2021年4月にOSK日本歌劇団の新トップスターに就任した楊琳さんの東京でのお披露目公演となる「レビュー夏のおどり『STARt』」が、2021年8月5日(木)から新橋演舞場にて上演されます。
端正な男役として、キレのあるダンスを武器に存在感を発揮してきた楊さんは、2007年に入団。解散の危機を乗り越え、2004年に新体制となった後に入団した劇団員としては、初のトップスターです。
今回の公演は、異例の洋舞レビューのみで構成されます。コンテンポラリーダンスを始め、ラインダンスやオールドミュージカルメドレー、コメディーショウなど、ダンスのOSKならではのダンスシーンの連続に心打たれることでしょう。
新トップスターとして、新たな歴史を作っていく楊琳さんに、東京公演に向けた本作の製作発表記者会見後に、トップスターへの思いや公演の見どころをお聞きしました!!

 

―トップスター就任おめでとうございます!!改めて、就任への思いをお聞かせください。
「2022年には劇団創立100周年を迎えることもあり、今後を見据えて、OSKがさらに盛り上がるように全力を尽くしてまいりたいと思います」

 

―前トップスターの桐生さんのバトンを引き継いでの就任になります。桐生さんに対しては、どのような思いをお持ちでしたか?
「存在感がすごい方なので、その方の後を継ぐのですから、小さくなったとか頼りなくなったと思われないようにしなければならないと強く思っています。桐生さんが紡いでくださったものを倍増できるように、私自身がもっともっと大きくなって、盛りあげていかないといけないなと思います」

 

―ご自身では「トップスター楊琳」の魅力はどこにあると思われますか?
「自分ではどこが魅力なのか客観的に考えるのはなかなか難しいですが…いつでもどんなときも前向きでいようとは思っています。自分の中のマイナス部分を掘りさげるのではなく、どうしたらそのマイナスな穴を埋められるかを常に考えようと。どうしたら前進できるか、どうしたらより良くなるのか。“なんで”ではなく、“どうしたら”と考えるようにしています」

 

―「レビュー夏のおどり『STARt』」についてもお聞かせください。すでに6月に大阪での公演を大好評のうちに終えましたが、改めて、6月の公演はいかがでしたか?
「自分たちがどうというよりも、新型コロナによって不安定な情勢の中、あれだけのお客さまに来ていただけたことに感謝しています。土日の公演が中止となってしまい、お客さまから残念だという言葉もたくさんいただきましたし、私たちもそれはとても心苦しかったのですが、その中でも上演できたことは喜ばしいことでした。今回、東京公演も緊急事態宣言下となってしまいましたが、上演できることとなりましたので、あとはもう皆さまに楽しんでいただくのみだと思っております。私たちもそのことに重きを置いて頑張りたいと思います」

 

―お披露目公演ということでのプレッシャーを感じたり、逆にワクワク感を抱いたりということはありましたか?
「プレッシャーしかなかったです(苦笑)。ですが、その気持ちを“頑張るぞ”という方に持っていきました。本当に素晴らしい作品でしたので、早くお客さまに観ていただきたい、楽しんでいただきたいという気持ちでいっぱいでした」

 

―今回の公演は、2幕ともに洋舞ということで、OSKにとって挑戦も多い作品だと思います。改めて、本作の見どころを教えてください。
「私、個人の見どころは、全景に出演させていただいているので、シーンによっての色の違いを感じられることだと思います。場面によって変わる私の姿を楽しんでいただけたら嬉しいです。作品全体では、“ダンスのOSK”と言っていただいている私たちですので、迫力のダンスシーン満載でお届けしたいと思っています。畳み掛けるようにダンスをお見せいたしますので、それを体感していただきたいです」

 

―コンテンポラリーからラインダンスまで、多種多様なダンスが観られるのは本当に楽しみです!!
「パワフルに始まるオープニングからコメディータッチな場面もございます。2幕は“100年への思い”をテーマにし、1922年から紡いできた思いを歌詞に込めたナンバーから始まり、ミュージカルメドレーやK-POPのようなスタイリッシュなステージを披露するシーン、そしてスパニッシュと終盤に向けて盛りあがっていく展開です。移り変わりも楽しんでいただきたいと思います」

