自分が出てしまう気がしているので、しっかりと役を作っていきたいと思います。

 

―最初に脚本を読んだ時には、本作のどんなところに魅力を感じましたか?
大正時代のある炭鉱のムラの話なのですが、私たちが歴史の教科書でしか知らなかったような米騒動などの生々しいやりとりもあり、綺麗事ではない部分まで描かれているので、“生きた”作品だなと感じました。現実とファンタジーがミックスされてはいますが、その時代をリアルに描いているように思います。

 

―ダブルキャストの小南さんの印象を教えてください。
まだ(取材当時は)あまりお話できていないのですが、とても上品な方で、中身は男前なところがあるとお聞きしています。とても優しく、受け入れてくれる包容力があるとイベントでご一緒して感じたので、お稽古が楽しみです。

 

―ダブルキャストでひとつの役を演じるということについては、どう感じていますか?
自分と同じ役を他の役者さんが演じているのを見ることができるので、勉強になることの方が多い気がします。私は演じていると自分を客観的に見られなくなってしまうタイプなので、役を客観的に見られるというのも良いところだなと思います。

 

―ところで、山口さんはグループ在籍当時、パフォーマーとしても活動されていました。今、こうしてミュージカルに出演し、踊るだけでなく、歌ってお芝居をして…と活動を広げています。ステージで歌うことについてはどんな思いがありますか?
まだまだハードルは高くて、いつも緊張と戦っています。ダンスのようにもっと“バディ”と呼べる存在になれればいいのですが、今はまだとにかく挑戦しているという感覚です。少しでも集中力が途切れるとすぐにピッチもずれてしまいますし、気持ちを取り逃がして軽くなってしまったり…反省ばかりです。ミュージカルで、歌で心情を表現することは、ものすごくパワーが必要ですが、その分、伝えられるものも大きいとフィオナを演じて実感しました。キャストたちの力が一体となって出来上がる空気も感じることができたので、私ももっと力をつけられるように努力していきたいと思います。

 

―『SPY×FAMILY』という大作を経験したことで、学ぶことも多かったのですね。
私にとっては初めてのロングラン公演だったんです。1公演1公演、お客さまの反応が違うことを実感しましたし、素晴らしい作品には素晴らしいキャストの方々が集まるんだと感じた作品でもありました。先輩方に助けていただきながら、とにかく集中してやるのみだと一生懸命、作品に向かったことを覚えています。

 

―そうした作品を通して自分の中での成長を感じていますか?
実は、毎公演「緊張で全部飛んでしまったらどうしよう」と思いながら準備をして、出番を待っていたのですが、先輩たちから「そういう時はひとつひとつを丁寧に、大事に会話していけば大丈夫だよ」と声をかけていただき、少し肩の荷がおりました。それから、「この作品に出演する意味を考えて、それだけを持っていればいい」ということも教えていただいたので、自分でも理由が分からない恐怖や不安には勝てるようになってきたと思います。少しは強くなれたのかなと思っています。

 

―ミュージカルに出演する面白さはどんな時に感じますか?
緊張から解き放たれた時です。

 

―それはカーテンコールということですか?
カーテンコールの時はまだ緊張が続いているので、それも終わって、楽屋に入って衣裳を脱いだ時です。その時にやっと、今日もやりきれたと思えるんです。自分でも、本当にこんなので大丈夫なのかなと思うくらい、毎公演、命懸けだという気持ちで臨んでいましたから。一度、ステージの上で失敗してしまって、もうダメかもしれないと思ったことがあったのですが、その時にお客さまから拍手をいただけて…。袖にはけた(ステージから降りた)時に嬉しくて大泣きしちゃいました。それも最高だと思った瞬間です。

―素敵なエピソードをありがとうございました!! ところで、本作のキャッチコピーに「この世に極楽を見せましょう」とありますが、山口さんにとっての“極楽”な瞬間ってどんな時ですか?
猫を飼っているのですが、その猫が寝る時に、私の肩に頭を乗せて一緒に寝てくれる瞬間です。本当に極楽です!!

 

―猫好きなんですね!!
元々、動物はそれほど好きではなかったのですが、たまたま猫を見に行った時に一目惚れしてしまって。一目惚れはダメだと言いますが、そこからお迎えして、今は大事な家族として一緒に生きています。

 

―では、山口さんから見て輝いてる人ってどんな人ですか?
最近すごく思うのは、いい思いをたくさんしてきた人よりも、たくさん苦労してきた人は輝いているなと思います。嫌な目に遭っても頑張ってきた人はちょっとやそっとじゃ消えない輝きがあると思うんです。そういう強さを見ると、敵わないなと思います。

―山口さんが輝くためにしていることはありますか?
逃げないことです。先ほどもお話ししましたが、毎公演、命懸けでステージに立っているので、本当は逃げられるなら逃げてしまいたいという気持ちもあるんですよ(苦笑)。もちろん、そんなことはできないので、まずは逃げない。そして、どうにかそんな気持ちに勝つことだと思っています。

