フジノサツコさんが脚本を、森新太郎さんが演出を描ける新作『メディア/イアソン』が3月に上演されます。
古代ギリシャの劇作家・エウリピデスが記したギリシャ悲劇の最高傑作「メディア」。夫イアソンの裏切りによって、我が子を殺めるという王女メディアの凄惨な復讐劇は、これまでに世界各国で数多くの舞台や映画の題材に取り上げられてきました。
本作『メディア/イアソン』では、復讐劇に終始せず、若き日の二人の出会いや愛情に満ちた日々が鮮やかに描かれ、二人がなぜ悲惨な結末を迎えるに至ったのかを、二人の間に産まれた三人の子供たちの視点を通して描かれます。今回初のタイトルロール・王女メディアを演じる南沢奈央さんに公演への意気込み、ご自身に期待すること、さらに素敵さを保つ秘訣もうかがいました!!

 

ー作品へ出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
2019年に演出の森新太郎さんとご一緒した作品で鍛え上げていただきました。その時の稽古の感じ、そして本番中にもいろいろとご指導をいただき、新しい自分になれたという感覚があったので、いつかまたご一緒できたらいいなと思い、頑張ってきました。ギリシア悲劇の作品は初めてなので、どんな感じになるのだろうとまだ想像がつかないのですが、今回演じるメディアという役が、王女メディアとしてひとつの作品が上演されるくらいに大きな役ですので、プレッシャーも感じますが、森さんとご一緒できることがすごく嬉しいです!!

 

ー演じる王女・メディア役にはどんなイメージを持っていますか?
夫に対する復讐で、自分の子供を殺してしまうという怒りや残酷なイメージがあったのですが、今作はメディアだけでなく、イアソンとのふたりの物語で、イアソンが旅に出て、二人が出会うところからの長いスパンが描かれるので、違った見え方になると思います。ギリシア悲劇って神々がたくさん登場する遠い世界の物話だと思っていましたが、改めて読み直してみるととても人間ドラマで、難しく考えずにひとりの人間として演じていけば、現代の人にも共感してもらえる作品になるのではとワクワクしています。

 

ーイアソンを演じる井上芳雄さんにはどんな印象を持っていますか?
井上さんの出演作品も拝見していますし、ビジュアル撮影でご一緒し、隣にいてくださるととても安心できる頼もしい存在です。客席から見た井上さんは、凛としてかっこいいという印象ですが、今回井上さんが演じるイアソンは、かっこいい姿だけではなく、いろいろな運命や欲望に翻弄されていく姿も映し出されると思うので、私がこれまでに見たことのなかった井上さんの姿を拝見できるのを、楽しみにしています。

 

ー前回出演した作品での森さんの演出で印象に残っていることはありますか?
以前ご一緒したのは、シェイクスピアの『ハムレット』でした。とても印象に残っているのは、私も稽古場には早く入る方ですが、それよりも前に森さんが稽古場に入っていて、森さんご自身が舞台上でハムレットのセリフを台本も持たずに言いながら動いていらしたことです。セリフが頭に入った状態で、実際に自分で舞台に立ってイメージするということを稽古前にされるだけでなく、稽古が終わった後もずっと残っていらして、どれだけ体力があるんだろうと驚きました。今回は、まず森さんの体力、発想、演出にいかにくらいついて行けるかが自分の課題だと思います。

 

ー南沢さんにとって舞台の魅力とは?
本番前に1ヶ月以上の稽古時間がしっかりと取れて、試行錯誤ができるところです。しかも1人でなく、演出家、キャスト・スタッフの皆さんがいて、みんなでいろいろな方法を試しながら作っていくところがまず面白いです。本番が始まってからも日々実際にお客さんの前でやってみて、こうしたけれど、やっぱり違ったかもなと感じた場合、翌日にまた新たなチャレンジができます。人と作り上げているなという実感を感じられるところですね。映像作品よりも時間をかけて作ることができるのがすごく楽しいですし、じっくり作っていくということが私自身の性格にあっていると思います。

 

ー年明けから稽古がスタートし、今回少数精鋭の5人のキャストでの作品です。濃厚なお稽古になりそうですね。
そうですね(笑顔)。濃密な稽古は好きですね!!少人数の座組で、井上さんと私はひと役ずつですが、三浦宏規さんをはじめとする3人のキャストが何役も演じていきます。それは舞台、演劇ならではの演じ方で、森さんがどう演出されていくのか、3人がどういう表現でいろいろな役を演じられていくのか楽しみです。それぞれの関係性をみんなで共通認識を持ち、きちんと対話をしながら作っていくことになると思います。そういう稽古が好きなので楽しみですね。

 

