本作は、2023年度後期NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本を担当する足立紳さん原作の作品「したいとか、したくないとかの話じゃない」(双葉社刊)を劇団宝船主宰で、ドラマ「きみはペット」「かりあげクン」など多くのドラマ脚本を手掛ける新井友香さんとの共同脚本によって朗読劇化し、4月20日から俳優座劇場で上演されます。
本作には篠原涼子さん、山崎樹範さん、荒木宏文さん、佐藤仁美さんがWキャストで出演し、もがき苦しみながら、それでも絆を信じ生き続ける夫婦を描きます。
朗読劇本編で流れる劇中ドラマで、山崎樹範さん、荒木宏文さん演じる孝志の若かりし頃をゆうたろうさんが演じます。
デビュー以降ドラマや映画、そして数多くの舞台で活躍するゆうたろうさんが初挑戦した劇中ドラマの撮影エピソードや役への思い、ファッションについてお話をうかがいました。

 

ー朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」の劇中ドラマへの参加というお話にどんな印象を受けましたか?
すごく新鮮でした。今までは、ゆうたろうというキャラクターに寄り添った役をいただくことが多かったのですが、ここ1、2年で自分の中でも俳優としての幅を広げたいなっていう思いや、自分とは違うキャラクターにも挑戦したいという気持ちもあって、そういう中で今回のお話をいただき、新鮮でしたし、これはやりがいがあると思いました。朗読劇も初めてですが、その中の劇中ドラマに登場する孝志の若かりし頃を演じます。朗読劇で山崎さん、荒木さんが演じる孝志にはそれぞれの個性や良さがあって、僕がそのおふたりの過去の同一人物を演じるので、ふたりの中間になるような、キャラクター作りをしました。朗読劇の劇中ドラマなのでいろいろと挑戦できるところはあるなと思いつつ、現場に入ることがすごく楽しみでした。撮影も1日だけだったのでワクワクが大きかったですね。

 

ー先ほど荒木さんと山崎さんのお二人の若かりし頃というところで中間になるような孝志というお話がありましたが、そのほかに役作りで気をつけたこと、意識した事はどんなことですか?
役の年齢は僕の実年齢より上ですが、良い意味であまり背伸びをせずに、気負わずに撮影に臨みました。恭子を演じる早川さんも僕よりも若いので、本読みの時に、監督といろいろなセッションができて、そこで役作りを始められたと思います。それまではわりとフラットに孝志のことを見ていて、作り手という意味では自分とは全く異なる世界で生きている人間だな、全然違う場所にいる人間なのかなと思っていたのですが、本読みをして、衣裳合わせをしながら、少しずつ形作られていきました。台本をいただいたときは結構好青年なのかなって思っていたんですけど、役のプロフィールや背景をいただいて、紆余曲折もあり、いろいろな人間の波にのまれながらも自分たちで物を作るという気持ちもありつつ、その中で恭子と出会い、新しい人生に色がついていくというすごく分かりやすい人間だと思ったので、そこは表現できたらいいなと監督と話をしました。孝志の秘めたる心にある思いやモヤモヤ、世の中に対する気持ちや言葉が垣間見えたら嬉しいとも言っていただいたので、どうしたらそう見えるかみんなでそれぞれのパーツを持ち寄って、ひとつのものを作ったという気持ちが強いですね。

 

ー恭子との出会いで変わっていく孝志ですが、この劇中ドラマを撮影する段階で、朗読劇での結末までストーリーを事前に把握して臨んだのでしょうか?
そうです。

 

