18世紀にロンドンに実在したという理髪師をモデルとする痛快にして哀しい復讐譚であるミュージカル『スウィーニー・トッド』は現代ミュージカルの巨星スティーヴン・ソンドハイムの代表作です。ソンドハイム自身からその作品を最も理想的に演出するアーティストとして評価されている宮本亞門さんの演出で2024年3月9日から東京建物Brillia HALLで上演されます。

無実の罪で流刑にされ、長い服役の果てに脱獄、ロンドンに戻り、自分を陥れた人々への復讐を誓う理髪師スウィーニー・トッドを市村正親さんが、スウィーニー・トッドが自分で考え出した大胆で奇想天外な方法で復讐を実現するために手を組むパイ屋のお茶目なおかみミセス・ラヴェットを大竹しのぶさんが演じます。
脱出したスウィーニー・トッドを助ける若い水夫・アンソニーをWキャストで演じる山崎大輝さん、糸川耀士郎さんに自身の演じる役柄について、本作への意気込み、さらにはファッションについてもお伺いしました!!

 

ー今回ご自身が演じるアンソニーという人物に対しての印象を教えてください。
糸川さん「この作品の登場人物は一癖も二癖もある個性的なキャラクターが多いのですが、その中で純粋で真っ直ぐに突き進む存在ですね」

 

山崎さん「確かに!!若者にしか持ってないエネルギッシュさをこの作品の中で提示できるような未来ある人物だと思っています」

 

ーお稽古の中でWキャストとして同じ役を作っていくお互いの存在をどう感じていますか?
山崎さん「稽古中もWキャストなので、自分が演じていたところを耀士郎くんがどうやるのかなと気になりますね。僕とはアプローチの仕方が全然違ったり、同じアプローチをしている場合でも見え方が全然違っていたりするので、これってWキャストの醍醐味なんだなと感じています。自分が難しいと思っていた部分をこうやっていくんだな、なるほど。とテクニカルなところでも参考にできるところがありますね」

 

糸川さん「大輝に対して思ってることは、まず声がすごく綺麗だなというのが第一印象です。Wキャストって稽古に入る前は、敵対心とかでちょっとバチバチするような雰囲気になるのかなと思っていましたが、実際に現場に入ってみると大輝の醸し出す人の良さや、プラスのオーラみたいなものが常に出ているので、本当に助け合いながら、良いところをたくさん吸収しています。大輝の稽古を見ていると、すごく参考になる部分が多くて、自分にも取り入れてみようとか、プラスで稽古を積み重ねることができて、居心地がいいなと思います」

 

ーすごく良い関係性の中で稽古が進んでいるんですね!!
山崎さん「そうですね!!お互いにアンソニーという役を良くしようという気持ちでいるので、助けてもらいながら高めあってやっていきたいですね」

 

ーお互いの演技を見て高めあって今回の作品を作り上げているんですね!!
山崎さん「自分のシーンを客観的に見るのは難しいですが、自分ではない人が演じているところを目の前で見ると、客観度具合が強く見れるので、“こういう風に見えているんだな”とか全体像を見ることができるのがすごくいいですね」

 

糸川さん「僕も自分が出ている作品を客席から見ることってあまりできないのですが、今回はそれができるので、すごく楽しみです!!大輝の本番を見て、さらにブラッシュアップをしていけると思っています。そういうところも含めて楽しみで、本番に入ってからも進化し続けていけると思っています」

 

ースウィーニー・トッドを演じる市村さんとミセス・ラヴェットを演じる大竹さんの稽古場での印象を教えてください。
山崎さん「市村さんとは今回初めてご一緒させていただき、しのぶさんとは以前共演させていただいていいるのですが、市村さんは、この作品がより色濃く見えるように、たくさんアドバイスをしてくださいます。強制をするわけではなくて、もしかしたらこの方がいいかもしれないよね。と本当に心地のいいアドバイスをくださいます。ご自身が稽古場で初めて取り組むシーンへの姿勢や、どうやってこの新しい『スウィーニー・トッド』を作っていくのかという過程を背中で僕たちに見せてくださって、稽古場の明るい雰囲気を作ってらっしゃるのも市村さんのお人柄や向き合い方だと思うので、素晴らしいなと感じています。しのぶさんは、僕が言うのもおこがましいのですが、可愛らしい方です。お芝居に入るとガラっとの空気感が変わって、オンオフのメリハリの付け方が素晴らしいですし、その背中を追いかけていきたいと思いながら稽古をしています」

 

糸川さん「市村さんも大竹さんもすごくエネルギッシュで、お2人がいるだけで空気がすごく明るくなる印象です。稽古の休憩時間にも大竹さんはすごく気さくに話しかけてくださって、市村さんにも大竹さんにもすごく緊張していたんですが、今では距離も縮めさせていただいています。稽古場の雰囲気を良くしてくださるのがとてもありがたいです」

 

