熊谷彩春さんが出演するミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』が2026年12月17日(木)から上演されます。本作は、19世紀末にイギリス・ロンドンで発生した世界的に有名な未解決事件で犯人として恐れられた殺人鬼、“切り裂きジャック”を題材にしたミュージカルです。2021年の日本初演から5年の時を経て、待望の再演となります。熊谷さんは、アメリカから来た若き外科医ダニエルと恋に落ちる娼婦グロリアを演じます。熊谷さんに本作への意気込みや見どころ、さらにはファッションについてなどをたっぷり語ってもらいました!!
―オーディションを経て出演が決まったとお伺いしていますが、オーディションはいかがでしたか?
グロリアという役に魅力を感じて、どうしても演じたいという気持ちで必死に挑んだオーディションでした。ただ、(演出の)白井晃さんとのオーディションは、ディレクションを受けながらお芝居を見ていただく形だったので、ワークショップや演技のレッスンのようで、たとえ、結果がダメだったとしても、自分にとってすごくいい経験をさせていただいたと思っていました。なので、決まったと聞いて、これからお稽古でもたくさんディスカッションしながら作っていけるんだと、すごく楽しみになりました。
―オーディションではありますが、白井さんの演出を受けて、いかがでしたか?
もちろん課題もいただいていましたが、課題以外のお芝居も見たいとおっしゃっていただいて、いろいろとやらせていただきました。例えば歩き方です。娼婦として、部屋の中を歩いてみてほしいと。その次は、目の前に男性が通るから、誘惑しながら歩いてみる。そうした動きを通して、ベースになるところを見ていただいたんだなと感じました。課題は、ダニエルの出会いのシーンだったのですが、それに加えて、最後のセリフを今、この場で覚えて言ってほしいということだったので、白井さんから口頭で教わって覚えて芝居しました。かなり胸に迫るセリフだったので、ウッと苦しくなったのを今でも覚えています。
―初演はご覧になりましたか?
はい、映像ですが、拝見しました。どんどん明かされていく真実に、思わず声が出てしまうくらいハラハラしました。ミステリーの要素も愛や欲望も、ぎゅぎゅっと詰め込んだミュージカルだなと思いました。
―グロリアという役柄についてはどのように感じましたか?
すごく捉えるのが難しい役だなと感じました。したたかで強い女と感じる人もいれば、巻き込まれていく悲劇のヒロインだと思う人もいると思うので、お客さんによって見え方や感じ取り方は違うのだろうと思います。自分が役を作っていく上では、「どうしてそうなってしまったのか」を大事にしたいです。選択肢が狭まっていって、自分はもうこれしかないっていう状況下に置かれた人の強さや鋭さを演じていけたらと思いますし、その上で、ダニエルと出会ってから変わっていく様子を表現できたらと思います。
―共感できるところはありますか?
自分の人生のためなら、全てをかけて掴みたいという気の強さはすごく似ているなと思います。オーディションのときも、何がなんでもこの役を手に入れたいという気持ちがあったので、それは「この生活から抜け出したい」というグロリアと自然と心情が重なったのかなと思いました。