ーふたりの関係が少しずつ拗れていくところも理解した上での回想シーンの撮影だったのですね!!
そこのバランスですね。僕自身結婚もしたことないですし、想像の中の物語なので、自分だったらこうするけれど、孝志はこう言っちゃうんだと感じるところもありました。孝志は本当に女心がわかっていなくて、モテないタイプの人なので、なんかそういうアンバランスさと言うか、こう言っちゃいけないんだろうけど、物語をこうするために、こう言わなきゃいけないんだろうなという逆算で作ったところもありましたね。最後のシーンも実際に最後の方の撮影で、それまでいろいろとふたりで過ごして楽しかった時間があっての最後でしたので、気持ち的にもすごくやりやすかったです。劇中でも何年後みたいな感じで言っているので、そこはすごく繊細に、相手の早川さんとしっかりと話をして作り上げて行きました。台本はこうだけれど、本人の気持ちもありますし、言いたくなければ言わなくてもいいと劇中ドラマの監督・熊坂さんが言ってくださったので、そこはすごく僕たちに寄り添ってくれているなと思いました。オリジナルの台本はあるけどその中でみんながどれぐらい積み立てられるかっていう作業に段取りがしっかりと行われていたのでありがたい現場でしたね。

 

ーみんなで作っていくっていうすごく臨機応変な撮影現場だったというのがお話を聞くだけで伝わってきますね。ゆうたろうさんの意見もかなり反映されている映像になっているということですね!!
そうですね。僕の意見も監督が全部受け入れてくれるので、監督だけど監督じゃないというか、僕たちにちゃんと目線をあわせて、キャストと一緒になって作ってくれたので、初めてご一緒しましたが、初めてな感じがしない方でした。

 

ー朗読劇の劇中のセリフで、恭子が孝志に向かって「輝いてないじゃない」と言うセリフがありますが、ゆうたろうさんから見て、孝志はどんな時が輝いていたのでしょうか?
撮影はしていませんが、脚本を書いている時とか。あとよく手の指で、カメラのフレームを作って自分の目や心の中のカットを撮っているときですね。そうやって心のカットに恭子を収めている瞬間は楽しかったし、僕的にも孝志的にも一番素で楽しんでいるんじゃないかと思います。結構スマホでの撮影もあったんですけど、孝志目線での思い出カットは、僕が撮影を担当させてもらって、そこはゆうたろうとしても、孝志としても、すごくキラキラしている瞬間なんだろうなーって思います。仕事として作品を撮っているときよりも、一番そばにいて、愛している人の表情とか、楽しんでいる瞬間、悲しい瞬間とか怒っている瞬間を切り取っているところは、僕自身は写っていないけれど、一番輝いているなと思いました。撮影もすごく楽しかったですね。僕のセリフはないけどプラスで足したりしたので、その撮影のライブ感も一番伝わるかなと思います。そして早川さんがとにかくかわいい!!という主観で撮っているからこその見え方がちょこちょこ挟まって出てくるので、そこはすごく素敵だなって思うシーンでした。

 

ー映像を見るのがすごく楽しみになりますね!!
劇中ドラマだけでもご覧いただきたいというくらいにすごく充実したシーンがたくさんありましたね。

 

ーゆうたろうさんにとって、“輝いている人”とは?
外に見える輝きって、夢に向かって頑張っているとか、ものづくりをしている人、ステージに立っている人というイメージなんですが、僕の中の輝きは、余裕のある人です。自分がそうでありたいというのもあります。以前年上の俳優さんと共演した時に何でこの人はこんなにも動じないんだろうとか、自分は自分だっていうスタンスでいられる人はかっこいいなって思うし、それが憧れって部分でもありますね。先程(インタビューの前に)初めてお会いした荒木宏文さんも、存在はずっと好きで知っていたのですが、かっこいいと思います。年齢を全く感じさせないというか、なんか佇まいというか、そういうところに輝きが出てくるんだろうなと思います。

 

ーゆうたろうさんご自身が輝くためにしていること、意識していることはどんなことでしょうか?
普段から好きな服を着ることです。ショップ店員という職業も変わらずに続けているし、服っていうのは僕の1個の大きなステータスでもあるので、そこは常に意識していますね。どんな時でも好きな服を着る、お気に入りの服を着て出かけるという瞬間は、それだけで自分を好きになりますし、気分も上がるし、自分のなりたい自分になれるので、そこはずっと変わらずにすごく大切にしています。