 

―きらびやかなお衣裳も目を引きます。お衣裳についても教えてください。
オープニングは、みんなが赤と黒のコントラストのあるお衣裳の中、私はポスターでも着ているゴールドのジャケット姿で登場します。トップ2人の娘役もゴールドのドレスです。その後は、灰色のロングコートに黒のパンツというシックなスタイルで、その次の場面がカラフルなお衣裳になります。さまざまなキャラクターが登場するシーンで色的にも場面的にも騒がしく、コメディータッチな展開です。その後、コンテンポラリーダンスでは一変して白一色になります。目でも楽しんでいただけると思います」

 

―2幕はより華やかなお衣裳ですね。
「そうですね。“100周年への思い”の場面からスタートしますので、そのシーンでは水色一色で、ラインダンスではピンク色のお衣裳になります。その後も、オレンジ、白、紫、黄色とカラフルなお衣裳です」

 

―楊さんは、どのお衣裳が特にお好きですか?
「コメディーシーンのお衣裳もインパクトがあって好きですし、オープニングのゴールドのジャケットはグラデーションが素敵で気に入っています。いつかグラデーションのお衣裳を着たいと願っていたので、まさかの形で叶ってすごく嬉しいです。それから、舞美(りら)さんとのデュエットの場面で、紫のキラキラした燕尾服を着用しますが、それもすごく素敵で好きなお衣裳です」

 

―ありがとうございます。では、楊さんが感じるOSKの魅力とは?
「生命力の強さだと思います。OSKは、本当に“山あり谷あり谷あり谷あり”という歩みでした。一番大きかった谷は、やはり解散だと思います。解散と言われたら、いろいろな思いはあっても、その波に飲まれてしまうものなんじゃないかと思いますが、OSKの劇団員たちはそこで立ちあがって、皆さまの署名を集めて、市民劇団として存続させました。そして、たくさんのお客さまから応援のお声を頂戴し、66年ぶりに松竹座での公演も叶いました。そういった経緯は、私は本当にすごいことだと思います。今日まで継続して劇団が存在できていること自体がすごいことで、そういう意味での生命力や負けない心を持っていると感じます。それが、人間が生きる根本の力なのかなと思いますし、だからこそOSKという劇団は強いと思います」

―辛い環境でも劇団員の皆さんが立ち上がれた、その気持ちの強さは、どこからきているものだと思われますか?
「私は、劇団員みんなが本当に舞台を大好きだという思いを抱いているからだと感じました。そして、何よりも待ってくださる方がいることを分かっていたのだと思います。もちろん、自分たちが舞台を続けたいという思いが第一にありながらも、待ってくださる方々のために頑張れたんではないでしょうか。自分たちが諦めたら、自分たちだけの問題ではなくなってしまう。何が最善かを判断して、思い切れる決断がすごいと思います」

 

―OSKに対する愛情もきっと強いんでしょうね。楊さんは、今後、トップスターとしてどういった姿をファンの方や劇団の後輩の方々にお見せしていきたいと思っていますか?
「私が、たくさんの方々にOSKを知っていただくための起爆剤になれればいいなと思っています。それから、私のグローバルな名前が今だからこそ生きると思うので、グローバルに観ていただける要素になりたいとも思います」

 

―本作の製作発表では、「世界での公演」という言葉もありましたね。
「夢は大きく(笑)。私たちは、配信公演を定期的に行っているので、配信公演の強みはよく分かっていると思います。配信であれば、世界どこにいても観ていただけますので、それが世界各国の方に知っていただける機会になれば嬉しいです。コロナ禍の今はなかなか難しいかもしれませんが、情勢が落ち着いたときには、各地から来ていただいたり、逆に劇団を呼んでいただけるようにと願っています。小規模な劇団だからこそ、フットワークも軽く、さまざまな形で展開できると思うので、そこを強みにして頑張っていきたいと思います」

 