ー演出の宮本亞門さんの印象を教えてください。
山崎さん「端的で、要点を捉えて、それを最速で僕たちに伝わるように演出をつけてくださるので、僕にとっては分かりやすいです。細かい部分はテーブル稽古でやっているので、実際に動いて演出をつけるとなった時に、ここはこうだと思うと言ってくださるので、すごくスピーディーだなと感じます。そのスピーディさが良いなと思って稽古をしています」

 

糸川さん「亞門さんは、その時その時に生まれた気持ちやこういう演出をしたいという想いが湧いてこられる方だと思うんです。だからこそ誰が演じるのかによってアンソニーのキャラクター性や行動も変わってくるので、そういうところがすごく面白いと思います。僕がアンソニーの曲を歌ってたら、間奏や詞と詞の間に、亞門さんが“今ね。めちゃくちゃ幸せな気分みたい”とか”今こういう気持ちだよ”と言ってくださり、亞門さんご自身もアンソニーになったような気持ちで、こういう感情が生まれているということを共有してくださるので、大輝の言っているスピーディーということって、感情が生まれた瞬間に亞門さんが僕たちにすぐに伝えてくださることだと思います。それがすごく新鮮で、稽古をしていてとても楽しいです。今こういう方向で行けばいいんだということをすぐに理解できて、本当に効率的だと思います。僕は効率大好き人間なので、亞門さんのやりたいことだったり、亞門さんの演出の仕方と僕の性格がすごく合っているなと思います」

 

ー3月9日の初日に向けて、どう役を深めていきたいと考えていますか?
糸川さん「1月から稽古がスタートしていて、ほぼ全部のシーンも曲も当たれたので、間に合うのかなという不安は全くありませんが、2月15日から3月3日まで本番の作品があるので、その間は、板の上に立って、実際に周りの方々と一緒にお芝居をしながら歌を歌い、動き、気持ちをフルに出して歌うということが稽古場ではできないので、1日1日少しずつ成長していくのではなく、短期集中で1日1日をこの先同じ稽古はできないかもしれないというくらいのモチベーションで挑みます!!」

 

山崎さん「僕にとってこの作品はすごくチャレンジする場所だと思っていますので、いろいろなことを試して、稽古中にかける恥は全部かいておきたいと思っています。今まで挑戦しなかったお芝居の仕方や歌の歌い方、もう1つ上の自分を目指し、そうなるために必要なことを素晴らしいキャストの皆さまと一緒にやりながら、ステップアップしていきたいです。やったことないことにもチャレンジして、お芝居を固めていく作業に入るまではいろんなアンソニーをやりたいなって思っています。この作品は、楽曲やお芝居が難しかったり、決められた制約がある中でどれだけ自分がフレキシブルにやっていけるか、自分を自由にさせていくことを本番までに作っていきたいです」

 

ー最後に作品の魅力、見どころ、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
山崎さん「この作品は、ホラーで怖いんじゃない?という印象があると思いますが、いろいろな人の感情が渦巻いています。サブタイトルに復讐というキーワードがありますが、復讐というのは、どんな人にも当てはまるものだと思います。すごくメッセージ性のある作品で、亞門さんが”世の中に不満がある時こそ、この作品は成功する。皆さんの心に届く”とお話しされていて、ご覧になった皆さんの心に寄り添えるような作品になっていると思います。そして、ソンドハイムさんの楽曲でしか味わえないところがたくさんあって、この気持ち悪さの中に気持ち良さを見い出すことができたら、とんでもない中毒になってしまうと思います(笑)。その気持ち良さを味わいに劇場に来てください。よろしくお願いします」

 

糸川さん「本当にソンドハイムさんの楽曲がすごく難しい分、音楽で物語に独特な感情を加えてくれます。今まで感じたことがないようなギクシャクした感じ、不穏な感じ、ハッピーな感じ、心踊るような感覚をすごく大きな振り幅で感じることできますし、キャストの皆さんが本当に個性豊かで、エンタメとしてもすごく面白いものになってると思います。市村さん、しのぶさんを筆頭に、お芝居という部分でもとても重厚で濃密なものが出来上がると思っているので、生でお芝居や歌を感じるという経験をされたことのない方や舞台が好きな方に、これぞ『スウィーニー・トッド』、これぞエンタメというものを劇場で感じていただけたら嬉しいです」


▶︎山崎大輝さん&糸川耀士郎さんのファッション事情◀︎
ー撮影をしたお衣裳のお気に入りポイントを教えてください。
山崎さん「フォーマル過ぎずラフ過ぎずというところがトータルのバランスとして結構いいなと思っていて、『スウィーニー・トッド』に出演する俳優として、しっかりとしたスタイルを見せたいと思って選びました」

 

糸川さん「僕はクールなスタイルもアクセサリーも好きなので、大輝も言っていたけど、かしこまった感じになり過ぎず、ありのままの僕の雰囲気も出したいなと思って選びました」

 