 

ーいろいろなお仕事をされているゆうたろうさんですが、役者のお仕事の魅力とは?
役者のお仕事は、最初からやりたいという強い思いがあってスタートしたのではなく、お話を頂いて、やってみようかなと思い、実際にやってみたらすごく楽しくて。初めての役者のお仕事は舞台でしたが、1ヶ月、2ヶ月と同じ人と一緒にものづくりして毎日過ごすっていう機会がなかったので、それがすごく新鮮でした。そういうことがあまり得意ではなかったのですが、年齢も性別も経歴も職種も様々な人たちが同じひとつの舞台を作り上げていくということがすごく楽しくてそこからいろいろなご縁をいただいて、今もずっと続けていくことができています。役者の仕事の根本で思うのは、自分のコンプレックスというかそれを着替えたいということです。ファッションもそうですが、変身願望というものが多分自分の中にずっとあって、役者が忙しければ忙しいほどゆうたろうでいられる時間が少ないんですよ。本当に家に帰ってお風呂入って寝る時間だけで、それ以外をずっと役と共に歩んできた時間の居心地が良かったんです。精神的に辛い役もありますが、それはそれで切り替えができますね。役者の仕事は人生を脱いだり着たりできる感覚でいられるので、居心地が良くて、これがずっと続くなら、すごく楽しくて平和な人生を歩めるし、こういう価値観を持っている人もいるんだという人間観察の対象にもなるし、その興味もずっと持ち続けられていて、面白いなって思うので、他の方とは違う感覚なんだと思いますが、僕はそれがすごく楽しくてやりがいを持ってお仕事に臨んでいます。

 

ーファッションに関するお仕事の魅力は?
僕にとってファッションは軸となるもので、どんなお仕事をしようがそこはずっと付きまとってくるところなので、こだわり続けたいところでもあります。自分は選ばないけど、この人はこういう服が僕に似合うと思うんだっていうそれも新しい価値観だと思います。自分では選ばなかったところを選んでくれるというその人の美的センス。そこからそういうアイテムを自分で選ぶようになることもあるし、勉強にもなるので、他の人がスタイリングをしているところを覗き見することもあります。こうやって合わせるんだという学ぶ場所にもなっています。ショップ店員としては、そこで学んだことをそのまま現場に活かせるので、ファッションは常に学びの場っていうイメージです。流行も常に変わりますし、自分の中の流行もありますし、人によって身丈も違うので、どうやったら自分の好みでその人にも似合って、その人も喜んで納得してくれる服を選んでおすすめしてあげられるかなというところは常に探究心というか人間への興味でもありますし、ゴールのないことなので、ずっと飽きないです。ショップ店員としては半年に1回くらいしか出勤はできていませんが、そこはずっと大切にしたい場所だなって思いつつ、ずっと変わらず続けている僕の居場所って感じですかね。

 

ーファッションって本当に飽きることがないですよね!!
そこが面白いところですね!!常に変化しているので、そこに追いつかないといけないと思いつつ、昨年のトレンドもまだ好きですしね。なんかそのごちゃまぜにした自分だけのスタイルをずっと僕は求めていて、分かってるわけじゃないんだけど、なんか分かってないところが楽しいです。日々勉強です。

 

ー最後にもう一度作品に戻ってお話をうかがいたいのですが、今回ゆうたろうさんが出演する劇中ドラマは、朗読劇の中でも主人公を印象付ける重要なポイントになってくると思います。改めて見どころを教えてください。
僕たちは、朗読劇の中の映像出演になりますが、すごく大きな1ピースになるのではないかなと思っています。今は台本を読んでいる段階で、皆さんがどう演じるかはこれから決まってきて、本番で初めて物語が完成すると思います。演じる人によって、僕たちの見え方も変わると思います。観る人にとってもいろいろな見え方ができると思っています。出てくる映像は変わらないけど、出てくる登場人物によって、過去の僕たちのセリフ一言の伝わり方が変わってくると思います。僕自身もどうなるんだろうとすごく興味がありますし、そういう出演の仕方というのは今まで経験がなく、俳優をやっていてもすごく新鮮なお仕事だったので、自分自身が一番楽しみにしているんじゃないかな。本当に劇場で見るのが楽しみで楽しみで。皆さんも楽しみにしてくれると嬉しいです!!