―どうしてもグロリアを演じたいと思われた理由は、一番はどんなことだったのですか?
影のある役にすごく魅力を感じていたんです。ただ巻き込まれてしまった悲劇のヒロインではなく、汚い部分も人間臭い部分もあるところに魅力を感じました。それから、楽曲がどれも美しくて初めて聞いたときからすごく大好きで、いつか歌えるようになりたいと思っていたので、本当に歌うことができて嬉しいです。
―確かに熊谷さんはまっすぐな女性や、明るいオーラのある女性を演じることが多かったイメージです。グロリアはある意味では、新たな挑戦でもあるのですね。
挑戦ですね。こうしたアンダーグラウンドにいる女性を演じることがなかったので、今、当時のロンドンの背景などを勉強している最中です。
―ビジュアル撮影では、初めてお衣裳を着用されたと思います。お衣裳を着用することで、よりイメージがついたのではないですか?
そうですね。今回のお衣裳は、前回のお衣裳を自分に合わせてアレンジしていただいています。私は童顔なので、大人っぽく見えるように胸元をざっくり開けて強調していただいているんです。そうした細かいところまでスタッフさんたちがこだわってくださっているので、すごく楽しみです。
―ダニエル役のお二人の印象を聞かせてください。平間壮一さんとは、『無伴奏ソナタ -The Musical-』でもご一緒でしたね。
はい、そうですね。平間さんが、ダニエルを演じると知ったのは、ちょうど『無伴奏ソナタ』でご一緒するというときだったので、全く違うタイプの役柄をどう演じるのか、すごく楽しみです。『無伴奏ソナタ』では、純粋無垢で、孤高の天才音楽家の役を演じていたので、ダニエルとは全く違う役柄だったんです。実は、『無伴奏ソナタ』のお稽古場でお話をしたときも、「『ジャック・ザ・リッパー』も楽しみだね。でもすごく難しい作品だから、きっと大変だよね」というお話をしていたんですよ。「新キャスト同士、頑張ろうね」と声をかけていただいたので、すごく心強いです。
―熊谷さんから見た平間さんの俳優としての魅力は?
心のひだがある方だと感じています。俳優は、頭で計算しながら演じているところもあるのですが、平間さんは、自分の心が感じるまではお芝居をしない方なのだと思います。自分の心に絶対に嘘をつかない方で、それはすごく貴重だし、尊敬できるなと『無伴奏ソナタ』でご一緒しているときに日々、感じていました。お稽古中も、ご自身の意見をはっきりと伝えていらっしゃって、共演者のことも、気遣ってくださる。相手役の感情まで読める方なので、俳優として尊敬できるなと思っています。
―同じくダニエル役の木村達成さんの印象は?
初めてご一緒しますが、ビジュアル撮影のときに気さくにお話をしてくださって、とても気遣いのある方だなと感じました。最初に『ジャック・ザ・リッパー』の公演の映像を拝見したときに、木村さんがダニエルを演じている回だったんですよ。そうしたこともあって、すごく印象に残っていて、彼のダニエルと一緒にお芝居をしたときに、自分のいろいろなものを引っ張っていただけるのではないかと感じました。たくさんキャッチボールしながら、頼らせていただきながら、一緒に作っていきたいと思っています。
―お二人以外のカンパニーの皆さんについてはいかがですか?
今回、初めましての方が多いんですよ。アンダーソン役の(松下)優也さんとは『キンキーブーツ』でご一緒させていただきましたが、優也さんもそのときとは全く違う役柄で。(『キンキーブーツ』では)キラキラなドラッグクイーンとバリキャリなキャリアウーマンでしたが、今回、真逆の雰囲気の役を演じるのも楽しみです。劇中では絡むシーンはないですが、ご一緒できるのがすごく嬉しいです。

―どんなカンパニーになったらいいなと考えていますか?
私は新キャストとして必死に食らいついていくのが課題だなと思っています。初共演ではありますが、以前から拝見していた大先輩方が多いので、ご一緒できるというのを知ってすごく嬉しかったですし、同時に足を引っ張らないように頑張らないといけないと背すじが伸びる思いでした。
―これから始まるお稽古に向けて、どんな準備をしていきたいですか?
実際に起こった事件についても、勉強しておきたいと思っているので、関連の本を読んだりしています。ちょうど、私の弟がロンドンに留学しているので、お願いして資料を集めてもらっているんです(笑)。『ジャック・ザ・リッパー』の博物館があるそうなので、そうしたところにも行ってもらって、資料を集めてもらったので、それを読み込んでいます。
―初演時から、ファンの方々から熱い支持を集めている作品ですが、この作品のどういったところが観客の皆さんを魅了していると思われますか。
すごくキャッチーな音楽を聞いているだけでもワクワクする作品だなと思います。実在する事件をもとに描かれているので、題材は重いですが、登場人物それぞれの愛や欲望、メディアや民衆など、いろいろなテーマが詰め込まれているので、観終わった後に満足感が残ると私は思います。以前、ファンの方が、「いつか彩春ちゃんのグロリアが観たいな」とお手紙で書いてくださっていたんですよ。私自身も「まさか叶うとは!」と、すごく嬉しいです。
―ありがとうございました!! 公演に向けた意気込みとメッセージをお願いします。
初演から多くの方に愛され続けてきたミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』の5年ぶりの再演に関わらせていただけることをすごく光栄に思います。初演からさらにブラッシュアップした作品をお届けできるように、自分の出せる力を全て出してこの作品に挑みたいと思っています。
▶︎熊谷彩春さんのファッション事情◀︎
―ファッションのこだわりは?
自分でもあまり意識していなかったのですが、現場で「ワンピースが多いよね」と言っていただくことが多くて、確かにと思いました。ワンピースって、脱ぎ着がしやすいので、劇場や稽古場に入って、着替えをするときに、便利なんですよ。なので、機能性を意識して選んでいるのかなと思います。
それから、私は、役に引っ張られることも多くて、演じる役が強めの役だったら、革ジャンを買ってみたり、柔らかい女性の役だったら白系を着ることが多かったり…と、自分でも気づかないうちに、自然とその役に近いものを選んでいることがあります。