 

―そうした思いの中、それでもステージに立つという原動力はどこにあるのですか?
何なんでしょうね(笑)。私も最近、それを考えたんですよ。こんなに緊張して、プレッシャーを感じて、それでもこれをやりたいって何でなんだろうって。でも、その答えはきっと、「ステージに立つことが好きだから」なんだと思います。私は不器用なので、これまでも簡単にできた仕事というのはないんですよ。何をやるにも時間がかかるし、全てのことに一生懸命にならないとできないので、それはある意味、俳優以外の仕事でも同じくらい大変だということなんだと思います。何をやってもきっと同じように悩んだり、苦しんだりしながら、それでも命懸けで向かっていくんだろうなと。その中で、ステージに立つことを選んでいるのは、やっぱり好きだからだと思います。

 

―ありがとうございました!! 最後に公演を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
時代は違いますが、どこにでもある人間関係やそれぞれの悩みを描いている作品です。なので、親しみを感じてもらえると思います。生々しいセリフのやりとりもあるので心が痛む場面もありますが、最後には希望も感じられると思います。明るい気持ちで帰っていただけると思うので、ぜひ気負わずに観に来ていただけたらと思います。楽しい夏にしましょう!!


▶︎山口乃々華さんのファッション事情◀︎
―今日のお衣裳のポイントを教えてください。
黒で統一しました。抜け感があるデザインもかわいいと思って選びました。ウエストが締まっているのでスタイルがよく見えるのもお気に入りのポイントです。

 

―この夏に挑戦したいファッションは?
ガーリーなワンピースが欲しいです。あまりガーリーなファッションはしたことがないんですよ。なので、この夏は挑戦したいです。自分が大人になったからこそガーリーがいいのかなと思います。それから、最近はミニもあまり履いていないので、ミニもいいなと思っています。

 

―最近買ったお気に入りのファッションアイテムを教えてください。
デニムを買いました!! デニムって時代によってウエストの位置が変わるじゃないですか。それを自在に変えられるという画期的なデニムを見つけたんです。全部のボタンを止めたらサロペットのようになるし、ウエストをまくったらローライズになるし、好きなように調節できるんです。これから長く活用したいと思っています。

 

―お休みの日はどんなことをして過ごしていますか?
コロナ禍で自粛していた時にアロマキャンドルを自分で作るのにハマっていたのですが、久しぶりにそれを引っ張り出してきて作ったら、すごく楽しくて、今またハマってます。簡単にできるんですよ。紙コップに溶かしたろうを流し込んで、アロマを調合して入れて、ドライフラワーをお好みで入れるだけで出来上がりです。家の中に飾って、ルームフレグランスとして使っています。

 

―スタイルをキープするためにしていることは?
ブームにもなっていますが、サウナに行ったり、ホットヨガをしたりして汗をかくようにしています。それから、無理に食べないこと。お腹が空いていないのに食べてしまうことがあったのですが、それをやめました。そうしたら、リズムが整ってきた気がします。

 

【profile】
山口乃々華/Nonoka Yamaguchi
1998年3月8日生まれ。埼玉県出身。A型。
2011年にLDH主催「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~」選出。ダンス&ボーカルグループ「E-girls」として、2012年発売の「Follow Me」よりパフォーマーとして活動開始。2014年からE-girls主演のオムニバスドラマ「恋文日和」第7話にて主演を務め女優業をスタート。2020年末までE-girlsとしての活動を経て、2021年より女優業として本格的に活動を開始。2021年3月に初のミュージカル『INTERVIEW~お願い、誰か僕を助けて~』に出演。その後『ジェイミー』、『あなたの初恋探します』でヒロイン役を演じ、conSept Musical Drama #7 『SERI~ひとつのいのち』ではミュージカル初主演を務める。2023年は『オッドタクシー 金剛石(ダイヤモンド)は傷つかない』、ミュージカル『SPY×FAMILY』に出演。
■公式ホームページ
https://www.ldh.co.jp/management/yamaguchi_n/
■公式Instagram
https://www.instagram.com/yamaguchi_nonoka_official/
■公式Twitter

@nonoka____Y

photo:Hirofumi Miyata/styling:Hiromi-Mori/hair&make-up:Tomonori-Nagai/interview&text:Maki Shimada


【公演概要】
■タイトル
a new musical「ヴァグラント」
■日程・会場
東京公演:2023年8月19日(土) ~8月31日(木) 明治座
大阪公演:2023年9月15日(金) ~9月18日(月・祝) 新歌舞伎座
■プロデュース・原案・作詞・作曲 新藤晴一(ポルノグラフィティ)
■脚本・演出 板垣恭一
■出演
平間壮一・廣野凌大(Wキャスト)/小南満佑子・山口乃々華(Wキャスト) 水田航生 上口耕平 玉置成実/平岡祐太 美弥るりか ほか
■公式ホームページ

https://vagrant.jp/

(2023,07,05)

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