ー2019年に森さんの演出で鍛えられ、新しい自分を見つけたとお話しされましたが、今回ご自身に期待することはどんなことでしょうか?
今まで演じた役で、怒りという感情はありましたが、憎しみのような感情を出すという役はあまり経験がありません。今回は憎しみが重要な感情になってきます。憎しみという感情を生み出すにはその前に大きな愛情がないといけないと思いますし、愛情が大きければ大きいほど、憎しみも大きくなるので、その感情をどこまで積み重ねていけるかというところが、今回のチャレンジだと思っています。積み上げた感情をどこまでちゃんと発散できるか。前回のハムレットの時もそうだったのですが、「もっとできる、もっとできる」と森さんには千本ノックのようにされる気がするんですよ。果敢にチャレンジして、いろいろな方法で自分の表現を見つけていきたいと思っています。

 

ー最後にお客さまへ向けてのメッセージをお願いします。
私自身、ギリシア悲劇というと難しそうというイメージを抱いていたのですが、2000年以上も前の作品を今やる意味や今だからこそできる表現が絶対にあると思っています。それを演出の森さんと5人のキャストでどう見せていけるのか私自身も楽しみです。現代の方がご覧になっても楽しんでいただけると思うので、一生懸命稽古を頑張りたいと思います。登場人物たちの人間らしさが溢れ出るギリシア悲劇になると思うので、共感できるところを見つけてもらえると思いますので、肩の力を入れずに気軽に観にきていただけたらと思います。


▶️南沢奈央さんの素敵さを保つ秘訣◀️

ー素敵さを保つためにしているリラックス方法や気分転換の方法を教えてください。
好きなことを我慢せずにすることです。あまりストレスを溜めないために食べたいと思ったら食べたり、運動も好きなので、運動して汗をかいたりしています。休みの日もだらっと休むより、アクティブに好きなことをするぞ。という日にして、仕事のことも1回忘れるようにしています。オンオフの切り替えをしっかりするタイプかもしれないですね。

 

ーしっかりと心も頭も切り替えることが大切ですね。
そうやって、しっかりと発散させることを意識しないと仕事のことをずっと考え続けてしまうんですよ。
なので、「よし、今日はもう台本を家においてどっか行こう!!」と思い切って切り替えるよう、意識して気分転換してます。

 

ー2023年はどんな1年でしたか?そして2024年はどんな一年にしたいと思っていますか?
昨年の11月に初めて本を出版しました。元々本を読むことも文章を書くことも好きでしたし、更に大好きな落語に関する本を出すことができ、夢がひとつ叶った1年でした。そして、舞台にも、ドラマにも出演させていただくなど、様々な場で表現する機会があり、いろいろな学びがありました。2024年は、緊張とプレッシャーはありますが、「メディア/イアソン」をとても楽しみにしているので、2023年に貯め込んできたものを発散して、良い作品が作れたらと思っています。

 

【profile】
南沢奈央/Nao Minamisawa
1990年6月15日生まれ。埼玉県出身。
2006 年にテレビドラマ『恋する日曜日 ニュータイプ』で主演デビュー。 俳優として数多くの映像・舞台作品に出演するほか、ラジオパーソナリティ、連載、書評執筆な ど、マルチに活動している。
主な出演作に、テレビ『赤い糸』(CX /映画(テレビ、映画同時公開/主演))、『軍師官兵衛』 (NHK 大河ドラマ)、『素敵な選 TAXI』(CX)、『リエゾン』(EX) 、『彼女たちの 犯罪』(YTV/NTV)など。舞台では、『HAMLET-ハムレット-』(2019 年、森新太郎演出)、『恐るべき子供たち』(2019 年、白井晃演出)、『ハルシオン・デイズ 2020』(2020 年、鴻上尚史演出)、『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』(2021 年、白井晃演出)、『血の婚礼』(2022 年、杉原邦生演出)、『セトウツミ』(2023 年、内藤裕子演出)など。
現在、TOKYO FM『nippn ¡ hon−yomokka!』パーソナリティを務めるほか、「サンデー毎日」「BookBang」で執筆、連載中。2023年11月、初のエッセイ集『今日も寄席に行きたくなって』刊行。

▪️公式ホームページ
https://www.naosway.net/

▪️公式Instagram
https://www.instagram.com/naominamisawa_official/

photo:Hirofumi Miyata/styling:Masako Kato/hair&make-up: Kazumi Owada/interview&text:Akiko Yamashita


【公演概要】
▪️タイトル
『メディア/イアソン』
▪️日程・会場
東京公演:2024年3月12日(火)~ 3月31日(日) 世田谷パブリックシアター
兵庫公演:2024年4月4日(木)~4月6日(土) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
▪️脚本 フジノサツコ
▪️演出 森新太郎
▪️出演
井上芳雄 南沢奈央 三浦宏規 水野貴以 加茂智里
▪️公式ホームページ
https://setagaya-pt.jp/stage/2164/

(2024,02,01)

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