―そうすると、今回のグロリアはどんなお洋服になるのでしょうか?
きっと赤い服ばかり気になるんだと思います(笑)。劇中に「赤いスカート」というワードが何回も出てくるので、今、稽古用のスカートも赤いものがいいなと思って探しているんです(笑)。
―お稽古場に必ず持って行くもの、お稽古場で必ずすることはありますか?
お稽古場に持っていくものは、メモ帳です。ノート(ダメ出し)のときだけでなく、ふと思い出したときに殴り書きできるような、小さなメモ帳はいつもカバンに入れています。それから、銭湯セットもいつも稽古場に持って行っています。今日は疲れたなと思ったら、稽古帰りにそれを持って近所の銭湯に行くのがルーティーンですね。
―疲れたときの癒しや、ストレス発散もお風呂やサウナですか?
銭湯行くのが好きです。それから、歩くことも好きで、自分の頭の中で整理したいときは、自宅の最寄駅の数駅前で降りて、1時間くらい歩いて帰ります。例えば、今日できなかった課題を、どうやればクリアできるだろうと考えたりしています。家の中にいるとどうしても集中力が途切れてしまうので、一人の世界になるためには、黙々と歩くのがいいんですよ。そうすると、頭の中が整理できるんです。
―お休みの日は、どんなことをしていますか?
家でじっとしていられないタイプなので、どこかしらに出かけることが多いです。最近はアウトドアが好きです。仕事とは離れてリフレッシュできる空間なので、山登りに行ったり、キャニオニングという崖などを登ったり滝を滑り降りたりする、自然のウォータースライダーをしたり、パラセーリングをしたりしています。自分がやったことないことを片っ端からやっていきたいなと思っているんです。死ぬまでに全部のことを経験したい(笑)。
―アクティブですね!
そうですね(笑)。もちろん、公演中の休演日には1日中家で何もせずに寝ていることもありますよ。
―「死ぬまでに全部のことを経験したい」というのは、きっとお仕事でもそうですよね。お仕事では、どんな夢や目標があるのですか?
もちろんミュージカルは大好きなので、できるなら全部の役をやりたいくらいですが(笑)、それだけでなく、声を使う仕事や映像の仕事も、少しずつやっていけたらと最近は思っています。
―最近買ったお気に入りのファッションアイテムは?
マネージャーさんとお買い物に行って、白いキャップを買いました!! すごく夏っぽくて爽やかで、どんな場面でも使えそうなので、これから愛用していきたいなと思っています。
―ファッション小物の中で、集めていたり、こだわっているアイテムはありますか?
私は今まで、靴にあまり興味がなくて、親に「汚いから変えなよ」と言われるくらいだったんです(笑)。ですが、『キンキーブーツ』に出演して、靴の歴史やロンドンでいかに靴が大事にされているかといった本を読んでいくうちに、靴って素敵だなと思って、買うようになりました!!
―最後に、熊谷さんが素敵で居続けるためにしていることは?
睡眠をきちんととりたいと思っています。声を使う仕事なので、睡眠不足だと喉や肌に影響が出たり、頭の回転も悪くなってしまうので、なるべく長く睡眠をとりたいです。昔は、夜型で遅寝遅起きだったんですが、最近は早寝早起きを習慣にしようとしています。
【profile】
熊谷彩春/Iroha Kumagai
2000年4月2日生まれ。千葉県出身。
幼少期から舞台に親しみ、2016年の「東京国際声楽コンクール」ミュージカル部門で史上最年少第1位を受賞後、2019年のミュージカル『レ・ミゼラブル』のコゼット役で本格的な注目を集める。近年の主な出演作には、ミュージカル『スウィーニー・トッド』ジョアンナ役、『無伴奏ソナタ -The Musical-』リンダ役、『燃ゆる暗闇にて』ホアナ役、『NO.6』沙布役、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』ニコラ役、ミュージカル『破果』、そして『ジャック・ザ・リッパー』グロリア役などがあり、数々の話題作で存在感を放つ若手実力派俳優として活躍している。
▪️公式Instagram
https://www.instagram.com/iroha_kumagai/
▪️公式X

【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』
■日程・会場
埼玉公演:2026年12月17日(木)〜12月21日(月) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
茨城公演:2026年12月26日(土)~12月27日(日) 水戸市民会館 グロービスホール
愛知公演:2027年1月16日(土)~1月17日(日) 一宮市民会館 大ホール
大阪公演:2027年1月22日(金)~1月24日(日) フェニーチェ堺 大ホール
東京公演:2027年1月29日(金)〜2月7日(日) 新宿文化センター 大ホール
■作曲 バッソ・パテール
■作詞 エデュアルド・クレツマル
■脚本 イヴァン・ヘジャ
■演出 白井晃
■出演
木村達成 平間壮一 加藤和樹 松下優也 堂珍嘉邦 熊谷彩春 花乃まりあ 田代万里生 ほか
(2026,10,14)
photo,interview&text:Maki Shimada
#NorieM #NorieMmagazine #ノリエム #熊谷彩春 さん #ミュージカルJTR
下記のリンクのインスタグラムに撮影時のアザーカット&コメントムービーを公開いたします!!
お見逃しなく!!インタビューの感想もぜひコメントください。


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