2017年に初演を迎え、大きな反響と再演を望む多くの声を受けて2020年に新たなビリー・エリオットを迎え再演した日本人キャストによるDaiwa House presentsミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が4年ぶりに7月から上演されます。厳しいオーディションを勝ち抜いた新たな4名のビリー役キャストを迎える今作で、主人公・ビリーにバレエを教えるウィルキンソン先生役を新たに演じる濱田めぐみさんに、作品の印象やWキャストで同役を演じる安蘭けいさんの印象、さらにはファッションについてお話をうかがいました。

 

―7月から上演するミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』、出演が決まった時はどんな気持ちでしたか?
実は、ロンドンで行われたこの作品のトライアウト公演を拝見しているんです。あの時のなんとも言えない気持ちが蘇りました。

 

ーミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』の印象をお聞かせください。
不可能だと思われていたことが、いろいろな力の後押しで叶った時の爆発力はものすごいものだと感じました。一番心に刺さったのは、人間関係や家庭環境、素朴な炭鉱の街で育ったビリーと街の人たちの人間像です。そして彼らの中にある強さや不屈の精神、それを感じる感覚は、私が育った北九州の風景に近いものがあり身近に感じました。炭鉱の街に地方から出稼ぎに来て、稼いで帰っていくというのも、私の住んでいた隣町やその隣町の風景とリンクしました。そういう街でスターが出てくる感覚がすごく理解できて、身近に感じていた作品でした。ただ、身近に感じていながらも演者としてこの作品に出演するということを、当時は思ってもいなかったので、日本版が上演されたときは、”あの作品が日本で上演されるのね”というのが最初の印象でした。

 

ー濱田さんが演じるウィルキンソン先生という役にはどんなイメージをお持ちですか?
日本版のウィルキンソン先生は、全キャストのバージョンを拝見していますが、今まで私が演じてきた役とはちょっと違っているなと感じています。印象として、常に不完全燃焼で 悔しさ、やりきれなさ、夢が叶わない時のもどかしさ、葛藤、そういう混沌としたものが彼女の中に根付いている。それは自分の夢が叶わなかったことだけではない、その街で生きてきた 悔しさや、家庭環境などのいろいろなことが相まって、心にしこりがある。爽やかではなく、決して善人ではないけれども、彼女なりの一生懸命さで生きている女性だと思います。全員には共感されないけれど、彼女の状況だったらそうなっても仕方がないなという面がどうしても垣間見えていて、いい人だろうけれども、善人ではないというところがキーポイントだと感じています。

 

ーウィルキンソン先生はすごく人間らしい人という感じがしますね。
彼女は人生の中で、きっとずるいことも、 悔しい思いもしてきたでしょう。自分のために敢えて人を貶めるということもきっとあったように感じます。

 

ー行動に移すか心に留めておくかという違いだけで、そういう感情は実は誰しもが持っていると思います。
そう!!実行に移すか移さないかは別として、そこの部分の感情って、絶対に誰しもが持っていると思うんです。それが育っていく環境で出てしまうか、元々その感情はあったけれどもほとんど0に近いとか、逆にその感情が花開いてしまってとか。私自身、そこの部分って彼女とはほぼ遠いんです。めんどくさがりなので、ずるい事も結構遠回りしそうだなと思うとやめるし、クリアなものや素直なものが好きだし、裏表があるのは嫌いだし、何ならすっと引いてしまう。真逆なものを彼女は持っているので、役作りの時に、「どう作りこんでいこうかな」と思っています。

 

ーそこをどうやって役を作って濱田さんがウィルキンソン先生を演じられるのか楽しみですね!!
そこがキーポイントかもしれないですね。

 

ー今回ウィルキンソン先生をWキャストで演じる安蘭けいさんに対してはどんな印象をお持ちですか?
もう大好き!!とにかく飾らない、素のままで気さくだし、誰とでも仲良くて、すごく無邪気、かつ絶対に曲がらない信念がある。その信念も周りに見せるというのではなく、しっかりと中に持っていて、信頼できて、大好きがたくさん詰まっている人です。プロ中のプロですよね。

 

ー全幅の信頼をおける相手ですね!!
わからないことを聞き倒して、今回も思いきり甘えさせてもらおうかと(笑)。私と瞳子さんは舞台上での持ち味って真逆だと思うのですが、(瞳子さんの演じる)ウィルキンソン先生の枯れた感やかすれ感、嫌味がない程度に嫌な部分もあるんだろうなっていうところの表現がとても絶妙で。私の中では瞳子さんが演じるウィルキンソン先生をお手本にしようと思っています。瞳子さんは本当に素晴らしい女優さんで、普段あれだけ面白くて、老若男女みんなから「瞳子ちゃん、瞳子ちゃん」と呼ばれ、慕われていて、トップの人ってこうなんだろうなと感じています。気負いがなくて、後輩として大好きな先輩です(笑顔)。

 

ー最後にビリーのように夢を持って前に進んでいる人、迷っている人、皆さんにメッセージをお願いします。
夢と自分がやらなければいけない使命の二つがあると思います。この二つが重なるのが一番良いのですが、そうとも限りません。そんな時は自分の直感を信じてみてください。
理由はないけれど、なぜか夢中にさせられるものがあって、私の場合は、それが歌でした。ご飯を食べるよりも、寝るよりも、歌っていたいという時間がずっとあって、とり憑かれるように歌っていた時期がありました。人によっては別のことや物に対してすごく興味を持ったりするかもしれません。興味を持ったことに「もういいや」と思うまで没頭しておいた方がいい瞬間が子供の頃や若い頃にはあるんです。そのタイミングが来た時に、夢を探り寄せている最中だと思ってやっておくと、夢に近づいた時、あの時やっておいてよかったと絶対思えるんです。その時にやろうと思っても、時すでに遅しになってしまうこともあるので自分の夢と違うことに目を向けていると思わないで。 何でもやりたくなったらとことんやってみることが大切です。