▶︎ゆうたろうさんのファッション事情◀︎
ー今日のお衣裳のお気に入りポイントを教えてください。
この衣裳は、今回の朗読劇の劇中ドラマの孝志の衣裳なんです。監督からはスタイリッシュになりすぎるのでちょっと別の軸で組んでみてくださいって言われて、このスタイルになったのですが、これが孝志の等身大。表面上はすごく若く見えるけれど、そのまま年齢を重ねているという見え方になった方がいいのかなと思って、今の僕にすごく馴染んでいて、私服とは全然違うのですがこういうスタイルいいなって思っています。ただ、孝志からしたら、この服を選んでいるのではなく、そこにあったからただ着ているという感覚なんだと思います。それも自分のスタイルだし、その人なりのおしゃれで、ゆうたろうという個人になると孝志とは違って、一つのアイテムを選んで、その中でこのアイテムこのアイテムって肉付けしていく選び方なので、自分とは全然違うと思いつつ、その人の服に対する価値観を知ることができるので、そこは役作りをしていて面白いなと思います。

 

ーいろいろな現場に衣裳がご用意されていると思うのですが、ここはこうしたらいいかなとゆうたろうさんご自身でアレンジされることもありますか?

あります!!今回の劇中ドラマの撮影も一度一緒にお仕事をさせていただいたことのあるスタイリストさんでしたので、スタイリストさんの感覚、監督の意見を尊重しつつ、僕に意見を聞いてくださるところもあったので、その時は、素直にこうした方が孝志っぽい、役作りとしてはこう見えた方がいいなという意見は自分のためにもきちんと伝えるようにしました。衣裳は、僕の中で役とゆうたろうのスイッチが切り替わる瞬間のひとつなので、そこは大切なところなので、わがままに見えるかもしれませんが、気になるところはこの方がいいと思うんですがと相談します。それは自分が服を好きだからこそ言いたいというひとつのプライドだと思います。衣裳に対するこだわりは、毎回演じる役によって持つようにしています。

 

【profile】
ゆうたろう/Yutaro
1998年6月3日生まれ。広島県出身。
2016年ショップ店員から“かわいすぎる美少年”として芸能界デビュー。2018年『3D彼女リアルガール』で映画初出演を果たし、以降多数のドラマや映画で活躍する若手個性派俳優。主な出演作は、映画『かぐや様は告らせたい』『殺さない彼と死なない彼女』『チェリマホ THE MOVIE~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』、ドラマ『シャーロック』『来世ではちゃんとします』Netflix『FOLLOWERS』など。
■ゆうたろうさん公式ホームページ
https://www.instagram.com/aaaoe__/
■公式Instagram https://www.instagram.com/aaaoe__/
■公式Twitter @aaaaao_e

photo:Tsubasa Tsutsui/hair&make-up:Lina Jasmin Asayama(TUNE),Airi Nakama(TUNE), Kaede Madachi/interview&text:Akiko Yamashita


【公演概要】
■タイトル
朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』
■日程・会場
2023年4月20日(木)〜4月23日(日) 俳優座劇場
■原作・脚本 足立紳「したいとか、したくないとかの話じゃない」(双葉社刊)
■脚本・演出 新井友香
■出演
篠原涼子 山崎樹範 荒木宏文 佐藤仁美
■劇中ドラマ出演
早川聖来(乃木坂46) ゆうたろう
■公式ホームページ
https://aoistage.com/shitaitoka/
■公式Twitter
@aoi_shitai

(2023,04,18)

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