ー普段のファッションはどういうスタイルが好きですか?
糸川さん「僕は服が結構好きで、フォーマルな感じも、モードっぽいブラックスタイルもありますし、逆にすごくポップな色を着るときもあります。細身のスタイルもあれば、ダボダボのストリートっぽいスタイルもあったり、気分や場所によって選ぶ服を変えるので、こういうスタイルが好きというのはないですね。最近は、すごく明るめの服とか買うようになったので、ちょっと可愛い感じが好きかな」

 

山崎さん「僕は逆に服はあまり興味がなくて、すごく前は服は衣、着れればいいと思っていたのですが、最近少しましになってきました(笑)。昔から少し綺麗めなスタイルが好きだったのですが、今はシンプルなものが好きストリート系まではいかないけどオーバーサイズの服を着ています」

 

ー忙しいときのリラックス方法は?
糸川さん「僕はお風呂で何でもしちゃうタイプなんです。稽古動画を見たり、EMSをやったり、入浴剤を入れたお風呂でしたいことをするという時間がリラックスタイムかな」

山崎さん「僕もお風呂好きで、自分のグッズでも入浴剤?バスソルトを作ったりしました。あとは、気分を変えるために香りを使いますね。ハンドクリームを使ったりして、ちょっと気分を切り替えたり。あとは散歩です。軽く音楽を聞きながら外を歩いて、リフレッシュしますし、食事も気分をリフレッシュできるので、美味しいものを食べたいなと思っています」

 

【profile】


山崎大輝/Taiki Yamazaki
1995年10月3日生まれ。静岡県出身。
近年の主な出演作品は、舞台『ピアフ』『劇団ドラマティカ』『チェーザレ 破壊の創造者』、『ザ・ミュージック・マン』、『スリル・ミー』、TOHO MUSICAL LAB.『DESK』など。
■公式ホームページ
https://imagene.co.jp/yamazakitaiki/
■公式Instagram
https://www.instagram.com/rrrrrlight103/
■公式X
https://twitter.com/ttttttaikki103

 

糸川耀士郎/ Yojiro Itokawa
1993年5月28日生まれ。島根県出身。
主な出演作品は、ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台「東京リベンジャーズ 」-聖夜決戦編-など。
■公式ホームページ
https://yojiro-itokawa.com/
■公式Instagram
https://www.instagram.com/yojiroitokawa
■公式X
https://twitter.com/yohhg

photo:Hirofumi Miyata/styling: Miho Yoshida/hair&make-up: Shota Suzuki(SINCIVE)/interview&text:Akiko Yamashita


【STORY】
舞台は18世紀末のロンドン。フリート街で妻子と共に幸せに暮らしていた理髪師 ベンジャミン・バーカー(市村正親) が、ある日、妻に横恋慕した悪徳判事 ターピン(安崎 求/上原理生)によって無実の罪を着せられ流刑に処せられる。長い年月を耐え忍び、やっと脱出した彼は、若い水夫・ アンソニー(山崎大輝/糸川耀士郎)に助けられ、不吉予言を吐く 乞食女(マルシア)もたむろする、ロンドンのフリート街にたどり着く。かつての自分の店を訪ねた彼は、その階下でパイ屋を営む昔なじみの ミセス・ラヴェット(大竹しのぶ) から、妻はターピン判事に陵辱された果てに狂死し、娘の ジョアンナ(唯月ふうか/熊谷彩春) はそのターピンの養女となっているという事実を知らされる。怒りに燃える彼は、スウィーニー・トッドと名乗り、素性を隠して新たに理髪店を開いて虎視眈々とターピン判事や、部下の ビードル(こがけん)に復讐する機会を狙う。そしてラヴェットを慕う孤児の トバイアス(武田真治/加藤 諒)を巻き込み、スウィーニーとラヴェットは、奇想天外で荒唐無稽な計画を実行する…!!

【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

■日程・会場
東京公演:2024年3月9日(土)~3月30日(土) 東京建物Brillia HALL
宮城公演:2024年4月12日(金)~4月14日(日) 東京エレクトロンホール宮城

埼玉公演:2024年4月19日(金)~4月21日(日) ウェスタ川越 大ホール

大阪公演:2024年4月27日(土)~4月29日(月・祝) 梅田芸術劇場メインホール

■作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム
■脚本:ヒュー・ホイラー
■演出・振付:宮本亞門
■出演
スウィーニー・トッド:市村正親
ミセス・ラヴェット:大竹しのぶ
乞食女:マルシア
アンソニー:山崎大輝/糸川耀士郎(Wキャスト)
ジョアンナ:唯月ふうか/熊谷彩春(Wキャスト)
ターピン:安崎 求/上原理生(Wキャスト)
ビードル:こがけん
トバイアス:武田真治/加藤 諒(Wキャスト)ほか

■公式ホームページ
https://horipro-stage.jp/stage/sweeneytodd2024/

■公式X
https://twitter.com/sweeny_musical

(2024,03,19)

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