 

ーそれを今の濱田さんご自身が実感されているんですね!!
そうですね。まさかこれがっていうことが後になって繋がることがあるんですよね。空手をやっていた時期があって、武道の感覚が芝居で活きていたり。ビーズにすごく凝っていたときもあって、当時の色のあわせを思い出して、今の衣裳のビーズの部分をこうしたらいいんじゃないとか、アクセサリーもこの合わせの方がいいと思うとか。本当に今に繋がっています。なので、出来る時に自分の直感を信じてのめり込みたい物にのめり込んだ方が良いと思います。結果、自分の夢に絶対にプラスになっていることがほぼほぼ100%だから。


▶︎濱田めぐみさんのファッション事情◀︎
ー今日のお衣装のポイントを教えてください。
ラフな感じでシャツの色とこのゆるっと感、ちょっと仕事をしていますというクールな雰囲気もあって、甘すぎないところも気に入ってます。

 

ーショートヘアの濱田さんの撮影は初めてですね!!
この位のスタイルは、『マンマ・ミーア!』以来ですね。私自身は慣れてきたのですが、お会いする方はすごく驚くようで、二度見されます(笑)。『カム フロム アウェイ』(5月12日まで上演中)で機長の役を演じるのに、帽子を被るのでそれにあわせてどんどん短くなっていってます。

 

【profile】
濱田めぐみ/Megumi Hamada
1972年8月2日生まれ。福岡県出身。
1995年12月劇団四季オーディションに合格。抜群の歌唱力と将来性が認められ3ヵ月後、1996年2月『美女と野獣』ヒロイン・ベル役に大抜擢され劇団四季デビュー。 その
後劇団四季の初演『ライオンキング』、初演『アイーダ』、初演『ウィキッド』の三作品でヒロインを演じる。伸びのある歌唱力と定評のある演技に加えタップダンスもこなす。劇団四季では看板女優として2010年12月退団まで15年間活躍。 退団後、数多くのミュージカル作品へ出演。第40回菊田一夫演劇賞、第66回芸術選奨演劇部門文部科学大臣賞、第24回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。近年の主な出演作は、ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』『バンズ・ヴィジット』『アリージャンス』『イリュージョニスト』『レ・ミゼラブル』『オリバー』『メリー・ポピンズ』など。
▪️公式ホームページ
https://fc.horipro.jp/hamadamegumi/
▪️公式Instagram
https://www.instagram.com/megumi_hamada/

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Akiko Yamashita


【Story】
1984年の英国。炭鉱不況に喘ぐ北部の町ダラムでは、労働者たちの間で時のサッチャー政権に対する不満が高まり、不穏な空気が流れていた。数年前に母を亡くした少年・ビリーもまた、炭鉱で働く父と兄、祖母と先行きの見えない毎日を送っていた。
父はビリーに逞しく育って欲しいと、乏しい家計からお金を工面し、ビリーにボクシングを習わせるが、ある日、バレエ教室のレッスンを偶然目にし、戸惑いながらも、少女達と共にレッスンに参加するようになる。ボクシングの月謝で家族に内緒でバレエ教室に通っていたが、その事を父親が知り大激怒。バレエを辞めさせられてしまう。
しかし、踊っているときだけはツライことも忘れて夢中になれるビリーは、バレエをあきらめることができない。そんなビリーの才能を見出したウィルキンソン夫人は、無料でバレエの特訓をし、イギリスの名門「ロイヤル・バレエスクール」の受験を一緒に目指す。一方、男手一つで息子を育ててきた父は、男は逞しく育つべきだとバレエを強く反対していたが、ある晩ビリーが一人踊っている姿を見る。それは今まで見たことの無い息子の姿だった。ビリーの溢れる情熱と才能、そして”バレエダンサーになる”という強い思いを知り、父として何とか夢を叶えてやりたい、自分とは違う世界を見せてやりたい、と決心する。
11歳の少年が夢に向かって突き進む姿、家族との軋轢、亡き母親への想い、祖母の温かい応援。度重なる苦難を乗り越えながら、ビリーの夢は家族全員の夢となり、やがて街全体の夢となっていく・・・。

【公演概要】
■タイトル
Daiwa House presentsミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
■日程・会場
オープニング公演:2024年7月27日(土)~8月1日(木) 東京建物Brillia HALL

東京本公演:2024年8月2日(金)~10月26日(土) 東京建物Brillia HALL
大阪公演:2024年11月9日(土)~11月24日(日) SkyシアターMBS
■出演
ビリー・エリオット(クワトロキャスト):浅田良舞/石黒瑛土/井上宇一郎/春山嘉夢一
お父さん(ダブルキャスト):益岡 徹/鶴見辰吾
ウィルキンソン先生(ダブルキャスト)安蘭けい/濱田めぐみ
おばあちゃん(ダブルキャスト)根岸季衣/阿知波悟美
トニー(兄)(ダブルキャスト)西川大貴/吉田広大
ジョージ:芋洗坂係長
オールダー・ビリー(トリプルキャスト)永野亮比己/厚地康雄/山科諒馬  ほか

■公式ホームページ

https://billy2024.com/

(2024,05,08)

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下記のリンクのインスタグラムにインタビュー撮影時のアザーカット&コメント動画を公開いたします!!お見逃しなく!!

https://www.instagram.com/noriem_press/