―ところで、今回の公演も緊急事態宣言下での公演ということになってしまいましたが、コロナ禍での公演に対してはどのような思いがありますか?
「何よりもやはり上演できることへの喜びがあります。この1年、お稽古をしつつも、なくなるんじゃないだろうかと不安を抱えていました。そう思いながら稽古するのは負担ではありましたが、いざ上演できるとなったときのパワーはものすごく大きいものになったと思います。そして、観に来てくださるお客さまがいらっしゃるからには、いつも以上の舞台をお届けしようと努めています。ですが、コロナ禍での公演への戸惑いは、私たち以上にお客さまが感じることの方が多いのではないかなと思います。やはり劇場に来ることを躊躇してしまう方も多いと思います。私たちも最大限の対策はとっていますが、“大丈夫です。来てください”とは大きな声では言えないので…。そこはもどかしくはありますが、いざ幕があがってしまえば、やることはどんなときでも変わらないので、とにかく、そのハードルを超えてご来場いただけたら、素敵な世界をご提供できると思っています」

 

―この1年、例えばお稽古ではマスクを外せなかったりと、これまでとは違うことも多かったのではないですか? コロナ禍の1年を振り返っていただき、変化は感じていますか?
「舞台への取り組み方は変わったと思います。私は、入団してから、とても幸せなことにお仕事が途切れたことがなかったので、こんなにお休みをいただいたことがなかったんですよ。舞台に立つことが当たり前だと思わないようにしようと思っていましたが、どこかしらでそれが日常になっていたんです。今回のコロナ禍で、改めて“舞台に立つことは当たり前じゃないんだ。そして観ていただけるのは、こんなにも素晴らしいことなんだ”と感じました」

 

―最後に、今回の公演への意気込みをお願いします。
「パワフルに始まるオープニングからコメディータッチな場面、コンテンポラリー、ラインダンス、黒燕尾のフィナーレ、デュエットダンスと、さまざまなダンスが盛りだくさんの迫力満点のレビューショーとなっています。ぜひ時間忘れて楽しんでいただきたいと思います。全身全霊で、勤めあげますので、どうぞよろしくお願いします!!」


【楊琳さんのファッション事情】
―好きなファッションスタイルは?
「楽に着られるお洋服が好きです。最近では、モノトーンのコーディネイトが多いですね。シルエットとしては、あまり体のラインが出ないものを選んでいます」

 

―お気に入りのファッションアイテムは?
「今は、ユニクロの『+J(プラスジェイ)』にハマっています。ジルサンダーとコラボしたシリーズなのですが、シャツは色違いで購入するほどお気に入りです。使い勝手も良いので、気づくと着ています(笑)。Tシャツは「Uniqlo U(ユニクロユー)」が好きです。生地感もよくてサラサラしていて、シルエットもとってもキレイ。ユニクロ大好き人間になっています(笑)。サンダルやシューズは履きやすくて軽いので、GUで購入することが多いです。スーツやジャケットは、変わったデザインや配色、模様の多いZARAで選ぶことが多いですね」


【公演概要】
■タイトル
OSK日本歌劇団 レビュー夏のおどり『STARt』
■日程・会場
東京公演:8月5日(木) ~8日(日) 新橋演舞場
■作・演出・振付 平澤智
■出演 ※入団年別・五十音順にて表記

楊琳 舞美りら 千咲えみ 白藤麗華 虹架路万 愛瀬光 城月れい 華月奏 遥花ここ 栞さな 実花もも 翼和希 穂香めぐみ 天輝レオ 登堂結斗 壱弥ゆう 椿りょう 羽那舞 唯城ありす 柚咲ふう 琴海沙羅 蘭ちさと 凜華あい 有絢まこ 純果こころ 瀧登有真 知颯かなで 翔馬かいと 空良玲澄 璃音あかり

(97期初舞台生)碧輝来 華蓮いろは 柊湖春 美丘さくら 南星杜有

(特別専科)桐生麻耶 朝香櫻子
■観劇料(税込) S席(1・2階)9,500円/A席(3階) 5,000円
■OSK日本歌劇団公式ホームページ

https://www.osk-revue.com

(2021,07,29)

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Maki Shimada


楊琳さん、舞美りらさん、千咲えみさんが登壇の製作発表記者会見のレポートを公開中!!

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